03


「小十郎、いいから下ろせ。get down」

「しかし…」

眼帯のお兄さんが左目でジロリと強面のお兄さんを見やれば、強面のお兄さんは渋々と刀を下ろした。

「彰吾」

遊士も今だ抜き身の刀を構えたまま動こうとしない彰吾の名を呼び、下ろさせた。
そして、遊士は眼帯のお兄さんと向き合う。

「それでアンタ等何者だ?」

嘘は許さねぇと左目が剣呑な光を放ち、道場に入ってきた時とは打って変わって真剣な表情を向けられる。
人に名を聞く時は自分からだろ、などと思っても口に出来ない雰囲気に遊士も至極真面目な顔をして答えた。

「オレは伊達 遊士。こっちは片倉 彰吾だ。アンタ等は?」

「嘘を吐くな。てめぇが伊達の人間だと?」

名前を告げたら強面のお兄さんに何故か遊士は睨まれた。
そして、その視線から遊士を庇うように彰吾が一歩前へ出る。

「stop、小十郎。…にしても伊達に片倉ねぇ」

どこか探るような眼差しで遊士と彰吾を見てから眼帯のお兄さんは名乗った。

「俺は奥州筆頭伊達 政宗。んで、こいつが俺の右目片倉 小十郎だ」

「…………え?」

思いもよらぬ名を耳にして遊士はポカンと固まった。




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