おまけ


*おまけ*



「シバけばいいじゃないっスか」

当然のことの様に黄瀬が口にした台詞にその場にいた早川もうんうんと頷く。

「それ以外に何があるんスか?」

酷く偏った意見に中村が頭を痛そうに押さえれば、黄瀬は中村が求めていた答えはこれじゃないのかな?と少し間を空けて考える様に続けた。

「他には…威圧するとか、最近じゃハサミで脅すとか…」

「ちょ、ちょっと待て黄瀬!何の話をしてるんだ?」

「何って、どうやってキャプテンが部を纏めるかの話っスよね?」

だから参考に他所の高校のキャプテンとかがどうやって部を纏めてるかって言う話を。

「だからって脅すのはないだろう」

「あ!そういえばちょこっとっスけど中学の時、部員を締め上げてるキャプテンもいたっスね〜」

サボりや遅刻する度にボコボコに。あれはちょっといい気味だったっスね。ショーゴくん。

「………」

他にはと、黄瀬は他校のキャプテンの名前を上げていく。

桐皇の今吉さんとかはネチネチと精神的に来ると思うっスね。赤司っちと違う意味で怖いっス。今年は若松さんがキャプテンみたいなんで、青峰っちには拳が飛んでそうっス。

秀徳の大坪さんは懐が広かったんじゃないっスか?緑間っちの我が儘を許してたみたいだし。今年のキャプテンは知らないっスけど。陽泉の岡村さんもそういえば紫原っちに振り回されてたみたいっスね。懐が広いって意味とは違うけど。今年は氷室さんがキャプテンって、熱くなると氷室さんも手が先に出そうっスよね。紫原っちの話を聞いてると。

「後は〜」

誠凛には悪いっスけど、日向さんはあんまりキャプテンって感じしないっスよね。女カントクの方が手綱を握ってるような気がするんスよね。それに基本的に自由人そうな火神っちとすぐ見失っちゃう黒子っちがいるから苦労してそう。あそこはキャプテンが引っ張っていくと言うより、皆一緒にって感じっスね。

「う〜ん…でも、よく考えてもやっぱシバくのが一番じゃないっスか?」

前任の海常主将からシバかれまくった経験者がそう言っているんだから間違いないと、そのシバきで更正したのだと黄瀬が胸を張る。

「そうだぞ、中村!こういう時、笠松さんは容赦なかったぞ!」

「お前に笠松さんと同じ事が出来るとは思えないな、早川主将」

「それはやってみなきゃ分からないっスよ」

「うむ、諦めたぁおわぃだぞ中村!」

「俺が心配してるのはその結果だよ。アイツに辞められたら困るのはお前らも分かってるだろう?」

「うっ…」

「それは…、でも…」

「はぁ…。……確かに笠松さんは凄かったよな」

「っスよね!」

「だろっ!」

「あぁ…」

それから思い出話に花が咲いてしまい、有益な結論はでなかった。

後日、このままではいけないと危機感を覚えた中村が黄瀬の話を参考に二年と三年の間で鉄拳制裁か精神的制裁をするべきか多数決をとることにしたのだった。





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