いつまでも(堀鹿+笠黄)

※両片想いのバカップル二組
野崎くん:堀(高3)×鹿島(高2)
黒バス:笠松(高3)×黄瀬(高1)



先輩の卒業も間近に迫った肌寒い2月の終わり。頬を撫でる冷たい風とは別に、胸の中をひんやりとした風が吹く。
それが何なのかはよく分かってる。
学校で、部活動で、秋の文化祭公演で先輩は役者として引退してしまったが、冬までは演技指導や大道具の作り手として最後まで残っていた。これまでずっと一緒にいた先輩は3月になったら私の前から居なくなってしまう。自由登校の日だってなんやかんや言いつつも必ず顔を合わせていたのに、3月になったらそれもなくなってしまう。
…ただただそれが寂しくて、胸の中にぽっかりと空いた穴の中をひゅうひゅうと冷たい風が通り抜ける。

(…堀先輩)

当の先輩は私のそんな気持ちもお見通しなのか、私が沈んだ気持ちで浮上出来ずにいると困ったように笑って、私の頭に手を伸ばしてくる。先輩と私の間に存在する差は12cm。大きいのか小さいのか。一歳という歳の差よりは多分はるかに小さいと思う。頭に置かれたごつごつとした大きな手で、ぐしゃぐしゃと髪をかき混ぜられる。
「何するんですか」と膨れてみれば、先輩は何故かよしっと笑い、いきなり「明日出かけるぞ」と勝手に明日の予定を決められた。

結局のところ私は寂しさを感じていようと、勝手に予定を決められようと、相手が先輩なら…何よりも優先してしまうらしい。もうどうしようもないぐらい先輩のことが特別で、行動にまで表れる始末。
待ち合わせ場所に十分も早く着いてしまった。
でも私より先に先輩の姿が待ち合わせ場所にはあった。

「おはようございます!先輩」

先輩は早く来た私に気付くと、ちょっと驚いてからふっと優しく口角を吊り上げた。

「おぅ、今日も可愛いな俺の王子様は」

「可愛い王子様ってちょっと矛盾してませんか?」

「どこがだ?」

「どこって普通王子様って言ったら格好良いじゃないですか。学校にいる時は先輩も私のこと格好良い王子様って言うじゃないですか」

それに私は今可愛いと称されるような、女の子らしいひらひらとしたスカートやワンピースを身につけているわけではない。寒さ対策に首もとにはマフラー、中はシャツとセーター。上はジャケットを羽織っていて、下は細身のパンツに下ろし立てのブーツ。…いつも通りだ。
普段から別に男装をしているつもりもないが、まぁどちらかと言えば男子学生に間違われる可能性が高い、これもまたいつも通りの装いだ。そしてこれのどこに可愛い要素があるというのか不思議でならない。格好良い王子様の言い間違えではないだろうか?
−−あれ?でも。そう言えば。
いつ頃からかは忘れたが先輩は私と二人きりの時には可愛い王子様と呼称を改めるようになっていたな。…う〜ん、何で?

首を傾げて先輩の隣に立てば、身長差のせいで自然と先輩は私を見上げる形になる。いつも通りワックスで上げられた前髪に、タレ気味な茶色の眼差しが真っ直ぐに私を射抜く。

「まぁ、一般的に言えばそうだな。けど俺にとってお前はもう可愛い王子様だ。それで納得しとけ」

「はぁ…」

よく分からないが、先輩がそう言うならそうなんだろうととりあえず頷いておく。

「それで先輩、今日は何処に行くんですか?」

「こないだお前が観たがってた映画観に行くぞ。上映が今日までらしい」

「え?本当ですか!行きたいです!」

思わず先輩の上着を掴んで、きらきらと瞳を輝かせる。観に行こうとは思っていたがどうにもタイミングが悪く、まだ観に行けてなかったのだ。
先輩はそんな私の様子にくつりと笑うと上着を掴んだ私の手をやんわりと外し、そのままするりと自分の指先を絡めて私の手を引いた。

「んじゃ、行くぞ」

「はいっ!」

繋がれた右手が温かい。
今だけは風の冷たさも、寂しさもまったく感じなかった。





***



あれこれと一人暮らしをする準備を整えていくセンパイの背中をじっと見つめて小さく息を吐く。
何で自分は同い年じゃないんだろう。
卒業の日が近付くにつれ、二歳という歳の差を恨めしく感じる。
ウインターカップを最後に部活を引退したセンパイは、来年のことを考えてあまり部活に顔を出さなくなった。前の主将がそんなに頻繁に顔を出していたら邪魔だろと、ただでさえ三年は自由登校になってしまって学校で顔を合わせる日が少なくなってしまったというのに。

中学の時は上級生が卒業しようが何とも思わなかったけど…、センパイだけは特別で。センパイの姿が見えないと寂しくて、声が聞こえないともの足りない。
まるでぽっかりと胸に穴が空いてしまったように寒さを感じる。

(…笠松センパイ)

じっと見つめ過ぎてしまったのか段ボールの箱を開けた体勢でセンパイが振り返る。俺は慌てて表情を取り繕ってへらりと笑って、「次は何をしたらいいっスか?」と荷解きの終わっていない段ボール箱へ逃げるように視線を流した。
けれどもセンパイは誤魔化されてはくれない。センパイ曰くどうやら俺は役者には向いていないらしい。

こっちに来いと手招きされて、のろのろとセンパイに近付く。まだラグも敷いていないつるつるのフローリングの上に両膝をついて座った。
こうして座って向き合えば、普段二人の間にある11cmの身長差なんて些細なものになる。年齢差も同じぐらい些細なことになればいいのにと、無茶苦茶なことを思った。
そしてそれもセンパイには見透かされていて。センパイはちょっと困ったように笑ってから俺の頭に右手を伸ばしてきて、髪をくしゃくしゃとかき混ぜられる。そうしながら俺を甘やかすような言葉を口にした。

「これ片付けたら、お前専用の食器とか買いに行くか。これだけじゃお前が泊まりに来た時に困るからな」

実家から持ってきたのは俺のしかねぇからなと、センパイは事も無げに続け、俺の方が慌てた。髪をかき混ぜてくるセンパイの手を両手で掴んで下ろし、真剣な眼差しでセンパイを見つめ返す。

「いいんスか?泊まりに来ても」

「ん?別に良いぜ」

「そんなこと言うと俺、本当に結構泊まりに来ちゃいますよ?」

「だから良いって言ってんだろ。あー、でも、大学に慣れるまではあんまり構ってやれねぇかも知れな…」

「それでもいいっス!」

センパイの言葉を途中で遮って、両手で包んだセンパイの手をぎゅっと強く握る。触れた掌から温かなぬくもりが伝わってきて、冷えた胸の中がほこほこと温度を取り戻していく。
声を上げた俺にセンパイはぱちりと瞼を瞬かせ、ふっと緩やかに笑った。

「なら、さっさと片付けるぞ」

「っス!」

胸の中に巣食う寂しさはなくなったわけじゃないけれど、今はただその約束、言葉一つで、ぽっかりと胸に空いた穴が満たされた気がした。凍えてしまいそうなほど吹き付ける二月の寒さも今だけは感じなかった。





***



「これは観に行って正解でしたね!」

映画館をほくほくとした顔で出る。
片手にはパンフレットの入った袋を提げ、鹿島は隣を歩く堀に、映画の余韻を引き摺ったまま興奮した様子で話しかける。

「あぁ、アクションものも良いな。次の舞台に使ってみたいぜ。お前ならヒーロー役もイケるよな」

わくわくとした面持ちで、顎に指を添えて堀は舞台の構想を練り出す。それに鹿島も乗り気で、きらきらと瞳を輝かせた。

「良いですね、面白そう!あ、そしたら堀ちゃん先輩、ヒロイン役やりましょうよ!私が守ってあげます!お姫様抱っこだって!」

「馬鹿、誰がやるか!」

堀にお姫様願望があるという鹿島のとんでもない勘違いは既に解けているはずだが、時おりからかうように鹿島は口にする。むしろ鹿島に、既に王子様だが、王子様願望か騎士願望でもあるんじゃなかろうかと堀は最近よく思う。

「えーっ、いいじゃないですか!堀ちゃん先輩ちっちゃいし、イケますよ!」

「うるせぇ、俺はちっちゃくねぇ!」

げしりと容赦のない蹴りが鹿島の膝裏に入る。うわっ、とバランスを崩した鹿島は咄嗟に堀の腕を掴んで転倒を免れる。

「もうそんなに怒らなくても」

「お前が馬鹿なこと言うからだろ」

掴まれた腕はそのままに堀はお前が悪いときっぱり告げ、一度話を畳むと視線を鹿島から通りに並ぶ店へと向けた。

「そろそろ昼でも食うか」

「私もお腹空きました」

一秒前のやりとりがなかったかのようにころりと話を切り替えた二人は目についたファストフード店に仲良く肩を並べて入って行く。鹿島は堀の腕を掴んだまま、堀は鹿島に腕を掴まれたまま。

二人が入店した店は、学生の懐事情に優しいMの頭文字で始まるマジバーガー。
昼時は少し過ぎていたが、皆考えることは同じなのか店内はまだ少し混んでいた。
レジに並ぶ客の最後尾についた堀はさくっと注文するメニューを決め、隣に並んだ鹿島を見上げる。

「鹿島、決まったら教えろ。俺が買っとくからお前は席取っとけ」

「あ、じゃぁ…お願いします」

聞かれてすらすらと鹿島の口から定番のバーガーセット、アップルパイもと告げられる。それに堀は頷き返し、確認の為一度反復した。

「それじゃ私、向こうに…」

「あっ、おい、後ろ!」

行ってますねと、踵を返そうとした鹿島は注意力も散漫でレジに並ぼうとしていた客とぶつかった。

「わぶっ!?」

「鹿島!」

「わわっ、大丈夫っスか!?」

それからすぐに上から降ってきた声の主に両肩を掴まれ、鹿島は突っ込んだと思われる胸元から引き離される。大丈夫ですと、伝えようとして顔を上げた鹿島の視界にきらきらと眩しい黄色い髪と切れ長の琥珀色の双眸、とても整った顔が写った。
だがそれも数秒のことで鹿島はすぐに聞き慣れた声で我に返った。

「鹿島!すまん、コイツが」

横から堀に腕を掴まれ、肩に置かれていた手が離れていく。

「いえ、こっちも余所見してたっスから。大丈夫っスか?」

前半は堀に後半は鹿島に向かって声をかけられる。

「ん、大丈夫。こっちこそごめん」

堀に掴まれた腕とは反対の手をひらひらと振って無事を伝え、真っ直ぐに相手の目を見て鹿島は謝る。横では堀が危なっかしいなと小さく息を吐いていた。

「おい、黄瀬?どうした?」

そこへ別の声が割って入ってきて、黄瀬が自分の背後を振り返る。
すると黒髪短髪の男の姿が黄瀬の後ろからひょっこりと現れる。と、同時に堀が驚いたような声を上げた。

「笠松?」

「あ…っと、堀?」

笠松と堀は互いに顔を見合せ、驚いた後親しそうに表情を崩した。

「久し振りだな、笠松」

「そうだな、中学卒業以来か?」

「おー…もう三年も経ってるのか。お前、今もバスケしてるのか?」

「してる。そういうお前も相変わらず演劇部か?」

「まぁな。っつても、今は役者じゃなくて主に裏方やってるけど」

「えっと、笠松センパイ。知り合いっスか?」

「堀先輩、知り合いですか?」

笠松と堀に置いてきぼりにされた黄瀬と鹿島が同時に口を挟む。そして疑問に思っていることを訊いた。

「中学の時の同級生だ。堀 政行」

「中学が一緒だった、笠松 幸男」

笠松は黄瀬に堀は鹿島にそれぞれ相手のことを紹介する。
通う学校以外で初めて見る先輩の交遊関係に後輩二人はへぇ、と興味深そうに相槌を打った。

「そうだ、鹿島。お前席取り…」

話し込んでいるうちにいつの間にか列は短くなり、レジが近くなっている。

「黄瀬。注文は俺がするからお前は席頼む」

ここで突っ立っていてモデルのキセリョだと騒がれるのも良くないと、笠松は黄瀬を気遣う。なるべくなら周りの目が誤魔化せるような観葉植物や目隠しになる柱や壁があると尚良いだろう。
笠松の気遣いに黄瀬はお願いするっスと笠松に自分の分を頼み、笠松が片手に提げていた買い物袋を自然に受け取り、レジの列から外れる。
同じく鹿島も列から離れ、黄瀬と同じ方向へ歩き出す。

「えーっと、キミ」

「はい?なんスか?…俺?」

先に歩き出した黄瀬の背中に鹿島が話しかけ、キミと呼ばれた黄瀬が振り向く。

「さっきの、先輩達の話し気にならない?中学の時の話とかもっと聞いてみたいんだけど」

「まぁ気になると言えば、気になるっスね。…でも、デートの邪魔じゃないっスか?」

会話を続けながら、席を探し始めた黄瀬は運よく空いていた壁際の席を見つけ、 そちらに足を進める。手に持っていた荷物を椅子の上に下ろし、返って来ない返事に鹿島を見れば、鹿島は何故か驚いたような顔をしていた。

「どうかしたっスか?」

「いや、ちょっと驚いただけだから。初見で女って見抜かれること少ないし、デートに見えるのかって…」

薄く頬を染めて鹿島は、はははっと誤魔化すように笑った。

「え?デートじゃないんスか?」

「んー残念ながらね。だからキミが良ければ一緒にどうかな?店もまだ混んでるし」








トレイに二人分の飲み物と食べ物を乗せて、先に席取りに行かせた後輩を捜せば、何故か後輩達は同じテーブルにつき楽しげに話をしていた。

「あいつら今日が初対面だよな?」

堀の言葉に笠松は頷き、いつもの倍きらきらとしている空間を眩しそうに見つめる。

「堀。お前の後輩、社交能力たけぇな。あぁ見えて黄瀬のやつ結構警戒心強いんだぜ」

「へぇ…にしても、鹿島に負けず劣らずお前の後輩も舞台映えしそうだな。今度どうだ?」

「アイツに役者は向いてねぇよ。それに黄瀬はバスケしてる時が一番格好良い」

「べた褒めだな」

「お前もな」

くつりと笑って笠松と堀は後輩が待つテーブルへと足を向けた。





***



「聞いて下さい、先輩!黄瀬くんモデルしてるんだって」

「って言っても、今は仕事抑えてもらってるんスけどね」

テーブルの上にトレイを下ろし、黄瀬の横に笠松、鹿島の横に堀が座る。
興奮気味に話す鹿島に堀はバーガーを与え、苦笑する黄瀬の方を見てなるほどと呟く。隣に座る笠松をちらりと見て黄瀬に視線を戻す。

「笠松より身長あるよな。何センチなんだ?」

「189センチっス」

笠松から飲み物を受け取り、黄瀬は聞かれるままに答える。

「俺も180とは言わねぇがせめて170は欲しいな」

「そういや中学の時からあんま背伸びてないなお前」

「うるせぇ。何でお前は、中学の時は俺と同じぐらいだったのにそんなに伸びてんだよ」

堀はガサガサとバーガーの包みを開けながら、ポテトを摘まむ笠松を恨めしそうに睨んだ。

「んなこと言われてもな…」

「笠松センパイって中学の時ちっちゃかったんスか?」

「おぅ。確か背の順で言えば真ん中ぐらいだったな」

黄瀬の興味津々な質問に堀は思い出すようにふらりと視線をさ迷わせる。
中学の時からあまり伸びていないという堀の身長の話しに、鹿島は包みを開けたバーガーを手に堀を慰めようといつもの調子で口を開く。

「大丈夫ですよ先輩。これからまだ伸びますって。それにもし伸びなくても、先輩なら今のままで十分かわい…」

「お前はいちいち一言余計だ!」

鹿島が言い切る前にばしりと堀が鹿島の後頭部を叩く。

「いったぁー!?…もうっ、先輩。照れ隠しに叩くの止めて下さい」

「アホ、誰がいつ照れた」

その気安いやりとりに、それが二人の日常なのだと向かいの席で目を見開いた笠松と黄瀬は感じた。それでも黄瀬は鹿島が自分たちと違い、異性だと気付いているので一応声をかけておく。

「大丈夫っスか?」

「あぁ…うん、平気。先輩のこれは日常茶飯事だから」

その言葉通り鹿島はもうけろりとしていた。

「あと、これは余計なことかもしれないっスけど、男に可愛いはあんまり褒め言葉じゃないっスよ」

「え、そうなの?」

「身長の話は置いといて。お前手が出るの早くなったなー」

主に拳の意味でと、黄瀬と鹿島の会話を横目に笠松はストローに口をつけ、バーガーを食べ始めた堀に話を振る。すると堀は眉間に皺を寄せ、自分の隣を見て、口の中のものを咀嚼してからため息を吐いた。

「コイツが毎回何かしらやらかすからだ。部活サボったり、女子をナンパしたり、意味不明な行動とったり」

「それなら少し分かるぜ。うちにもやたら女子をナンパする奴がいてな。顔は良いんだが、口を開くと途端に残念になる。その悪循環のせいでナンパは全戦全敗」

「ふっ…うちの鹿島は今のところ全戦全勝だぜ」

「これが黄瀬なら余裕で全勝だけどな。夏に一度ナンパさせたら女子が集まり過ぎてえらいめに合った」

「それなら鹿島も学校じゃぁよく女子に囲まれて、学園の王子様って呼ばれてるぜ」

「黄瀬も雑誌で王子様って書かれたことあったな。女子たちの中じゃ黄瀬は理想の王子様らしい」

「そうか?俺の鹿島の方が格好良いだろ」

「何言ってんだ。うちの黄瀬の方が格好良いだろ」

「っ先輩!何の話してるんですか!」

「センパイも変なとこで張り合わないで下さい!」

いつまにか堀と笠松は話を脱線させて、己の後輩がどれだけモテるのか張り合っていた。終いには褒めちぎり始めて。
横道に反れていく会話に、話の当事者である鹿島と黄瀬はだんだん恥ずかしくなってきて、堪えきれずに口を挟んだ。
なのに先輩ズときたら、話を遮られてきょとんとした顔で鹿島と黄瀬を見ただけだった。

「どうした鹿島?」

「黄瀬?」

「どうしたって、堀ちゃん先輩こそ私をどうしたいんですか!?」

「ちょっと今のは恥ずかしいから止めて欲しいっス。…てか、センパイ、俺のこと格好良いと思ってくれてたんスね」

「当たり前だろ。お前が格好良くなくて誰が格好良いんだ?」

「〜っ、センパイのその格好良さには勝てないっス」

鋭い切り返しに黄瀬は頬を熱くしてテーブルに突っ伏す。

「どうしたいって、俺は事実を言ったまでだ。何か間違ってるか?」

「もう、先輩…ちょっと黙ってて」

俺のって、いつから自分は堀のものになったんだと鹿島も頬を熱くさせて、冷たいテーブルになつく。
二人の後頭部を見ながら笠松と堀は顔を見合わせた。

何だコイツら?



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