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下記にて本編にはない小話を掲載しておりますので、よろしければどうぞ…

【オリジナルBL小話38-40】


Signal小話38(工藤×廉+悟+隼人)

◇◆◇

傍からみてもとても仲良く見える二人組。実際に仲は良い。
何を話しているのか、ここまでその内容は届かないが時おり声を上げて笑っている姿が見える。

その手が肩や背中をバシバシと遠慮なく叩き、しまいには頭の上に乗せられる。

「……ちょっと、用事を思い出した」

そう店の窓越しに見える二人組から視線を離さず告げれば、相手は呆れたように俺の言葉を冷静に訂正してきた。

「それを言うなら、急用が出来ただろ?」

「そうとも言う」

相手も俺が見ていた先を見て、早く行けとひらひらと片手を振って言った。

「どうせなら隼人さんも一緒に連れてきて下さい」

「…気が向いたらな」

「貴宏の気が向かなくても廉さんは隼人さんを一人残してここには来ないでしょう」

「………」

「隼人の相手は俺がしますよ」

その言葉を背に俺は一旦、店を出た。楽しげに話ながら通りを歩いている二人組の方へと足を向ける。そして、やはりというか、先に俺の接近に気付いたのは俺が目的としていた人物ではなく。

「あれ?工藤サン?」

「えっ?あ、工藤…?」

その事実が少しばかり面白くはなかったが、俺は自分へと向けられた驚いたその表情を前に胸に抱いた不快な感情をすぐさま胸の内に沈めた。そして、いつも通りにみえるように口を開く。

「ちょうど悟とそこの店にいてな。そこから二人の姿が見えたから」

俺が指差した先には以前一度だけ廉と一緒に入ったことのある喫茶店がある。

「時間があるなら寄ってかないか?」

そう言って二人を誘えば、二人は一瞬顔を見合せた後、何故か相沢の方は可笑しそうに笑い、廉は僅かに目元を赤く染めて相沢から視線を反らした。

(なんだ?)

二人の反応の意味が分からず俺は僅かに首を傾げながら二人の返事を待つ。するとすぐさま相沢の方からその答えが返された。

「本当、工藤サン、ナイスタイミングだよ。ちょうど廉と探してて」

「ちょっと、隼人!」

それ以上は言ってくれるなと慌てる廉を気にしつつも、俺は相沢が笑い混じりに告げる言葉に耳を傾ける。

「廉がこの辺で工藤サンと行ったことのある喫茶店があるって言うから何処なのか探してたんだ」

「は…?」

その内容に思わず廉へと視線を向ければ、廉は目元を赤く染めたままキッと俺を睨んで言った。

「〜っ、別に探してたわけじゃないからな!ただ、工藤と行ったことのある店がこの辺にあるって話になっただけで!」

(それをあんな楽しそうな顔で相沢と話してたのか?)

ふっと脳裏に浮かんだのは廉の楽しそうな顔だ。

「ふむ…」

目の前でむきになって否定の言葉を紡ぐ廉をじっと見つめても、否定はするが、俺の誘いを拒絶してるわけじゃなさそうだ。

「っ、なんだよ?」

「いいや」

真実を知ってしまえば胸の内に沈めた感情は綺麗になくなり、代わりに生じた別の想いが自然と俺の表情を緩ませる。

「あー…、お二人サン。こんなところで見つめ合ってないで、とりあえず、早く店に入ろうぜ」

通行の邪魔だし、悟サンも店で待ってんだろ?

「あぁ、そうだな」

そこでもう少し廉から話を聞くとしよう。

「み、見つめ合ってなんかないしっ、誰も着いてくとは…」

「分かってる、分かってる」

相沢に宥められながらもちらちらとこちらを気にする廉のそれが照れ隠しだと、誰が見ても丸分かりである。俺はあえてそれに気付かなかった振りでもう一度廉を喫茶店へと誘った。

「廉の好きそうなデザート系も揃ってるぞ」

「…俺、自分の分はちゃんと自分で払うからな」

「あぁ、分かってる」

そうして、とりあえず俺は廉を喫茶店に連れて行くことに成功したのだった。


(どうぞ、好きなものを注文して下さい。全部、貴宏の奢りですから)
(おい、悟!)
(じゃ、俺はこれとそれと…)
(隼人っ!)


end...


◇◆◇
小話38はSignalから工藤と悟、廉と隼人。なんだかんだありながらも四人でわいわいしてる所。悟と隼人は二人を見守りつつもからかって楽しむ時もある。








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