ふわり桜はに染まる
CHANGE
.悪寒






あの子は

あの子は何処なの。





『ここは…?』



紅い蝶を追いかけているうちに古い神社のような場所に辿り着いた。
おかしい。こんなもの裏裏山にはない。
急いで振り返っても暗闇が広がっているだけ。



『…みんなの所に帰らなきゃ…。』



そう思って元来た道を帰る。
けれど、一定の場所まで来たらまた元の場所に戻っているのだ。



『おかしい…。何かが、おかしい…。』



敵の罠?幻術?違う、全てが本物だ。
この鳥居も、この神社も、この地蔵も、全てすべて。



『どういう、こと…?』



帰れない。帰りたい。
…帰りたい?自分で来たくせに。



『…みんなが、私を追って来ませんように。』



今はただ、それだけが気がかりで。



とにかく進もう、と踵を返したら、目の前に白い着物の女の子が立っていた。



『―――ッ!?』



気配もしなかった。背中を向けて、泣いているようだ。
手で覆っているので顔を見ることは出来ない。
私と同じように迷い込んだ人かもしれない。
そう思って肩に手をかけようとした。



『消え…た…?』



そう、消えた
私の手が肩に触れるか触れないかでその女の子は消えてしまった。
背中がゾクリ、とする。
嫌な汗が噴出す。
あの子はどこに行った?
分からない。
分かりたくない。



『…進もう。』



もしかしたら、誰かに会えるかもしれない。





それでもこの胸騒ぎを止める術を私は知らない
(あの子が…あの子がどこかに居る。)
(それだけで、私はまだ生きていられる。)


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