朝礼を終えて食堂に行くと、今話題の人が居た。
「あ、あれって東雲さんじゃないか?」
「…だな。何でカウンターに居るんだ?」
『おはようございまーす。』
「「って、椿!!」」
とりあえずあれこれ思案していても埒があかないのでカウンターに立っている“彼女”に話し掛ける。
(その時後ろで八左ヱ門と三郎が何か言っていた気がするが面倒なので聞こえないフリをしておいた。)
彼女は私達に気が付くとニコリ、と花のような(それこそ男は赤面するんじゃないかという程見事な)笑顔を浮かべた。
…ほら言わんこっちゃない、周りは顔を赤くして固まっている。
『初めまして。私は五年い組、夕凪椿です。よろしく、東雲さん。』
「あ、東雲優莉です!椿…ちゃん?よろしくね!私のことは優莉でいいよ、敬語もいらないから!」
『わかった。』
取り合えず挨拶をして手を差し出す。
女なのに忍たまに居ることが不思議なのか、彼女…優莉は小首を傾げながら私の手をとって握手をした。
それを見ながら、あぁ、男はこういう仕草に弱いんだろうな、と何となしに考えた。
「あ、俺、竹谷八左ヱ門!八でいいぜ。よろしくな!」
私を押し退ける勢いでズイッと八左ヱ門が身を乗り出して優莉に自己紹介した。
それを皮切りにみんな各々の自己紹介をし、話に花を咲かせる。
あぁ、いつになったら飯が食えるんだ。
盛り上がる友達達を見つつ、静かに溜め息を零した。
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