いざ集合してみると…なるほど。
生徒皆が目を輝かせてざわめいていた。
天女様の噂はもう学園の隅々まで行き届いているらしい。





「お、椿!兵助!勘右衛門!」





周りを見回していると、不意に名前を呼ばれた。
声の先を見てみると、友達の竹谷八左ヱ門が大きく手を振っていた。
すぐ傍には同じく友人の鉢屋三郎と不破雷蔵が居た。





『おはよう、皆。』

「はよー!やっぱ皆も天女様の噂聞いてんの?」

「あぁ…新しい事務員さんだろ?」





やはり情報は隅々まで届いているようだ。
…天女様、ねぇ…。





『皆よくそんなお伽話に真剣になれるな。』

「俺もそれに同意。さっすが俺の椿だ。」

『私は三郎のものじゃない!』





鉢屋三郎…懲りない奴だ。
そう思いつつも脛目掛けて蹴りを放った。
三郎が痛みにのたうち回るのを尻目に壇上へ目を向ける。
…何故なら、学園長の気配がしたから。
周りの皆は浮足だって気付いていない。…まったく。





『お前ら、いつまで学園長を待たせる気だ。』





一つ溜め息をついて吐き出した言葉は、思いの外空に響いた。




 



 


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