『…面倒だな。』あの教室での事件があってから早三日。あの言葉は運よく誰にも聞かれておらず、広まることはなかった。兵助と勘右衛門も誰にも言っていないようだ。それはいい、が。『チッ…。』あぁ本当に面倒だ。いつも通り授業を終え、長屋の自室に戻ると見事に荒らされていた。それだけなら別に大したことはないのだが…『私の扇はどこに行った…!』あれは亡き母上に頂いた大切なものだ。それにあれは…『探さなければ…。』早く取り返さないと大変なことになるぞ…!