気付いたら私は板を外して、兵助達の前に降り立っていた。二人とも、私が居ることに気付いていなかったのか、しまった、という苦々しい面持ちでこちらを見ていた。「椿、今の聞いて…」『勘右衛門。』恐る恐る発した勘右衛門の言葉を遮り、名前を呼ぶ。『私が、やったんだ。』私の口から吐き出された言葉は、三人しか居ない教室にいやに響いた。(私の為に人が傷付くことに、弱い私は堪えられなかった。)