「だぁーれだ。」





ゆるーい声が耳のすぐ横で少しばかり楽しそうに漏れる。
なんでか私はコイツに気に入られているみたいだな。





『…何か用か?喜八郎。』

「流石私の先輩ですー。すぐ分かるんですね。」

『だぁれがお前のだ。』





四年生の綾部喜八郎、通称穴掘り小僧。
気に入られているのか見かける度に私にちょっかいかけてくる可愛いような迷惑なような後輩だ。





「先輩はあの人と話さないんですかー?」

『まぁ、後が詰まっても悪いし。何よりあの桃色空間へ飛び込めと?』





飛び込んで行った結果、盛大に睨まれたわ。
ポツリと溜め息と一緒に愚痴る様に吐き出すと、勘右衛門に頭をぽんぽん、とあやす様に叩かれた。





「元気出せよー、椿。最初だから皆珍しいだけだって!」

『…別に拗ねている訳ではないんだが…。』

「まー、気にしないで!いっつも撫でられてばかりだからたまにはね。」





そう言うと至極楽しそうに勘右衛門は私の頭を撫でる。
なんというか、頭を撫でられるのはこんなに恥ずかしいものだったのか。
…今度から少し控えることにしよう。





「大丈夫。きっとすぐに元通り皆と過ごせるから。」




 



 


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