正直、居た堪れない。
それは勿論、八左ヱ門の機嫌が急降下してしまったというのもあるが、六年ろ組の七松小平太先輩がさっきから私を殺さん勢いで睨んでくるからだ。
…おお、そういえば彼女は六年生が拾ったんだったか。
最高学年がそんなに簡単に突然やってきた女を受け入れていいものなのか…最もプロに近い忍たまだろうに…。
はぁ、と溜め息を一つ吐いて優莉からB定食を受け取り先に席に着く。





『(正直…。)』





こんなにも一人の女に学園が侵されるとは思わなかった。
別段彼女のことが気に食わない訳ではない。
(ただ、何故か無意識に苦手意識は持っているようだが…。)
再び溜め息を零す。
…あぁ、彼女が来てまだ初日だが、この様子だと溜め息が口癖のようになりそうだ。





「…椿、すげぇ遠い目してるよ。」

『んぁ?…勘右衛門。』




呆れた様な声に顔を上げると、そこには勘右衛門がお盆を持って目の前に座っていた。
ふ、と優莉を見ると、まだきゃぁきゃぁと話しているようだった。
…なんで勘右衛門はここに居るんだ?





『…いいのか?あれ。』

「ん?あぁ、優莉ちゃんと話すより椿と一緒にご飯食べたいし!」





にこーっと笑いながら勘右衛門は食事に手をつけた。
…嬉しいことを言ってくれるなぁ…。





『…勘右衛門、お前やっぱいい奴だなぁ。』

「別にそんなことないと思うけど…。」

『いや、いい奴だよ。ありがとう。』

「へへ、なんか照れるね!」





頬をほんのり赤くして視線をさ迷わせる勘右衛門。
か、可愛い…男に言うのはなんだが可愛い。





ふ、と急に背中が重くなった。
首の前に誰かの手が回される。




 



 


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