『よし、皆注文言ったな?』





確認の意でそう言うと、みんな元気に「はい!」と返事した。
よしよし、何とか始業には間に合いそうだ。
…まぁ間に合わなかったら私が先生に事情を説明して頭を下げるしかないか。





注文をおばちゃんに伝えるためカウンターへ行くと、例の彼女…優莉の姿は見当たらず、おばちゃんだけが忙しなく働いていた。





『おばちゃん、優莉は?』

「あぁ、彼女なら…ほら、あそこ。」





おばちゃんが指差した先を見ると、なるほど。
楽しげに五年生と食事をする優莉が居た。
今からまた一年生の盛り付けなどあるというのにまったく…。





『おばちゃん、手伝うよ。』

「ごめんねぇ、椿ちゃん。」

『おばちゃんが気にすることないさ。早く盛りつけないと始業に間に合わないしね。』

「そうね、頑張りましょ!」





大急ぎで一年生に盛りつけた朝食を渡しているとアイツらが食堂を出ていくのが見えた。
あぁ、優莉と話すのが楽しくて私は忘れられているんだな…。
まぁだからと言って別段寂しいと思ったりはしないが。





『というか仕事途中放棄かよ、アイツ…。』





勿論アイツ、とは東雲優莉のことだ。
せめて自分の仕事くらいきちんとこなして欲しいものだな、と呟くと視界に水色が飛び込んできた。





「椿先輩、一緒に食べましょう!」





満面の笑みを浮かべた一年は組の猪名寺乱太郎が私のお盆を持って立っていた。
…おいおいおい、それお盆持ってる時点で強制だろ。





『じゃあ…ご一緒してもいいかな?』

「あ、椿先輩ここ!ここっス!」





きり丸が元気よく手を挙げて呼び掛けてくる。
ありがたくそこにお邪魔することにした。




 



 


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