「せんぱぁい…。」





くいっくいっと袖を引っ張られて顔を向けると、ちょっと涙目になっている一年坊達が居た。
いろはが揃っているのに喧嘩が起きないとは珍しい。
とりあえず声をかけてきた一年ろ組の下坂部平太の頭を撫でながら視線を合わせる為に低く屈む。





『どうした?平太。』

「僕達お腹が空きましたぁ…。」





その言葉に一年生達が首を縦に振って私を見てくる。
つまり…お前アイツらの友達なんだから何とかしろ、と。
出来ればあの桃色空間には入りたくないんだが…可愛い一年生の頼みとあらば致し方ない。
何より私も腹が減ったし、始業に間に合わなくなる。
意を決して立ち上がると未だにキャイキャイと騒いでいる六人に話しかけた。





『ほら、お前らその辺にしないと始業に間に合わなくなるぞ!』

「え?あ、やっべ!」

『あと一年生達が腹を空かせてるんだ。おばちゃん、私はA定食!』

「はいよ!…ありがとね、椿ちゃん。」

『いえいえ。あ、一年の分の注文とってくるわ。優莉はみんなの分とっといてよ、あ、私待たずに食ってていいからな!』





それだけ言うと私はそそくさと水色の団体に飛び込んだ。
『さあ、椿先輩が注文とるぞー!』とおちゃらけて言えば一年生はキャッキャッと皆寄ってきた。
可愛い奴らめ…!




 



 


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