In other words, they are stuck on him.

梅雨が来た。曇っては雨が降り、太陽を拝める日が恋しい季節。

「あ、ペトラ。何してんの?」
「あっ!いや、あの、これはね…」

ペトラがとっさに隠した机の上からは団扇の骨組みが見えた。

「団扇作ってんの?暑くなってきたもんねぇ。手作りとか女子力たか……は?」
「えへへ、リヴァイ兵長がね、暑ィな、って最近言うから作ってみたの!喜んでくれるかな?」

団扇に貼られるであろう紙にはハートが撒き散らされたリヴァイと言う文字があった。どう反応すべきなの…

「よぉ!見てくれよコレ!この暑い季節でも着られるYシャツだ!兵長が暑ィな、って言ってたからな。プレゼントでもしようと思ってだな!」
「おー。オルオ!長袖は暑いもんね……は?」

オルオ、暑ィな、の部分兵長の真似してるんだったらやめてくれない?とペトラが告げる中、私が目にしたのはそのYシャツだった。透け透けだ。まごうことなき透け透けだ。誰が着るんだよ。どこの変態だよ。気付いてご覧よ、自分だったら絶対着ないって事に…

「…あれ、グンタ。洗濯?」

そこを通りかかったグンタは白い布と洗剤を抱えてこっそりとあたし達の間を通り抜けようとしていた。

「えっ、いや、これはだな…あっ」
「なにこれ…もしかして、兵長のスカーフ…?」

スルリと一枚落ちた布はどうやらリヴァイがいつも首に巻いている物らしかった。

「最近、部屋干しが多いからな!良い柔軟剤手に入れたんだ!スカーフから香る匂いって大事だろ。ちなみにオレも同じの使ってんだ!」

タウニーと書かれた容器を自慢気に見せてきた。こいつら駄目だ。彼を尊敬するを通り越して変態だ。

「グンタ、兵長はソプラン派だ…甘いぞ。」
「イヤ、何で知ってんのよ、エルド。」

いつの間にかリヴァイ班の全員が揃っていた。なんかもう潔すぎていっそ清々しい。

「ちょっと、ずるいよグンタ!スカーフ洗う前に匂い嗅がせて!」
「ペトラ、お前にはまだ早い、なぜならお前はまだオレの域に達してないからだ」
「はっ、俺はもうずっと兵長と同じソプランを使ってるんだぜ!」
「こっちのが良いに決まってんだろ!兵長のスカーフ洗ったこともないくせに!」



ギャーギャーと繰り返される議論に、もはや変態達による討論にあたしは偶々通りかかった兵長に軽い同情の視線を向けた。アレでも優秀な奴らだから…とかなんとか彼が微かに震えながら言っていたようなそうでないような。まぁ、愛故なんでしょうね。

20130629~0723

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