amolevole

「みんな!集まってくれ!今日は企画をするぜ!」
「題して吹奏楽部特別企画みんなのあだ名つけまショー!!さあ、みなさん拍手ー!」
「…なにソレ」



1日練習の昼休憩。企画係のサシャとコニーが突如として始めたのは、みんなのあだ名を考えようという企画だった。基本名前で呼び合っているあたし達に新たな刺激を、とか意味わかんない事を楽しそうに言っているものだから、他のみんなもしょうがないとでも言うように集まってきた。


「ジャンはジャンジャンでしょ」
「ナマエ、言っとくけどな、そう呼んでる奴お前だけだからな。」
「オレもそれで呼んで良いならそう呼ぶよ、ジャンジャン」
「マルコオオオ!おま、お前だけはやめてくれ…!」
「ジャンジャンのあだ名考えるのはおもしろくないや、次行こ、次」
「ナマエテメェ…!!」

今にも殴りかかってきそうなジャンをマルコが止めているのを横目に、じゃあ次はライナーとベルトルトにしましょうか、とサシャが言った。

「そりゃあ、ライナーとベルトルトっつったらホモと腰巾着だろ」
「ちょっとユミル!それはヒドイよ!」
「ぶふっ…ホモ…!」
「ナマエ、笑うな!」
「…腰巾着…」

ユミルが2人に対してあだ名というか悪口じゃねそれ、というような事を口にしていつものようにクリスタがそれを止めたけれど、あたしはホモと呼ばれたライナーに思わず噴き出してしまった。

「ベルトルトはもっとあるよ」

アニがそう言うと部員達の口からはそれはもう次々とベルトルトのあだ名が提案される。

「ベルべトン」
「ベルトコンベアー」
「ベトベトン」
「ペロペロト」
「ベーコンレタス」
「レロレロト」
「…もう好きなように呼んでよ…」

腰巾着と言われて肩を落としていたベルマーク、いや、ベルトルトは、ついには半ば諦めてそう呟いていた。あだ名がいっぱいでいいね、レトルトカレーって言ったら睨まれた。ごめんなさい。


「サシャは芋女で決定」
「異論なし」
「えっ、ちょっとみなさん…!?」
「エレンは死に急ぎ野郎だろ」
「俺がいつ死に急いだって言うんだよ!」
「アニ・ライオンハァア〜ト!痛ッ!ちょっ蹴らないで!そんな悪くないじゃん!」
「歌ったのが腹立った。」
「な、なんかごめん…」
「アルミンは、あれだ。クルミン・コロガルト」
「え、何それ…」
「あー、最近どこかで流行ってる奴ね」
「ナマエのあだ名は何にします?」
「バカ」
「アホ」
「単純」
「エルヴィン先生の飼い犬」
「今すぐ殴りたい」
「それもう特徴じゃんっていうか特徴でも無いし悪口しか言ってないからああ!犬って何!ジャンジャンそれ自分の希望だよね!あだ名じゃないよね!なんかもうやだ!」


もはやあだ名を付けているのかよくわからなくなってきた頃、じゃあエルヴィン先生はどうする?とコニーがニヤリとして言った。


「私のクラスの子がエルヴィン先生の事ヅラじゃね?って言ってました!」
「……は?言った奴誰今すぐぶちのめす」
「お、俺は恐れ多くてヅラヴィンとか言えないぜ…」
「おいライナーもう言っちゃってるから」
「ぶはっ…ぶはははは!もうヅラってだけでウケるな!」
「お黙りコニー!!こっそり笑うなジャンジャン!」
「あー、こないだハンジ先生と話してたらあの人、エロヴィンとか言ってたぜ」
「…ヴィンヴィン」
「やめっ、やめてえええええ!何でそんなのしか出てこないの!ヅラじゃないしエロでもないからああ!誰だ今ヴィ、ヴィンヴィン…とか言ったのお!」
「ドンマイだな、ナマエ」
「ちょっドンマイって何!?だめだめ!そんなあだ名あたしが許しません!」
「さーて、練習戻るかー」
「おっ、もう時間か。ヴィンヴィン先生が来る前に移動しなきゃな」
「コラァ!ユミル!…みんなこういう時だけ練習戻るの早い…」


とんでもないエルヴィン先生のあだ名を吐くだけ吐いてみんな練習に戻っていくのをあたしは途方に暮れて見つめていた。



「ヅラ…」
「お前まだ気にしてんのかそれ。いいから帰るぞ」
「ライナーもそう思ってたの…?」
「い、いや別に…」
「まあライナーはホモだもんね」
「マジでやめてくれ」
「うん、今日の事は忘れよう。」



エルヴィン先生…みんなみたいに変なあだ名を言って先生の事を笑うなんて、そんな事あたしにはできません…

正直に言うと噴きましたごめんなさい。



amolevole / 愛情のある
(悪口じゃないよ。愛ゆえだよ。)

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