外的選好

いつも楽しげに仲間と話すナマエを見つめては、何を話しているんだろう、自分もあの輪の中に入りたい、と思っていた。
別に他の誰かと話したいわけじゃない。いつもナマエと一緒に居たいから。



就寝までの休憩時間、皆が思い思いの時間を過ごす中、ベルトルトのベッドの上にはナマエも居た。部屋には彼らしか居ない。ナマエは彼の本棚を漁って読みたい本を探し、見繕った本を読んでいる。2人は時間があればこうやって本を読んだり、たわいもない話をしたりしていた。それ以上の事も時々、する。

ベルトルトは本を読むふりをして、ナマエの姿を見ていた。先程から抱きしめたい、という欲がぐるぐると胸の内で渦を巻いている。

「ナマエ、」
「何?ベルトルト、うわっ」

欲と戦う事はせず、ナマエを後ろから抱きしめて首筋に顔を埋める。

「誰か来ちゃうよ…」
「ん、ナマエ良い匂いがする」
「本読みたいんだけど、」
「ナマエ、今日コニー達と何話してたの?」
「何って普通に訓練の話とか、教官の話とか」
「ふーん…」
「うん、ベルトルトに話してもつまんないような話ばっかしてたよ」
「楽しそうだったけど、」
「だってあの2人おもしろいもん」
「ごめんね、僕はおもしろくなくて」
「そういう意味じゃないよ…っひゃ、!」

ベルトルトはナマエのブラウスの下に手を這わす。自分のとは違って柔らかいし、滑らかだ。ナマエはベルトルトの手をブラウスの上から掴む。やめて、と言うように。

「ひぅ…ベル…」
「ナマエ、すき。したい。」
「やだって言ってもいっつもするじゃん…」
「ナマエは、僕の事すき?」
「…好きだよ、ベルトルト」
「じゃあ、してもいい?」
「た、多分。」

多分って何、ベルトルトはナマエを押し倒しながら呟いた。
そっと触れた唇に、自分のそれを重ねようとすると、バン!と入り口から音がした。

「いっ…!!」

ライナーやコニー達が入ってきた瞬間ナマエはベルトルトの顎に手を掛け押し退けて、彼が顎を押さえるのも余所にものすごいスピードで起き上がった。

「おー、ナマエ。そろそろ就寝時間だぞ。」
「やっ、やほー!ライナー!そだね、も、もう戻らなきゃ、!!」

「ナマエ…痛い…」
「ご、ごめんね。ベルトルト…でも、もう戻るね?」

ナマエは謝罪の気持ちも込めてベルトルトの手を軽く握った。ベルトルトはその手を強く握り返し、ナマエを真っ直ぐ見つめた。

「あと、」

ちゃんと好きだからそんな不安そうな顔しないで、とナマエは誰にも聞こえないように囁いた。

「ナマエ、ずっとそばに居て?」
「うん、居るよ」
「じゃあ、また明日」

そう言ってベルトルトはナマエの手を離した。



大丈夫、離してもまた戻ってくるんだから、そう自分に言い聞かせてベッドに潜り込んだ。

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