酸素の海を泳ぐ

「ハンジ!リヴァイは!?」
「さ、さあ?帰ってきてから見てないけど…それよりナマエ、血まみれだけど大丈夫?」
「ありがとハンジ!」
「ねえ!ナマエってばケガ…!」

壁外調査が終わり、壁の中に帰って来た。それだけで張り詰めていた緊張の糸がゆるゆるになって体が崩れてしまいそうだ。でも、リヴァイに会いたい。会いたいというか、生きているのか確認したい。ハンジが帰ってきてから見てないと言っていたからとりあえず生きてはいるはず。会いたい。


どこ…?どこにいるの?


他の調査兵やリヴァイ班のメンバーに聞いても皆見ていないと言う。生きているはずなのに不安が押し寄せてくる。しばらく本部の中を歩いていると突然腕を引っ張られ、腕が伸びてきた部屋に引きずり込まれた。

「ぅ、わっ!」
「テメェ、どこに居やがった」
「リヴァイ、良かった!生きてた!」
「死ぬ訳ねェだろ、馬鹿が」

私はリヴァイの姿を見てその体に飛びついた。血まみれの私に、汚ェな、と言うのはいつも通りの事である。満足してその体から離れると、次はリヴァイが私の頬を両手で包んだ。

私とリヴァイは壁外調査から帰れば1番にお互いを探す。私は彼が生きているか確かめたいからだ。リヴァイは…どうしてだろう…。でもお互いを探すのはずっと前からしてきた事だった。多分、今日は行き違いばかりで見つからなかったんだろう。

両の頬を包んだリヴァイの顔が次第に近づいてくる。私達の間ではキスをするのが生存確認代わり。お互いの酸素を交換するように唇を合わす。

「ん、…リヴァ、イ」

息ができないくらい長いキス。次第に舌も潜り込んでくる。お互いに獣みたいにがっついて、どちらのかわからない唾液が顎を伝う。粘着質な音が、脳味噌の働きを低下させていく。この苦しさが、生きているという事を実感させてくれる。

「んぁ、く、るし……」
「、は…相変わらず、下手くそだな」
「はぁっ…はぁ……えへへ、リヴァイの、キス、好きなんだけどなあ」

そう言うとまたキスされる。だんだん腰が抜けてきてそのままずるずると壁に背をつけたまま座り込むけれど、彼のキスは止まる事はなかった。くらくらする。あ、そういえば足から血が出てたの、止めてないや。

「ナマエ…会いたかった」
「うん。リヴァイ、良かった、生きてて」
「ああ」

そのままリヴァイは私を強く強く抱きしめてくれた。落ち着く。生きてる。良かった。とりあえず、生存確認終了だ。
出血が多かったのか、段々と意識がフェードアウトしてゆく。まずったなあ…。それでもリヴァイの腕の中で眠れるのが幸せだった。このまま死んでも良いくらい。

「ナマエ、医務室行くぞ。いっつも先に行けって言ってんだろ、グズ野郎」
「ん、おねがい、しま、す…」


リヴァイ、また目が覚めたら、キスしてね。



目が覚めたら、何で先に怪我の治療をしなかったのかとハンジの拳骨をくらった。そんな光景を見て、リヴァイは知らんぷりをしているし、エルヴィンは呆れ顔で笑っていた。

うん、これも生きてる証拠。

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