You and I
「俺はお前が嫌いだ。」
「え、ちょ、ひどくないですか、ソレ。」
「この間ハンジと出掛けていただろう。」
「ああ、紅茶が切れてましたし、ハンジさんが研究室に篭りっぱなしで腐ると思ったので。」
「あんなの放って置けば良い。」
「街に行くくらい良いじゃないですか…」
「それとエレンにも、エルヴィンにも構うな。」
「それは仕事上、無理です!」
「…うるせえ、俺の言う事が聞けねぇのか。」
「…なんであたしの事嫌いなのにそんな寄ってくるんですか」
ジリジリとリヴァイはナマエに近づいていく。リヴァイが一歩近づけばナマエは一歩下がった。
「…リヴァイさん、嫉妬ですね」
「チッ…これだから嫌いなんだ」
お前さえいなければあの胸糞悪い奴らを削ぎ続ける事だけに専念し続けられるんだ、とリヴァイは思った。なのにナマエと出会ってからやけに仲間と居る事が楽しいと感じてしまうし、ナマエが他の奴と一緒に居るところを見るとイライラする。しかもその感情がなんであるかわかっているナマエに余計腹が立った。
「リヴァイさんがあたしの事嫌いなのはよくわかりましたから別に良いんです。」
「だから、何だ」
「あたしはリヴァイさんが好きですよ。」
ナマエは嫌みなく笑って言った。
結局このセリフを待っていたのだ。自分だけを思っているナマエが欲しい。嫌いだと言っても好きだと言ってくれる。
一歩近づけば一歩下がるという攻防戦を繰り返したままだったが肘掛け側からソファに引っかかったナマエは、うおっ、と色気の無い声を出しながらぽすんと背中から白いカバーへと倒れ込んだ。
リヴァイもソファに膝を掛け、ナマエの横に手をつく。
「どうしたんですか、あたしの事嫌いなんでしょ?」
「うるせぇ、どうしようが俺の勝手だ」
リヴァイは彼女の首筋から頬、唇、額に唇を落としてゆく。
出会わなければ良かったのか。でも嫉妬も憂鬱なのも、ナマエが居ないとつまらないと思うのもそうしなければわからなかった。
「…嫌いだ」
「だから別にそう言ってればいいんですよ。」
「リヴァイさんは行動でわかるからまだマシです。」
ナマエはリヴァイの目を真っ直ぐに見た。さすがに嫌いだと言い過ぎたか。効力が薄れてきた。それならば、
「ナマエ、」
「なんですか、リヴァイさん?」
「愛してる」
極端だなあ、リヴァイさんは、と言って彼女はリヴァイのキスを受け入れた。