26:黒とゴールド



「なぁなぁ、跡部の好きな色ってなにー?」
「あーん?黒とゴールドだな」
「へぇー!跡部らしいしー!」
 試合でもねーのにジローのやつが起きてると思えば、ベンチに座って休憩してる跡部に騒々しく話しかけはじめた。跡部も跡部で、真面目に答えてやがる。
「でもなんで黒とゴールドなの?」
 タオルで丁寧に汗を拭ってる跡部の横にわくわくした様子で座るジローが、いかにもキラキラした目で跡部を見つめる。跡部はコート内に投げていた視線を一度だけジローに向けてから「バーカ」と鼻で笑った。
「キングに相応しい重厚感のある色といえば黒、そしてそれを引き立てる最高の色がゴールドだろ?」
 最後にもう一度ジローを見遣る跡部。あのニヤリとした得意げな顔。ほんっとムカつくよな。激ダサだぜ。
「へぇぇー!跡部かっこいいしー!」
 そして真面目に感動してるジローのやつもどうかと思う。相変わらずキラキラした視線で跡部を見て一人でわくわくしてやがる。まったくあいつはいつまであの調子なんだか。それに対して跡部はひとこと「ありがとよ」だと。いざ褒められるとサラッと流しやがるところが更に腹立つぜ。だいたい黒とゴールドっていう組み合わせがちょっと派手なんじゃねーか?そらぁ…派手好きな跡部には似合っ…似合ってる、けどよ。あーなんで俺がこんなこと言わなきゃなんねーんだよ。とにかく、似合ってる云々は別として、派手すぎなんだよ毎回毎回。お前の時の氷帝コールはいいけどよ、俺たちのときまであのコールされんのちょっと恥ずかしいんだからな。今でこそ慣れちまった感じはするけど、最初の頃なんか毎回恥ずかしくて棄権したかったくらいだぜ。まったく派手好きが部長にもなると困ったもんだよな。テニス部自体がダサくなってくるぜ。

「宍戸、お前さっきから俺に文句があるようじゃねーの。あーん?」
 すると突然跡部が振り返って俺に話しかけるもんだから、つい驚いちまって「なんでもねーよ!」と吐き捨てて走り去る俺が、実は一番激ダサだぜ…。



























***

黒とゴールドが好きらしい。
氷帝ユニフォームのアースカラーも似合うけど、茶色系の制服も似合うし…実は跡部ってすごい多様性を秘めてると思う。


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