白石×仁王



「…ぷぴ」
「プピーナは言わせへん」
「…先手を打たれちゃ敵わんのう」
「当たり前や。もうプリッやらポピッやら変な言葉は言わせへんで」
「ポピッは使ったことないけどの」
「あー…ごほんっ。ええか、とりあえず仁王クンとは対談2回目や。なんでやと思う?」
「なんとなく納得いかんかった白石がもう一回やらせろとせがんだ、に一票」
「んんー、ほぼ完璧な回答や。異議なし」
「…俺はお前さんがようわからん」
「お互い様やろ」
「そうじゃな」
「そんでやな、今日はアレやねん。前回の俺のやきもきした気持ちを払拭したいねん」
「ほう」
「っちゅーわけで、コレや!見てみーこの写真!綺麗やろ?」
「ただの白いアサガオの写真に見えるんじゃけど」
「はっはーん。これな、アメリカ朝鮮アサガオって言うてな、」
「アメリカなのか朝鮮なのか、それともただのアサガオなのかわからんな」
「せやろー。なんとこの花な……毒草やねん」
「ほう。そういえばウチの参謀が言うとったのう。白石は毒草に詳しいとかなんとか」
「せや。俺めっちゃ毒草好きやねん」
「それで?そのアサガオはどんな症状が出るんかのう」
「おっ。ええ質問やー仁王クン。乗ってきたなぁー」
「いいから早く進めんしゃい」
「おう。この花はな、花の部分から根っこまで、何から何まで全部毒やねん」
「おっかないのう」
「せやろ?このアサガオを花瓶に差したかて、その水も毒なんや」
「ほう」
「誤って口に入れたら大変や。痙攣、頭痛、幻覚や意識喪失、興奮したり錯乱したり呼吸停止に陥ったり…しまいには命を落とす危険性もある。麻酔薬の材料として使われることもあるんや」
「ほーん……、いいこと聞いたぜよ」
「んっ?なんか言うたか今?」
「なーんも言うとらんぜよ」
「さよか。んでな、この花の憎たらしいとこっちゅーたら、この見た目のかわいさや」
「そうじゃな。まぁ普通のアサガオじゃな」
「そうやねん。でもな、普通のアサガオは青い色が多いやろ。アメリカ朝鮮アサガオは白いねん。しかもこういうチョロッと毛みたいなんがついてる。なんか仁王クンの髪の毛みたいやな!」
「毒草と一緒にしないでほしいナリ」
「ほんでな、このアサガオの仲間でキダチ朝鮮アサガオっていうのもあるんやけど」
「きだち?」
「おん。キダチ朝鮮アサガオや。このアサガオはな、花が下を向いて咲くねん。せやからエンジェル・トランペットっちゅー大層な別名がついてんねん」
「しかし仲間なんじゃったらそれも毒草か?」
「せや!せやねん!エンジェル言うても毒草やねん!おもろいやろ?」
「別におもしろくは…」
「…おもろくなかったか?」
「……いやいや、そんな目で見られても困るんじゃけど」
「…おもろくなかったか?」
「なんで2回も聞くんじゃ。あー、わかったわかった、おもしろかった。お前さんの毒草を語る姿が嫌になるほど眩しいぜよ」
「はっはっはー!せやろ!仁王クンならそう言うてくれると思うたわ!」
「…めんどくさい男やのー」
「なんか言うたか?」
「いんや、なんにも」
「あっ、せや、仁王クンは神奈川やんな、出身地もどうやら四国のほうみたいやし…」
「ちょ、なに勝手に決めとるんじゃ」
「え、違うん?四国なんやろ?」
「そこらへんはシークレット扱いじゃき」
「さよか。まぁとにかくアレや。とにかく関西の風習は知らんやろ?そしたらこの花なんかええネタになるんちゃうかと思って」
「何枚写真持ってきたんじゃ」
「30枚くらいやな」
「撮ってきたんか?」
「いや、毒草図鑑の写真を引っ張ってきた」
「そりゃご苦労さん」
「おん。あったあった、これや。見てみ、これ」
「…白い花ばっかりやの」
「せやねん。毒草って割りと白い花多いねん。で、これはシキミ言うてな、花に毒はないんやけど、葉っぱや実、樹皮に毒があんねん」
「ほう」
「でもな、これも危ない毒草やからな。嘔吐、下痢、目眩、痙攣くらいやったらまだしも、意識障害や呼吸麻痺、全身麻痺を引き起こすこともある。これもひどい場合死ぬ可能性があんねん」
「こんな葉っぱで死ぬんも嫌じゃのう」
「せやなぁ。まぁ何よりおもしろいのは、関西地方ではこの花が葬式の時に供える風習があるところがあんねん。今とは違って、昔は遺体の臭いに苦労しとったみたいで、このシキミの花と一緒に焼いてたらしいねん」
「この花である意味はあるんかの」
「あるで。この花の木は"香の木"とも呼ばれてるくらいや、それくらい匂いが強い。せやからこの花の匂いで打ち消そうとしたらしい。それが今の供える風習に変わってるんやな」
「ほう。じゃあお前さんが死んだらそれ供えたらいいんじゃな」
「ちょお待ちや。勝手に殺すな」
「いや、今の話の流れからいくと"だから俺が死んだときはこの花を供えてくれ"っていうメッセージかと」
「ちゃう!ちゃうで!まだ俺死なへんし!」
「ははは。すまんすまん」
「まったく仁王クンはどこまで本気でモノ言うてんのかわからへんわー」
「よく言われるぜよ」
「んんー、仁王クンをはじめ、立海の人たちは大阪人並みに個性ありすぎてるわ。そう考えるとホンマ幸村クンすごいなぁ」
「まぁ本気で怒らせるとトラウマになるじゃろうけど」
「そら五感奪われたら二度と近付きたくなくなるわな」
「ははは。…さて、お前さんの毒草知識自慢も聞いたことじゃし」
「もう帰るんか?」
「……男に引き止められても全然嬉しくないのう」
「すまんすまん。やっぱり俺の話…おもろくなかったやろ?」
「まぁただの毒草の話じゃったからのう」
「んー、仁王クンと打ち解けるには時間がかかりそうやな」
「俺と打ち解けてどうする気なんじゃ」
「いや、友達百人作ろかなー思うて」
「お前さんじゃ知り合い程度で十分じゃな」
「さよか…」
「まぁしかし、毒草の話をする時のお前さんは輝いとったぜよ。これからも知識を増やしてったらええんじゃないか?」
「あ、ちょ、仁王クン…!」

 去り際にちょっとだけ褒めてくれた仁王の背中が閉まるドアで見えなくなるのを白石はただ呆然と見ていたのだった。























***

なぜか対談2回目の二人(笑)ただ毒草の話をさせたかっただけなんです、すみません。



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