平古場×南
※この文章は一部副音声(標準語)でお伝えしております。




「……あい?」
「…え?」
「やーは…誰だ?」
「え?あ…ああ、そうか。俺たち山吹中とは当たったことがないから知らなくても当然か。俺は東京の山吹中3年、テニス部部長の南健太郎だ。よろしく」
「東京の山吹……あー、あの個性派揃いの。一応知ってるぜ。イカレたヤンキー野郎に、ナンパが趣味のチャラ男、チビっこいヘアバンド、妙に強い頭に草の生えたのとほっぺに渦巻きのあるダブルス」
「………」
「……ん?永四郎が言ってたな、山吹中はダブルスが強いって」
「ああ、俺たちはダブルスでは全国区だからな」
「でもあと一組だけ教えてもらえなかったさー」
「え?」
「だって永四郎のやつ、こーやって眉間に皺よせて怖い顔して、どうしても思い出せません、フッ、俺としたことが…とかなんとか言って結局思い出せなかったさー」
「ああ…そうなんだ…。あと一組のダブルス、片方俺なんだけど…」
「あー………そりゃ永四郎も、思い出せないはずやっし(わんも次会っても思い出せんど)」
「…もう一人は、東方って言ってな、すごく頼りになるやつなんだけど」
「へー。ひがしかたって言うのか。別に興味ねーやんど」
「………あのさ、」
「あい?」
「……お前は…なんだか派手だな」
「んー…髪の色のせいじゃないか?明るいってよく言われるし」
「でもお婆さん思いだって聞いたよ」
「…このタイミングで"でも"で切り出す話題じゃない気がするんど…とにかくそれ、どこから聞いた話だか知らないけどそのことは忘れろ」
「まぁそう照れるなよ。この情報はお前のところの部長が教えてくれたんだよ、さっき」
「……え、永四郎のやつ…だから永四郎には知られたくなかったんさー」
「でも俺、思うんだけどさ。お前…髪の色を暗くしたとしても、きっと派手だと思うんだ」
「…んー、そうかもな。地味なのはわんも性に合わないし」
「そこでちょっと質問があるんだけど、聞いてくれるか?」
「まぁわんに答えられる範囲ならいいやんど」
「ああ。あのさ……」
「………」
「…俺って地味かな?」
「………」
「……(答えられない範囲の質問だったのか?今の)」
「………」
「……(なんか言ってくれ)」
「…やーも、髪染めてみたらいいんじゃないか?」
「…あ、うん。そうしてみようかな。ありがとう」
「とにかく俺はそろそろ行くさー。あんまり待たせると永四郎カンカンなっからよ」
「ああ、わかった。俺もいいアドバイスをもらったよ」
「(いいアドバイス…)…ああ、まぁ頑張ることだな。それじゃな」
「今度会うときはコートの上でな。じゃあまた」

 去り行く背中までも派手なオーラを纏っている平古場の姿を見て、南は頑張ろうと意気込むのだった。

























***

派手と地味。



back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -