手塚×千石






「手塚くーん」
「なんだ」
「対談だってね。よろしく」
「ああ。よろしく頼む」
「………」
「………」
「……えーっと、」
「………」
「…そのー…手塚くんの、趣味ってなにかなっ?」
「趣味?…そうだな、釣りや登山が好きだな」
「釣り…は、ともかくとして…とざん?とざんって…あれ?山に登るの?」
「ああ、そうだ」
「せっかくの休日でも山に登るの?」
「ああ。せっかくの休日だからこそ登るんだろう」
「…楽しいの?」
「ふむ…そうだな。お前たちの言うような楽しさではないかもしれないが、様々な景色を見たり、自然の音を聞いて心が安らいだり…なにより目標に向かって足を進め、到達したときの喜びがたまらないな」
「そっか……」
「そういうお前の趣味はなんだ、千石」
「えっ?あっ…とー…えっとねー…(可愛い子ウォッチとか言ったら怒られるって)」
「………」
「…あ、うん、いろんなところに行って、人間観察してるかな!うん!ははっ!」
「人間観察か…洞察力を磨いているのか」
「え、ああ、うん、そうそう。手塚くんとこの乾くんとか、立海の柳くんとか、あとルドルフの観月くんとか、みんなすごいからさ」
「そうだな。どんなに高い技術を持っていようとも、メンタル面が崩されて持ちこたえられる選手というのはそう多くない。洞察力を磨いて相手の隙を突くというのはいい戦略だ」
「あ、うん、ありがとう」
「…ところで千石」
「なんだいっ?」
「それとは別に趣味があると聞いているが」
「(どきっ)…え?なんのことかな?」
「なんでも好みの女子を見かけては声をかけていると」
「いやいやいやいや違うよ手塚くん、俺は決してやましい気持ちで声をかけてるわけでもなんでもなく!」
「……そうか」
「うんうん、そうそう!ははは!」
「…ならいい。さて、俺はこれから練習があるからもう行くが」
「あ、うん。ありがとね」
「いや、気にすることはない。最後に言っておくが、」
「うん?」
「…お前も年頃だろう。支障がないのであれば、色恋に目覚めるのも悪くないんじゃないのか」
「えっ、手塚くん…!」

 パタン。と閉められたドアを見つめて、千石は持ち上げた右手を戻すことができずにフリーズした。手塚の背中が「俺はこれからも色恋よりテニスを優先するが、色恋に手を出すかどうかはお前次第だ」と言っているように見えたのだった。


























***

テニス一筋手塚くん。んふっ。



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