おい、見ろよあれ、跡部じゃねぇか?おっ、ホンマや、跡部や。樺地くんもいますね。ばーか長太郎、あいつの横に樺地がいねーほうが不思議だろうーが。それもそうですね。あ、ちょ、待ちぃや、見てみぃアレ。あ?なんですか?跡部の右手に持っとるモン…あれ財布とちゃうか?財布?跡部には財布なんて必要ねーだろ。いや、よう見てみぃ、あれは絶対財布や、ちゃんと小銭入れがついとる財布や!あ、跡部さんが向かってる先って…。おい、まさか…。自販機や!あの跡部が自販機に向かってってるで!日吉!日吉おらへん!?日吉くんは今頃図書室ですよ。ていうかなんで日吉なんだよ。日吉は報道委員やろ、いつでもカメラ持ってるやん。携帯のカメラじゃダメですか?むしろムービー撮っとけ、長太郎。はい、宍戸さん。あ、自販機の前で財布開いたで、しかも小銭入れのとこ開いた!撮ってっか長太郎!はい、宍戸さん!んっ…跡部の動きが止まっ……樺地になんか話しかけとるみたいやけど…ここからじゃ聞こえへんなぁ。……おいかばじ、まんさつしかねぇから、こぜにをよこせ、あとでかえす…。長太郎、お前読唇術できんのか!テニスにバイオリンにピアノに読唇術までできるんか、大した坊ちゃんやな!いえ、これはなんとなくなんですけど…。なんとなくかよ!あ、でも待ちぃや、樺地が自分の財布出した…小銭渡したで!おい、長太郎の読んだとおりじゃねーか。あ、いえ、それほどでも…。それにしても珍しいなぁ、跡部が自販機の飲み物買うなんて…絶対ありえへんで。だよな…しかも買ったのなんだアレ、アクエ●アスじゃねーか。宍戸さん、アクエリ●スはスポーツ時の水分補給にはいいんですよ、ちょっと余分なものが入っているほうがより効果的に摂取と排出がなされるんです。でもあの跡部だぜ?せやー、ありえへーん!…忍足、なんで今ちょっと可愛げに言ったんだよ、鳥肌立つからやめろ、気色悪ィ。ちょ、なんや気色悪いって、傷つくやろ!ふたりともやめてください!っと、長太郎、ムービーちゃんと撮れたのか?はい、一部始終は撮れたと思います。ちょ、なんや俺のこと気色悪いっていうのは撤回…。それにしてもなんで跡部さんはアク●リアスなんて買ったんでしょうかね。さぁな、飲みたくなったんじゃねーのか、俺ら庶民の飲み物ってやつをよ。おいお前ら、俺のこと無視か?あの…忍足さん、さっきから俺の足ちょっと踏んでます…。あ、すまんなぁ、せやけどそういうのは早めに言うてくれてええねんで。あ、はい、なんか言えなかったんです、すみません。おい、ちょっと待て跡部と樺地がいなくなっ…

「てめーらそこで何してる」
「おわっ!いきなり後ろに立ってんなよ跡部!」
「ウス」
「いや、樺地お前ウスだけじゃ伝われへんって。何に対してのウスかわからへんって」
「ったく、物陰に隠れてコソコソしてると思えばお前らか」
「あ、やっぱり気づいてたんですね」
「やっぱりってどういうこっちゃ鳳」
「いえ、途中何度か跡部さんがこっちを見ていたので」
「あーもー、どうでもいいけど率直に聞くぞ。跡部、なんでお前アクエリなんて買ってたんだよ」
 宍戸さんが跡部さんに向かって尋ねると、途端に跡部さんが目を伏せてハッと鼻で笑ってみせた。
「んだよ」
 そのことに少し腹を立てたのか、宍戸さんが眉間にシワを寄せて声をあげると、跡部さんがゆっくりと目を開いた。それから未だ手元に持っているアクエ●アスのペットボトルをちらりと見た。
「…なんとなく目についたからだ」
 少しだけ間を置いてそう呟いた跡部さんはいつも通りの表情を崩さずにいたけど、その一言で俺たちは瞬時に理解した。きっと跡部さんは俺たちの普段飲んでる飲み物が一体どういったものなのかが気になって、買って飲んでみたんでしょう。その結果を聞こうとしたけど、跡部さんは「それだけだ」と言って樺地くんを引き連れて去って行ってしまった。普段から、部室にあるパソコンで色々と検索していることがあるみたいだけど、結局跡部さんって俺たちに近づこうとしてくれてるんだなって思う。すごくいい暮らしをしているけれど、庶民だなんだとバカにしているように見せかけて結局興味があるんですよね。すごい探究心というか、向上心というか。やはり高飛車なだけの人ならば、200人以上もの部員を引き連れることはできない。跡部さんのそういうところを、俺はとても尊敬しています。やっぱりすごい人ですよね。

「長太郎、ムービー絶対に消すなよ」
「あ、はい」
 消去しますか?の画面まで進んでいたけれど、宍戸さんに釘を刺されて電源ボタンで待ち受け画面に戻した。跡部さん、すみません。しばらくの間、この動画で遊んでしまいそうです。
























***

わけわかめ\(^O^)/
庶民に興味のある跡部が好きや!部室のパソコンで「まっく」とか調べてる跡部が!笑

back

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -