mio angel(3)
一松は大きく息を吐いて、肘をついた手の指を絡め、そこに鼻をつけた。部屋に、彼以外の兄弟はいない。兄は昨日から、弟に至っては一昨日から帰ってきていない。兄はともかく弟は二日続けて同じ服を着ることを嫌う。こっそり帰っているかと疑ったが、クローゼットから減った服はないし、洗濯機へ放りこまれた服もない。
何よりも怪しいのは、彼ら二人の職場へ入ったという連絡だ。本日、一松の学校は代休で休みだが、おそ松とトド松は仕事があった。無断欠勤となる可能性もあるため、一応一松から休む旨の連絡をいれたのだ。すると、可笑しな答えが返ってきた。おそ松もトド松も、一身上の都合により、昨日付けで退職しているというのだ。それも、家族と名乗る男からの電話一本で。トド松の勤務先からは、さすがに顔を出してからにしてほしいとまで言われてしまった。
どうしたものかと、一松は頭を抱える。まだ二人の行方が分からなくなって二日だ。成人した男の行方など警察は真剣に探さないだろうし、両親へ要らぬ世話をかけたくもない。しかしざわざわと言いようのない暗雲が、一松の胸に溜り、落ち着いていられなかった。
「……やっぱり、一応警察に、」
―――ピンポーン。
立ち上がりかけた一松は、突如鳴ったインターホンに肩を飛び上がらせた。震えながら息を吐いて、一松は点滅するインターホンを見やる。一定の間隔で鳴らされる音。玄関の外にあるカメラには、有名な猫マークを胸につけた配達人らしき男が映っている。
「お届け物でーす」
その声でハッとし、一松は慌ててボタンを押し、すぐに対応すると伝えた。平日の昼間からしつこく鳴らすということは、時間指定だろうか。とすれば、実家からの仕送りかもしれない。サンダルをつっかけ、一松はチェーンロックを外し、鍵を回して扉を開けた。
「お待たせしました……―――!」
警戒することなく一松が開いた扉に手をかけ、配達人は大きく扉を開く。ドアノブを握ったままだったので一松はよろけて外へ引きずり出される。しかしすぐに口元へ湿った布を押し付けられ、その勢いのまま部屋へと押しこまれた。
後ろ手でしっかり扉を閉めながら、配達人は一松の足を掬って玄関に押し倒す。フローリングに後頭部をぶつけ、一松は顔を顰めた。押し付けられた布から鼻と口へ入りこむ薬品臭に、身体が硬直する。抵抗しようと腕を掴むが、すぐに意識は遠のき、一松の手は玄関のタイルへと滑り落ちた。
一松がぐったりとしてから更に数秒クロロホルムを染み込ませた布を押し当て続け、彼が気絶したことを確認してから配達人は手を離した。玄関で横たわる一松を見下ろし、配達人は目深にかぶった帽子の鍔を押し上げる。
「あは」
チョロ松と共にカラ松の部屋を訪ねた男―――十四松はニッパリと笑った。
時間はあるが、手早く済ませるに越したことはない。十四松は早速、片手で持ちこんだ段ボールを開いた。中身は、拘束具と毛布だ。一松の手足をその拘束具で動かないように固定し、首から下を毛布に包む。口へ猿轡を噛ませることも忘れない。そうしてあまり暴れないようにしてから、段ボールへ一松を入れた。
それから、十四松は何気なく部屋を見回した。どたどたと家主の許可なく靴を脱いで上がり、各部屋を物色する。適当な衣服と一松の財布、通帳と印鑑を見つけ、一松と段ボールの隙間を埋めていく。空気の入る余地を残して蓋をし、十四松は帽子を深くかぶり直した。
そっと人の気配がないことを確認してから外へ滑り出て、用意していた台車に段ボール箱を乗せる。最後に部屋を物色した際に見つけた猫のキーホルダーがついた鍵で施錠し、十四松は「わっせわっせ」と台車を押した。
悪夢だ。ダラダラと冷や汗をかき、一松はふるりと頭を振った。
「でねー、たまたま入ったその店で、カラ松兄さん一目惚れしちゃって、チョロ松兄さんのアドバイス聞いて花束贈ってたんだ!そいで一昨日、トド松がやっと愛に応えてくれたって喜び過ぎて、まだ外堀埋めてないのに連れ帰っちゃったんだよね!」
やばいよね!と黄色いワイシャツを着た男―――一松が目覚めると同時に、十四松だと名乗った―――は大きく身振りをしながら一方的に話を続ける。
要領を得にくい彼の話を統括すると、十四松は三つ子で、イタリアンマフィアの幹部であるらしい。彼らが休暇中に訪れた日本で、長男のカラ松という男が、トド松に一目惚れした。しかし血と硝煙に塗れる生活しか知らない彼は、どうやって愛を伝えたら良いのかわからない。そこで映画やドラマ、次男のチョロ松のアドバイスを元に、あのはた迷惑な花束を贈りつけていたらしい。そして一昨日、何があったか知らないが、トド松の行動の何かを、愛に応えた印ととり、先走って誘拐してしまった、と。
(納得できるか……!)
彼らのいう「外堀を埋める」とは、トド松が兄二人にべったりなことを素行調査で知ったチョロ松が提案したことで、おそ松と一松を懐柔すればトド松をカラ松に懐かせることも容易になるだろうという意味らしい。
それを知った一松はふざけるな、と腹の底から叫びたかったが、口にギャグボールを取りつけられているため、涎が垂れるだけだった。彼らの言う懐柔が、快楽によって堕とすということだと察するに時間はかからず、どんなAVだと唾を吐き捨てたくなった。
「あ、お風呂沸いたっぽい」
十四松は一度部屋を出て行く。その隙にと一松はシーツを蹴ろうとするが、足の指一本すら動かない。
おそ松とトド松も似たような状況にあろうことは、想像に難くない。早く探し出さなければと思うものの、目覚めと同時に無理矢理飲まされた弛緩剤のせいで、一松の手足に力は入らないのだ。
一松が悪態をつくと、勢いよく十四松が部屋に飛び込んできた。
「風呂沸いてた!入ろう!」
ギャグボールを噛まされ、弛緩剤で力の入らぬ一松は、肯定も否定も返せない。
「準備、準備」
リズムをつけて言う十四松がとりだした赤い縄に、嫌な予感がしない方が可笑しかった。
(本っ当意味わかんねぇ……!)
瞬く間に衣服をはぎ取られ、赤い縄で亀甲縛りを施され―――弛緩剤で動けないのに、これは意味があるのかという疑問が浮かぶ―――片手で抱えられ、一松は広々とした風呂場へと連れてこられた。ビル群が一望できる窓が風呂場の一面を覆い、大人二人なら足を伸ばして入れるだろう浴槽がある。普通なら、喜んで入浴を堪能しただろう―――浴槽の湯が毒々しいピンク色をしていなければ。
明らかに一般的な入浴剤のそれではない。口元をぴくぴくと動かす一松を、十四松は躊躇いなくそのピンク色の湯につけた。身体にねっとりとした湯が絡みつく。予想はしていたが、ローション風呂といやつだ。思ったより、気持ち悪い。
十四松は入らず、一松の肩へ桶で掬った湯を甲斐甲斐しくかけてくる。お湯の温もりがじんわりと身体の芯まで染みてきて、一松はホッと吐息を溢した。しかし、ゾワリと寒気と違う何かが下腹部から身体の芯へかけて湧きあがってくる。勘違いかとも思ったが、股間が痛むほど反応し始めたので、ただのローションでなかったと察した。
「―――!?」
十四松が湯をかける度に浴槽全体が揺れて、更に強く肌に絡みついてくる。止めさせたいが、言葉がでない。ギャグボールからぽたぽたと涎が垂れるだけだ。
一松の異変を察したのか、十四松はふと手を止めた。「あ、そうだね!」と一人で勝手に頷いて、湯に触れないようゴム手袋をはめた手を浴槽に突っ込んだ。手は一松の股間へ伸び、持っていた筒のような何かをかぶせる。何だと思う間もなく、ギュンと性器を絞られるような感触に一松は呼吸すら忘れた。
「搾精器!」
オンオフのボタンだけがついたリモコンを頭上で振り、十四松は相変わらずニコニコと笑っている。その姿を恐ろしいと思うものの、それを上回る快感に頭を占められ、一松は浴槽の縁へ後頭部を擦り付けた。全身をローションに浸けて快感を引き出し、その端から搾り取っていく。絶え間なく射精させられていく一松は、どんどん視界が歪み、やがて何も見得なくなった。
弛緩剤が切れる前に一松は意識を失ったが、十四松の責め苦はその後も続いた。
十四松とは無邪気に残酷な男だ。昨日だけでそれはよく解った。今だって彼の手により、一松は後孔にディルドを突っ込まれ、全裸のまま椅子に座らされている。手足は肘置きと脚にベルトで括りつけられ、性器には電動型オナホール。それを全て笑顔のまま行った所業からも、察せられる。だが、残りの二人の兄も彼に劣らず狂っていた。
拘束された一松の前で、堂々と一松の兄弟と性行為を始めたのだから。
一松が目覚めたのとは別の部屋であるここには、比べものならないほど広いベッドで埋められている。柔らかく、反発力もあるだろうベッドの上で、一糸纏わぬおそ松とトド松は、ワイシャツとスラックス姿のチョロ松とカラ松に組み敷かれていた。
「ひっぎぎぎぎ!」
足を伸ばして座るチョロ松の腰を跨いで膝立ちし、おそ松は歯を食いしばって唸っている。彼の身体は火照り以外の理由で赤くなっており、散々嬲られただろうと想像できる。おそ松の身体にはパッチのようなものが数個等間隔につけられており、時折チョロ松が手元の機械を操作するたび、身を捩っていた。微弱な電流でも流しているのだろう。びりびりと震えながら射精するおそ松の姿を見て、チョロ松は薄く笑っている。悪趣味だ。
しかし一松的には、少し離れたところでトド松を膝に乗せるカラ松の方が悪趣味だと感じる。
「んん!にゃああ、あん!」
挿入はしていないが、膝に乗せたトド松と自身の性器を触れ合せ、トド松に腰を振らせているのだ。互いの両手はしっかりと指を絡め、トド松が拙い動きで前後に揺らすたび、カラ松のグロテスクなそれとトド松のピンク色のそれが擦り合い、甘い喘ぎ声を響かせている。チラリと見得たトド松の性器の根元には、青い宝石のついた銀のリングがはめられており、まるで婚約指輪を模したようだと想像してしまう。
全ての元凶はあの男であるし、今すぐにでも上機嫌な顔を踏み抜いてやりたいと思う。しかし一松も与えられる快楽に呻き、大人しく拘束され、二組の様子を眺めるしかできない。椅子の後ろから、十四松が顔を出し、一松を覗きこんだ。
「どう?」
二人の愛は、と十四松は純粋そうな瞳を向ける。この場を提案したのは十四松だ。起きて早々罵声を吐き捨てた一松に、自分の兄たちの素晴らしさを伝えたかったと、恐らくはそんなところだろう。狂っている。この兄弟は、一松たちとは違う、根本的な倫理観が。
「……最っ低だよ」
何とか口元に笑みを浮かべ、ヒヒッと引き攣った声と共に告げれば、十四松は心底不思議そうに首を傾げた。
「あんなの……ぅ、愛じゃ、ない……」
一方的に与え、相手の言葉もまともに聞かず自分から押し付けてばかりの感情を、少なくとも一松の育った街では、愛とは呼ばない。愛とは、双方の好意が合わさって初めて成立するものだ。
「手前の、兄、貴は……間違ってる……」
力を振り絞って吐き捨てると、性器と後孔の感覚が脳天へ突きささり、一松はぐぅと呻いて上体を丸めた。
「……そんなこと、ない」
急に饒舌でなくなった十四松は、やっとそれだけ言う。「え」と一松が顔を上げる間もなく、十四松は手足の拘束を解くと、二組の間へ一松を投げ入れた。
「んぐぅ!」
着地の衝撃でディルドが奥へ食い込み、一松は背を撓らせる。
十四松の行動には、チョロ松とカラ松も驚いたようで、二人とも手を止めてベッドに乗り上げる十四松を目で追った。
「カラ松兄さんもチョロ松兄さんも、僕の大事な兄さんだ。そんなこと、言わないで」
幼い頃から、信じられるのは己と兄弟と引き金だけだった。何かを欲することなどせず、何でも十四松へ分け与えてくれた。そんな兄たちが、初めて独占したいと欲したものだ。誰にも、否定はさせない。
全身を駆け抜ける衝撃で動けない一松の足首を掴み、十四松は彼の股を広げた。太りディルドを挟みつつも、ぴくぴくと震える孔の皺を伸ばし、邪魔なディルドを引き抜く。乱暴にしたため、先端が変なところを掠めたのか、一松はピンと爪先を天へ向けた。それも無視して、十四松は寛げたズボンから性器をとりだすと二三回扱いてから、一松の孔へ一気に突き入れた。
「あがぁあ!!」
大きく口を開け、背を弓なりにし、一松は衝撃に声を上げる。十四松は彼が落ち着くのを待たず、好き勝手に腰を動かし始めた。
「うごぉぉぉ!」
この場の誰よりも大きな声で鳴き、シーツを掻く一松の様子に、おそ松とトド松も舌足らずに名前を呼ぶ。
「い、いちま……ゆ」
「いちまつにいさ、ん」
手を伸ばしたいが、カラ松と指を絡めているため、それは叶わない。そちらへ身を乗り出すような恰好になったトド松は、ぼんやりと一松を見つめた。はらはらと、音もなく涙がふっくらとした頬を滑る。
「ぼくの……ぼくの、せぃ……」
溢さず涙を舐めるカラ松の耳に、そんなか細い声が聴こえてくる。否定も肯定もせず、カラ松は微かに動く唇を自身のそれで覆った。
「ぁ、あ、あ、あ」
しゃくりあげるように、おそ松は同じ音ばかり口から溢した。弟が二人とも泣いている。泣き止まさないと。
「に、ちゃ、が……」
頭を撫でようと伸ばした手はチョロ松に掴まれ、おそ松はそのまま引き倒された。彼の視界から弟二人の姿は消え、こちらを愛おし気に見下ろすチョロ松の顔に支配される。ビリリと全身を駆け巡った電流と共に、視界が白く弾けた。
「ねぇ、解った……?」
荒い律動を止めず、目を剥いて喘ぐ一松の頬へ、十四松は手を添えた。ガッと両頬を掴み、自身の鼻先と彼のそれが触れあうほどまで近づく。十四松の黒々とした瞳が、一松の瞳に反射した。
「俺の愛」
何もかも、その黒い瞳に塗りつぶされていく。そんな感覚に、一松は喉を引き攣らせ、また大きく喘いだ。
ちゅ、ちゅ、と可愛らしいリップ音が、聞こえる。レースの天蓋を閉じた広いベッドの中央に、寄り添うようにして三人の男が座っている。三人とも固く、輪になるようにして手の指を絡めあい、うち二人は舌を擦り合せていた。
「―――ぁ」
ハッと息を吐き、薄緑のベビードールを着たおそ松が、口から伸びる銀糸を舌で掬い、ニヤリと笑う。いきなり開放されて呆けた様子のトド松は、青いネグリジェの裾を膝に挟んで腰を揺らした。黄色いビスチェ姿の一松が、ぽっかり空いたままの口を塞ぐように、トド松へ自身の唇を重ねる。熱い吐息ごと唾を飲みこんでいけば、トド松は力を失いクタリと背後のクッションに沈みこんだ。
夢中でキスを続ける二人に頬を膨らめ、おそ松もクッションへ飛び込む。それから自分の指に唾液を絡ませ、トド松の胸をネグリジェ越しに弄り始めた。「んぅぅ!」という声も溢すことなく、一松はトド松を貪る。
トド松の胸を食みながら、おそ松は自身のベビードールの中へ手を差し込み、芽を弄る。それを横目で捉えた一松が、おそ松に離された手を伸ばし、空いている片方を強く摘まんだ。
「ひあ!」
おそ松は声をあげ、トド松を開放する。しかしそのときおそ松の歯が立ち上がりかけたトド松の芽を掠めてしまい、ビリビリとした感覚にトド松は震えた。兄たちの手に指を絡め直し、トド松は二人の頬へ順番に唇を落とす。おそ松と一松は柔らかい唇の感触に、目を細めた。
そんな三人の様子を、ベッドの端に腰を下ろしたカラ松たちは余すところなく見つめていた。暫く三人の好きにさせていたカラ松たちは、徐にそれぞれのパートナーの元へと向かった。
「トド松」
カラ松が優しい声で呼ぶと、トド松は手を離し、四つん這いでカラ松のところへ擦り寄る。彼の髪を梳いて、カラ松は持っていたレースのベールを頭にかぶせた。膝を折って座ったトド松は視界を半分隠すそれを摘まんで、コテンと首を傾げる。
「トド松、はなよめみたいだなぁ」
のんびりとした口調でおそ松は言い、項に落とされるチョロ松のキスにクスクスと笑い声を溢した。
「はなよめ、なんでしょ。カラ松の」
「そうっすねー」
十四松の腕に抱えられながら、一松が言う。十四松も頷いて、一松の後ろへ手を伸ばした。
「はなよめ」
「ああ、そうだ。ミア・アンジェロ」
イタリアへ帰国するのは明日。少し早いが、形だけでもと思ったのだ。正式なものは全て向こうで執り行える。ベールを上げてトド松に口づけしながら、カラ松はネグリジェの裾へ手をさしこんだ。
まだトド松の性器を締め付けるリングは、しっかりそこにはまっている。先ほどの戯れで反応したのかフルリと震える性器を指でなぞり上げ、カラ松はリングを爪で叩いた。
「んぅん」
「解れているな」
そのまま後ろへ指を滑らせると、柔らかく解かれた孔がカラ松の指を出迎える。軽く押し上げてから、カラ松はトド松を膝へ乗せると、自らのズボンを寛げた。その間も軽いキスの雨は止まない。
トド松の背後からも、甘ったるい喘ぎ声が聞こえくる。それと微かなベッドの揺れに合わせるようにして、カラ松はトド松を貫いた。
「あああぁん!」
対面座位で一息に根元まで収めたから、トド松は苦しそうに浅い呼吸を繰り返す。鼻先へキスを落として呼吸が整うのを待ってから、カラ松は律動を始めた。
「あ、あん。あ、ああ!」
首を晒して喘ぐトド松の鎖骨へ歯を立て、カラ松は少しずつリングを外していく。
「―――く」
「あ、あ―――!!」
自身がトド松の胎へ精を放つと同時に、カラ松はリングを抜き取った。するとそれまで堰き止められていた精液が、ボタボタと勢いなく性器から溢れ、ベビードールに滲みを作っていく。
長く止まらない快感に、トド松は言葉もなく身体を振るわせる。垂れた涎を舐めて、カラ松は彼をベッドに沈めた。強すぎる快感にぼんやりとする目元を親指で撫で、カラ松はトド松の頬を手で包む。
「ミア・アンジェロ―――俺だけの天使、トド松。これからはずっと一緒だ」
トド松は手の温もりに目を細め、すり、と頬を摺り寄せる。その様子に口元の笑みを深くし、カラ松は他の兄弟たちの嬌声をバックに、トド松へ覆いかぶさっていった。
了。