02-3#赤司征十郎について
・影トリオについていろいろ考えていたら思いついたネタ。
・赤司に毒吐いているだけ。


「そりゃあね!」
タン、とグラスが机とぶつかって大きな音を立てる。
「自分の実力はしっかり理解しているつもりだぜ。俺が入ってもあの外国人を抑えられるかって言われると自信ないし、そもそもパスのためのボールすらキープできなかっただろうけどさ。俺、ベンチにいたんだぜ? 俺にできるから、あの赤司ができないわけないって頭では理解しているけどさぁ! アイツ自身が、致命的欠点があるって打ち破った技だぜ? 緑間が俺のパスを疑ってないって言ってくれたから、まだ救われたところあるけど、それでもさぁ!!」
うわああと泣き出すような勢いで喋り、高尾は机に突っ伏す。
「あれは俺のミスだ、分かっている。影に徹していればよかったのに簡単に煽られて図に乗ってしまった、俺の甘さが原因だった。けどそうだとしても、あの扱いは結構心に来るだろ。俺が他人からの扱いとかに無頓着な性格で良かったな。繊細な奴だったらあの場でプレーを続けることすら、無理だったぞ。あ、そこらへんも加味した人選だったのか。相変わらず人の柔いところをえぐい角度でついてくるよな。悪くない一年だったと思ったのは本心だし、今だってそれは変わらない。まあ、それとこれとは別だよなって気持ちがないわけじゃない」
管を巻くようにブツブツと呟いて、黛は氷のたっぷり入ったジンジャーエールを一気に煽る。
「僕の力不足であり、逃げた僕が悪い。それに尽きます。火神くんたちにも言われましたし。どうすれば良かったのか……何度も何度も思い返すんです。けど、答えはでない。僕もいっぱいいっぱいでしたし、赤司くんもお家のこととか、いろいろとプレッシャーがあったからああいう流れになったのでしょう。けどやっぱり、『どうして』という気持ちは消えない。ていうか、パス回す道具としても役割があっただけ黛さんの方が僕よりマシでは? 僕、キセキの体力回復用のバーターだったんですよ? パス回すことすらやらせてもらえなかったんですよ? そのせいで『幻』とか言われたのでは。誰が切り捨てたか論はいろいろ見解があると思いますが、その点取り上げるとやっぱり赤司くんなんじゃないかと思ってしまうんです」
汗をかいたグラスを両手で包み、その白い湖面をじっと見つめる黒子の口は止まらない。

「……アイツらだけあっちのローテーブルに移して正解だったな」
ダイニングテーブルでホットプレートを囲みながら、諏佐はボソリと呟く。樋口は眉を顰め、黛のグラスと同じ色をした自分のグラスへ鼻を近づける。
「アルコール入ってないよな?」
「まさか! 今日はソフトドリンクしか用意してないよ!」
ホットプレートの様子を見ていた小堀が慌てて首を振る
「……まさか、雰囲気酔い?」
ボソリと呟いて、古橋は喉にカルピスを流し込む。
夜はまだ、これからである。

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