05:そらとあお
空、と聞いたとき万人が思い浮かべる色は青だろう。しかし炎真含む一部の人間が思い浮かべるのは、暖かい橙色だ。
「そりゃあ、炎の色だからなぁ」
ポリポリと棒状のチョコレート菓子を齧り、綱吉は天を仰ぐ。彼から分けてもらった菓子を口に運び、炎真もチラリと上を見上げる。
頭上で悠々と広がる、青い空。ところどころ白い雲が浮かんでいるが、概ね青天といったところ。
「普通は、青だよね」
普通の人には共感してもらえないだろうなぁ、と綱吉は苦く笑う。
ポリ、とチョコレート菓子を齧り、炎真は屋上のフェンスに後頭部をぶつけた。
視界いっぱいに広がる青は、まさに空そのもの。
そのままコテンと首を左へ曲げると、戸惑ったような笑みを浮かべる顔が飛び込んでくる。その背後にある青は、彼の栗色の髪をはっきりと際立たせた。額に灯る橙の炎も、それを受けて輝く瞳も、よく青に映える色だ。
大地へ落とされた暗闇を切り開く、黎明の空。
「……やっぱり、ツナくんは空だね」
「へ、そういう話だっけ?」
苦笑する綱吉の背後では、相変わらず悠々とした青い空が広がっている。
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