16:あしもとの
足元が崩れる感覚を明確に抱いたのは、憎悪の目を真っ直ぐ向けられた瞬間ではない。憎悪の理由と原因を知り、永遠に手を取り合えない可能性に気づいた瞬間だ。
大空や大地といった喩えは好きでない。だから本当はそれを用いたくはないが、確かに彼は大地であった。仲間たちが天候に喩えられるように、それ故自分が在るように。彼は、自分が二本の足をついて立っていることを教えてくれる大地だった。
気づくきっかけをくれたのは、その境を漂う雲だった。ずっと対照的なままであった大空と大地が、互いの存在で自分の存在を確かめ合えるよう、間を隔てていた霧を振り払ってくれた。
太陽も嵐も雨も雷も、自分の誇りを知り背中を押してくれた。たくさんの仲間の手を感じながら、大空はやっと足元の大地へ手を届かせることができた。
向かい合わせに存在する、唯一無二の存在。
「俺の誇りは、君だよ」
だからこそ、初めに見つけたそれは、彼なのだ。
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