closer
(鹿鳴)

※アニナル遊馬編のopネタ



風が強く吹いて、ナルトの足元の花を散らした。思わず立ち止まる。

噎せ返るような匂いの中、横を通りすぎて行く人々。皆何かを決意したように、その表情は固い。ナルトは振り返って、未だ一人背を向けたままの彼の名を呼んだ。声が掠れてしまったのは、その背中から滲み出るなにかに、気圧されたから。シカマルは肩越しにこちらを一瞥して、ふ、と表情を和らげた。優しげなその笑顔は、何処か哀しい。

ナルトは堪らず駆け出し、シカマルを抱き締めていた。驚く彼が、自分にしてくれるように、強く。背中に回した腕に力を籠めた。

暫くして我に返ったらしいシカマルが頭を撫でてくれる。ナルトは泣かない彼の代わりに嗚咽を漏らした。

噎せ返る花の香りに、彼の心が少しでも慰められますようにと。

そう、願った。



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井上ジョーのcloserは個人的鹿鳴ソング





2011.08.14
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