猫と昼寝
(金黒)
「…小金井先輩?」
「あ、黒子ー」
部活の休憩時間。屋外の水道で水分補給を済ませた黒子が、体育館へ戻る帰り道。この先輩は青い芝生に座って、猫に囲まれていた。
「…野良、ですか」
「そーだよ」
小金井の隣にしゃがみ、黒子はじっ、と彼の膝の上で戯れる猫を見つめた。小金井にも最近解ってきたことだが、黒子のこの目付きは、可愛いものを見つけて興奮している証拠だった。
「触る?」
小金井が訊ねると、深く首が曲げられる。幼子のそれみたいで、可愛いなぁ、と小金井の頬が弛んだ。小金井の膝に乗っていた小さな黒猫に、そろり、と手が伸びる。少々緊張した面持ちで黒子がその額を撫でると、心地好かったのか、黒猫が喉を鳴らした。ほんのり染まる頬は、嬉しがってる徴。こっそり心の中で答合わせをして、小金井は頭によじ登る三毛猫を抱き上げた。
「黒子」
「!」
ばふっ、と。黒子の肩を引いて、二人して芝生に倒れ込む。口を開く黒子を、人差し指を当てて黙らせる。暫くそうしていると、足元に集まっていた猫たちが、胸や腹を枕にして丸まり始めた。
「…!」
「こうすると、寄ってくるんだ」
小金井は腕を枕にして黒子に囁きかけた。黒子も小金井の方に寝返って、けれど腕を枕にしなかったのは、そこに黒猫を抱えていたからだ。黒子の腕の中ですやすやと眠る黒猫。二人は顔を見合わせて、どちらからともなく微笑んだ。
猫まみれで眠る二人が発見されるまで、あと30分―――
にゃんにゃんにゃんの日記念
2011.02.23