黒子×空想フォレスト



▽拳を合わせる話

バッシュ音が響いている体育館を覗く
何処からか迷い込んだ人の声
練習の手をとめ 「どうしたんですか」訊ねる
忘れもしない 青空の日でした

現実(せかい)は案外シビアで夢は夢のまま
僕なんて誰に見つけられない
一人きりで誰もいない この体育館を
訪れる人などいない筈で

「頑張ろうな!」 約束したこと
一人ぼっちで抱きしめて
手紙の彼に安堵する日々は
空想の中でしか知らない世界に少し憧れる
ことくらい許してくれますか

淡々と流れ出した
生まれてしまった理不尽でも
案外人生なんて解っているんだ
ねぇねぇ、夢見た世界を想像して続けてく僕は
今日か明日かでも報われてくれないですか

なんて妄想なんかして汗を拭っていると
突然に聞こえてきたのは喋り声
「君に興味があるんだ」そう言って笑う
王者の赤い目を見つめました

「君だけの武器が必要」
それは彼に追いつくため
僕には何が出来るか考えた
物語の中だったらきっと 脇役で終わっていた
なんて諦めきれなくて

少しずつ流れ出した 時間はまるで夢みたい
緊張しすぎて転んでしまったり
ねぇねぇ、けれど世界は 想像しているよりも
実に簡単に脆く壊れ消えるものでした

語り終え項垂れる僕に、光は呆れ果て
「落ち込んだままでいるなよ」と言って
ただ笑った
「俺だってどうしようもなく悩んでいじけてた
けどここにいる皆はもう仲間だろう」

タンタン、と鳴り響いた 心の奥に溢れてた
想像は世界に既に成りだして
ねぇねぇ、僕のバスケを認めてくれたみんなが
また輝けるようパスを渡していくから

夜風が今日もまた 君が教えてくれた
夢の続きを運んできた

KUROKO

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