オリキュア構想メモ



階上から聞こえる慌ただしい音に、既に朝食を平らげゆっくりと食後の牛乳を味わっていたコータは、またかと顔を顰めた。彼の想像通り、騒がしい叫び声がして、二三回転ぶ音が家を揺らす。そうして、彼の姉・ゆめがダイニングルーム現れたのは、それから数分後のことだった。彼女が席につくとコータは既に後片付けを終え、玄関で靴を履いているところだった。
「え、コータ、もう行くの?」
「……俺、今日は朝練ないから、大分ゆっくりな方だと思うんだけど」
寝坊したのは姉の方だ。ゆめは言い訳できないらしく、口を噤んだまま、わたわたと寝癖を直している。そんな彼女を後目に、コータはさっさと家を出ていってしまった。別に同じ学校へ行くわけではないのだが、姉を置いて行くなんて薄情な弟! とゆめは愚痴を呟きつつ、父が並べてくれたトーストを頬張る。常勤教師の母は既に出勤した後らしく、キッチンには洗い物をする父の姿しか見えない。
リーンと安っぽいチャイム音がして、外からゆめの名前を呼ぶ親友の声が聞こえる。いつも一緒に登校している百井あすかの声だ。もうそんな時間かと、ゆめはトーストの残りを牛乳で流し込み、慌てて立ち上がった。
「あ、ゆめ」
玄関で靴を履く彼女の傍らに立ち、エプロン姿がすっかり板についた父は、にっこりと笑った。
「コータにはもう言ったけど、今日はお客様が来るから、早く帰って来いよ」
「お客様?」
「そう。父さんの故郷からの留学生」
意味あり気な微笑みに違和感を覚えながらも頷き、ゆめは立ち上がると爪先で地面を叩いて具合を確認する。よし、と桃色の髪を揺らし、ゆめは元気よく家を飛び出した。
「いってきます!」
門の前で待つ親友に駆け寄りながら、大きく手を振って。


【第1話 誕生! 愛情のキュアローゼン】


「留学生ねぇ」
はむ、とお弁当のハンバーグを頬張るみゆの正面に座っていたあすかは、相変わらず呑気な様子の彼女に呆れ、溜息を吐いた。少々癖がついた赤味を帯びた髪に、チャームポイントの薔薇のピン。制服はスカートだが、そこから伸びる足はしなやかな筋肉がついている。フットサル部エースでもあるあすかは、みゆの親友であった。
「アンタのお父さんて、外人なんだっけ」
「うん。どこの国かは知らないけど」
「てことは留学生も外人よね。女の子?」
「そこまでは聞いてないなー」
「女の子だったら、この学校に通うのかね」
「それは楽しそう!」
「でも男の子ってこともあるのか……少女漫画みたいじゃん」
「そっか……でも、私はレンさん一筋だから!」
「あーはいはい。例の花屋のお兄さんね」
全く呑気なことだ、とあすかは目を輝かせるゆめの様子に苦笑する。まぁ、どこまでも真っ直ぐで純粋なところが、ゆめの良いところだ。

あすかは放課後に部活動がある。ゆめは特にこれといってやりたいことがなく、ぶらぶらとして放課後を過ごす毎日だ。
「あ、ゆめちゃん」
「あ、レンさん!」
今日は街の図書館へ行ってみようと思っていた途中だった。煉瓦で舗装された道の先で、新聞紙で包んだ花束を抱える青年がニッコリと人好きのする笑みを浮かべていた。浅黒い肌と茶と朱が混じった色の髪を持つ彼は、花屋を営むレン――ゆめの憧れの人である。
「配達の途中ですか?」
駆け寄って彼が腕に抱く花を見て、ゆめはその良い香りに目を細めた。レンはコクリと頷き、ゆめに見得るよう抱え直した。
「お得意様先へね。ゆめちゃんは帰る途中かい?」
「はい! ……ちょっと寄り道して、図書館へ行こうかなって」
「道草か」
レンは悪戯っぽく笑って片目を瞑った。あまり遅くならないようにとだけ言って、レンは去っていった。憧れの人と思いがけず出会えたことに、ゆめは浮足立った。ふわふわとした心持でゆめは両頬を包み、道を足早に歩いて行く。浮かれていた彼女は、前からやって来る人物に気が付かなかった。気づいたのは頭からぶつかった後で、「きゃあ!」と声を上げてゆめは背後に倒れそうになった。
「危ない!」
しかし尻もちをつく前に、腕を引かれて暖かいものに抱きこまれる。混乱するゆめから身体を離して、彼とぶつかった少年はニッコリと笑ってみせた。レンとは違う、爽やかな魅力をもつそれに、ゆめは思わずドキリとする。
「何か楽しいことでもあったの?」
「え?」
「笑顔が素敵だったから」
「そんな……!」
「希望があるのは素敵なことだ。それが暗闇を照らす光になる」
「え……?」
ゆめがキョトンとしている間に、少年は「それでは」と手を振って駆けだしていった。オレンジ色のパーカーを見送り、ゆめは首を傾ぐのだった。

「」

下校中にも遭遇。出会った不思議な動物・シュガーとそれを追うホタリディア。「お前はまさか……!」「へ、何々?」「ゆめ、キュアブレスをとるッシュ!」「え、ええ!?」戦闘後、シュガーと別れて帰宅。そこにいたのは、端整な顔立ちの少年だった。「今日からお世話になります、佐藤シュンです」
朝からドッキュン展開。目覚ましで目が覚めたら覗きこんでくるシュン。ドキドキしながら登校。レンに声をかけられるもシュンとのことを思い出し赤面で駆け出す。台本読み中のきららと遭遇。「あれ、ゆめさん?」「ほえ?」「覚えてませんか?甘井きららですよ」「あー、きららちゃん!」「私、この学校に入学したんです」
秋元まつり初変身回。あすかに誘われてナッツショップへ。宝石言葉に詳しいあすか。「あすかちゃん詳しいね!」「ゆめには恋のお守りとか良さそうだね」「相変わらずね、ゆめさん」「へ、あー、まつりさん!」店番中のまつり。
怪人とのバトル後、あすかと合流。「もう、何処行ってたのよ」「え、えっと……」「はいこれ」「?」「恋する乙女のゆめに、お守りよ」「あすかちゃん……ありがとう!」
シュン=シュガーと判明。「シュンが、シュガー?!」「ははは……隠すつもりはなかったんだけどな」
メープル登場回。朝から楽しそうなシュン。「親友が会いに来るんだ」「へー、楽しみだなー」道中ぶっきらぼうな少年と遭遇し少々お怒りなゆめ。ナッツショップでご対面。「俺はお前を認めない」シュンから語られる先代プリキュアとゆめの持つ王位継承権。「俺たちはパルミエ王国の住人なんだ。その現王の一人が、ゆめ、君の父親さ」ナッツは人間との婚姻を認めさせる交換条件として王位を放棄。「因みにもう一人の現王はまつりの父親だけど、こっちは完全に子どもに王位は継承させないと放棄し、結果それをメープルが受け取ってる」
アンバーネ初登場。
「あれは……プリキュア……?」
楓からこっそりクォーツリングを受けとるシュン「ほら」「ありがとう。これで……」「シュンと楓、何してるの?」「ちょっとな」「新しい敵も出てきた。俺も、守らればかりはいられない」
朝から微妙な顔のシュン。話を聞くと、パルミエ王国からの応援が来るという。「へー、良かったじゃん!」「そうとも言い切れないんだよな……」「?」学校にて、転校生が来るという。「へえ、どんな子なんだろう。楽しみ!」花巻みつ登場。軽く睨まれるゆめ。仲良くなりたいとアタックするが、クールに躱されてしまう。「ああ、行っちゃった……」「もう止めときなよ、ゆめ」「だって仲良くなりたいんだもん!」
「ちっちゃい頃、仲の良い女の子がいたんです。その子にはお兄さんがいて」「もう、泣き虫なんだから、ゆめは」「私が守ってあげる」「わ、わたしも! ――ちゃんを守る!」「二人とも可愛いなぁ」「そのお兄さんに、レンさんが似ているなって」その記憶に心あたりがあるレン。
レンからゆめたちがプリキュアでないかと言われる。「そんな、ゆめがプリキュアだなんて……!」百井兄妹の境遇。「母さんと父さんを殺したのは、パルミエ王国だ」それでもゆめは信じたい。飛び出すあすか。雨宿りをしていると、ナツキと遭遇。「一番近くにいて一番信頼していた人が、実は敵だったら、」色々話して「私はそれでも、ゆめを信じてる」
アンバーネ=あすかだとゆめたちにバレる。「あすか、ちゃん……?!」「ごめんね……ゆめ」「―――コンバート」「そんな……!」「あすかさん、どうして……!」「私は怪人にも人間にもなりきれない半端者……アンタとは違う。アンタは光で私は闇……」「そんなことない!」「そんなことあるのよ、ゆめ」
シュン(シュガー)×ゆめ、楓(メープル)×まつり、レン×きらら、ナツキ×あすか、コータ×みつ(ハニー)のバレンタイン。
「私たちは、友達だよ!」「ゆめ……」
「……っぁ」「―――あすかちゃん!!」「アンバーネ……っ!」「シュヴァル、貴様よくも妹を……!」「ぐあ!!」「怪人の力の源は憎悪や妬みといった負の感情だが……その程度では私には及ばない」「貴様ら兄妹は用済みだ」「……っ!」「ホタリディア、何故お前が弱いか分かるか? 怪人の力の源は負の感情と言っただろう。お前は憎み切れていないのだ、母を、人間を!」「あ、あ、あ……あああああああ!!」サムイナーも放りこまれ、怪物化するレン。「漸くらしくなったじゃないか。怪人じゃなく、怪物として、だがな」「俺を……殺して……」レン撃破。「レンさん!」「……子どもの頃の記憶なんて、当てにならないな。思いだすたび浮かんでいたのは、シンデレラの姉たちのような、意地の悪い顔だった。本当は、こんなに可愛い女の子だったのに」「あのときのお兄さんは……」「じゃあ、女の子って」「こんなことを頼むのはお門違いだと承知している。お願いだ、ゆめちゃん……あすかを、助けてくれ。あの子は俺よりも、君たちに近いんだ、どうか……」レン、眠る。ゆめ号泣。
夢うつつのゆめ。枕元に立つ男性。「これを、二人に。二人がとても大切にしたいと思った君から」「二人にとって大切な人からの贈り物だと」
ぼんやりとしたゆめ。シュンに促されるまま、キュアローズガーデンへ。赤い薔薇に囲まれるベッドで眠るレン。白雪姫のよう。待っていた母のぞみ。「ここはりんちゃん……二人のお母さんが育てていた薔薇園なの。せめて、最後は」
「シュヴァル、手前!何しやがる!」目覚めたあすかへ、レンがプリキュアに殺されたことを教えるシュヴァル。絶望するあすか。ダークプリキュア怪人へ覚醒。
「あすかちゃん……!」「……もし、アンタがプリキュアじゃなくて、私がロンリネスじゃなかったら……二人とも、ただの女の子だったら……友だちに、なれたのかなぁ……っ」「あすかちゃん……っ!」
「あすかちゃんを、キュアローズガーデンへ!」
「目覚めなさい。蝶が蛹から生まれ出でるように、あなたも生まれ変わるの」
「あなたは希望のプリキュア、私の娘だもん」
「情熱のプリキュアの子よ―――勝利を灯せ」

シュガーと出会ってゆめはプリキュアに→きららはプリキュアに→まつりがプリキュアに→シュガー=シュンと発覚→楓登場→ディアモンド見参→

視聴者にホタリディア=レンと判明→あすか=アンバーネと判明→あすかがプリキュアの正体を知る→ナツキと出会い話すあすか→ゆめたちにバレル→百井兄妹がシュヴァルの凶刃に倒れる→

ホタリディア=レンと判明→ナツキorシュガーにあすかがレンの妹だとバレる→ナツキからゆめ=プリキュアの可能性を示唆される→信じられないが確かめるためシュンに話しかけるあすか→互いの正体判明→影で覗いていたナツキ(ときらら?)が捕まる→ゆめたちが現れ戦闘→ナツキときららが攫われる→何かと交換→ゆめの説得に揺らぐあすか→シュヴァルの凶刃に倒れる百井兄妹
→ゆめとレンと楓とみつ以外がシュヴァルに浚われる
→ゆめを叱咤するみつ→目的地にたどり着ける鍵を渡しに来るポイズン

「テンソ?!」「アンバーネ……お前やっぱり良い女だよ……」テンソ、スピネルを庇って死亡


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