とある海賊の三船長(OP)



・グレイターミナルの火事が起こらず、三人が共に船出をしていたら妄想
・中途半場

「なあ、あんた知っているかい?」
新世界の海に浮かぶ小さな島の酒場。そこで昼間から酒を煽っていた男は、赤らんだ顔でカウンター席に座る一人の青年へ声をかけた。青年はかぶっていた帽子の鍔を少し下げて、何がと小さく返す。酒の効果があって気分が高揚していた男は、青髭の揃う顎を指で撫でた。
「最近、名を挙げ始めた海賊団のことだよ。確か……ASL海賊団」
ピクリ、とジュースのグラスを揺らしていた指が止まる。その反応に気づかない男は、更に酒を煽って舌を回した。
「若い男三人が中心となっている海賊団でよ。何でも、その三人で東の海の島を占めていたアーロンや、その他諸々、名のある海賊共を倒してきたって話だ」
「へぇ……」
「その海賊団が、この島にやってきたって話だ」
海賊旗を掲げた船をこの島の近くで見た者がいると言う。青年は口元へ小さく笑みを浮かべて、ジュースを煽った。彼のその反応にニヤリと笑って、男は顔を覗きこむように上半身を倒した。
「兄ちゃん、興味ありそうな顔しているな」
「……そんなに分かりやすいか、俺?」
「誰かにも言われたか?」
「……兄弟に」
「そりゃあ、そりゃあ!」
がはは、と大声で笑い、男は自分に膝を叩く。男の様子に、青年は苦笑いを溢した。
「まあ、興味をそそられるのも解るぜ。何せASL海賊団はその三人が、三人とも船長を名乗っているんだからよ。どいつも船長の座を譲らなくて仲が悪いって話だ」
「仲は良いよ」
「は?」
「ASL団の三船長は、兄弟だからな」
ごちそうさん、とカウンター内にいる店員に声をかけ、青年はコインを置いて立ち上がる。目を白黒させて、男は立ち上がって移動する青年の軌道を目で追う。青年はまた苦笑を溢して、帽子の鍔を掴むと少し持ち上げ、鍔の影に隠していた素顔とシャツを広げた襟元を見せた。
「!」
「まあ、喧嘩っ早いのは、否定しないけど」
ひらりと手を振り、呆然とする男を置いて、青年は酒場を後にする。飲みかけの酒を握ったままの男の目には、青年の顔の半分を覆う火傷の跡と、鎖骨の辺りに刻まれた「S」に×印のついた刺青が、暫く焼き付いていた。


ASL海賊団
最近活躍が目覚ましい海賊団。三人とも船長を名乗る。サボは航海士も兼任しており、最近はエースかルフィに船長を任せて自分は航海士に専念しても良いかもしれないとか思い始めている。最近エースは白ひげに惨敗したが、家族(ASL)がいるので傘下には入らなかった。けどリベンジするために何度か乗り込んでいる。ルフィはこのまま兄たちと同じ船に乗ったままでいるか、ゾロたちと同じ船に乗るか迷っている。シャンクスとの約束を果たすためには、後者が良いとは解っている。兄二人はルフィの好きにすれば良いと思っている。エースは左腕に「ACE」サボは鎖骨辺りに「S」に×の刺青を入れていると嬉しい

ゾロ他原作麦わらの一味組
ルフィが発端となりASLが巻き込まれた事件で知り合った。同じ船には乗っていないが、麦わら帽子の海賊旗を掲げた船で、ASLと少し誤差はあるが大体同じ航路を辿って旅をしている。ナミは特に情報屋的役割を担うことがある。ルフィに正式な船長になってほしいと思っているが、兄たちと楽しそうにしている姿を見ると、強く言えない

革命軍
とある事件で瀕死に陥ったASLを救った。サボはこの事件で顔に火傷を負い、瀕死の兄弟の仇をとるために竜爪拳を習得する。それ以降、コアラとハックとは立ち寄った島で出会うことがあり、良い情報源として頼っている

WJ

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