ヒバツナワンライ没@



「水族館?」
駐輪場でバイクを降り、ヘルメットをとった綱吉は少しペンキの剥がれたファンキーな表情のイルカを、ポカンと見上げた。
「何」
「いや、どこか廃工場とかに行くのかと……」
「君のイメージって貧相だね」
中々辛らつなことを言いながら、綱吉を引き連れた雲雀は無料チケットを受付に見せてさっさと入園していく。綱吉は置いて行かれないよう、小走りに後を追った。
「うわあ……」
二階分ほど広がった空間の真ん中に、筒状の水槽が設置されている。大きなその中を、サメやマンボウなど綱吉でも知っている魚から、小さな名前も知らない魚が悠々と泳いでいる。
手すりに手をついて見入る綱吉の隣に、雲雀が立った。
「あ、すいません、俺だけ……」
「別に」
雲雀は好きにすればよいという風に、壁際に設置されたソファへ座った。綱吉も少し迷ったが、彼の隣に腰を下ろした。
座りながら眺めた水槽では、大小さまざまな魚たちが各々の生態にあった動きで泳ぎ回っている。
「……」
(もし)
もし、雲雀のいるべきが海だったら、彼はどんな魚になるだろう。


REBORN

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