混合小説第二弾・プロットver2



スペシャルコミック版でXY編読み終わってから、さらに辻褄合わせつつ続きかくかもしれないです。
しかしバトル描写苦手なので、トーナメントとコンテスト模様はダイジェストか全カットの可能性……。
個人的に剣盾組も入れたアニメ新無印時間軸のわちゃわちゃ話も書きたいなって願望あるので、ちゃんと書ききりたい。がんばろ。

▽以下ダイジェストver02

「別人……?」
「らしいぜ。詳しいことは、チェレンしか知らないみたいでさ」

「バトルトーナメントの解説は、ポケモン研究の権威、オーキド・ユキナリ博士のお孫さんにして同じく研究者のオーキド・シゲルさんです。シゲルさんはトレーナーとしても優秀なリーグ成績をお持ちなんだとか」
「あはは。お手柔らかに」
「では早速初戦の対戦カードを見てみましょう。何と、ジョウトチャンピオが推薦するトレーナー・ヒビキさんです。ということで、コメンテーターはコトネさんです」
「ヒビキくん、初戦で負けたら承知しないわよ!」
「あはは……コトネちゃんの仰せのままに」

「エメラルド、クリスさん!」
「サファイアちゃん」
「ほんとに来た」
「何ね、その顔は」
「バトルトーナメントに参加しているんでしょ? 調子はどう?」
「順調ったい。私の今日の対戦カードは終わって、続きは明後日たい」
「あれ、ルビーは? もう明日のコンテストの準備?」
「あー……それが……どっかで不備があったらしくて、ルビー、今はバトルトーナメントに参加しているったい」

「なんで僕がこんなこと……まさかキャンセルできないとは……」
「あ」
「え……なんで、あなたが、ここに」
「リハビリだ」
(確かにサファイアが、今は武者修行中だと言っていた……)
「お前も参加しているのか……意外だな」
「ミスですよ。事務手続きの負担を削減するため、キャンセルはできないみたいで」
「そうか……」
「……なんですか、その丁度良いみたいな目」
「俺はよく無表情だと言われるが、よく分かったな」
「ええ。あのサファイアのお兄さんとは思えないほど」
「それだ。妹の感情を無視するわけではないが、やはりここは兄らしいことをしておいた方が良い――と、コトネさんから言われた」
「……つまり?」
「俺より強い男でなければ、妹はやれん」
「……別に、僕はサファイアとは、」
「そうか、ならこの話はここまでで」
「……」

「来たのか、エックス」
「どうも……本当にチャンピオンだったんですね」
「代理だがな」
「もう、エックスったら」
「その節は、弟がお世話になったようで、ありがとうございます」
「何だよグリーン、その節はって?」
「レッド、それは……」
「…………へえ」
「……おい、何だその顔は」
「いいえ? ちょっと自分で納得しただけです」
「何をだ、何を」
「いやあ、今でも思い出しますよ。グリーンさんが恰好つけてボールを投げて結局――」
「エックス!!」
「え、何々?」
「その話、私も聞きたいわねぇ」
「……お前ら……!!」

「相変わらず、ファイアからの連絡はなし?」
「ああ……」
「ちょっと、辛気臭い顔していると、お客さんとポケモンが逃げちゃうよ」
「うっせ……」
「いっちゃんもイーブイも、久しぶりに家族に会いたいよね〜」
「……何だよ、俺が迎えに行かないから悪いみたいな顔して」
「ブルーがね、そういう人はヘタレって呼ぶんだって教えてくれたわ」
「……うっせ」
(オーキドの男はヘタレばっかりなのかしら……)

「な、なんだよ、お嬢さま。俺だけ引っ張って」
「私はすっかり失念していました。先輩方を見て気づかされました。この一大イベントはつまり、絶好のデートシチュエーション!」
「デ……デ?!」
「私のことはお気になさらず。コウキとヒカリさん、そのご友人方が力を貸してくださるので、コンテストやバトルの特訓は二人がいなくてもできます。パールは是非、ダイヤを誘ってフェスタを楽しんでください」
「ちょ、ちょっとお嬢さま! 俺とダイヤはそんなんじゃ!」
「当たって砕けろ、恋はマンムーの突進のように攻めろ! ――と、コトネさんもおっしゃっていました」
「あの人の言葉を真に受けるのはどうだろうか!!」
「では、ご武運を、パール!」

「お嬢さま、なんだって〜?」
「いや、うん……ちょっとコウキとヒカリの友だちに師事するから、二人でフェスタを楽しんでいて良いって」
「そうなんだ〜、大丈夫かなぁ。コウキくんとヒカリの知り合いなら、大丈夫だろうけど」
「ああ、そうだな……何だよ」
「ん〜。パールと二人っきりって久しぶりな気がするね〜」
「そうか? そうかもな」
「うん。なんか、ちょっと照れ臭いや」
「だ、ダイヤ……!」
「えへへ」
「……い、行こうぜ」
「うん」

「ダ、ダケちゃん?」
「心配していますよ、そのポケモン」
「えっと……あなたは?」
「僕はイエロー。ちょっと信じてもらえないと思うんですけど、ポケモンの心が読めるんです」
「え……それって、Nさまと同じ……」
「落ち込んでいるあなたのことを、ポケモンが心配しているんです」
「トレーナーの迷いや不安はポケモンに伝わるぞ」
「わ、私は……」
「あ、申し遅れました。僕はイエロー・デ・トキワグローブ、トキワ出身の図鑑所有者です」
「図鑑……?」
「同じくトキワ出身のシルバー、図鑑所有者だ。お前も持っていると聞いたが?」

「だ、大丈夫ですか?」
「う、うん……ちょっと無茶しすぎちゃったかな……久しぶりの発作だ」
「とにかく、座ってください。キョウヘイくん、お水を」
「大丈夫ですよ、ほら……」
「すごい……さっきのロゼリアも酸素マスクを取り付けていたし、訓練を受けたタブンネとラッキー以外に、こんなに適切な介護をするポケモンがいるなんて」
「あはは、ある意味、この子たちは訓練を受けたようなものだから」
「お体、弱いんですか?」
「生まれつきね。これでも最近は丈夫になった方なんだ。初めての土地で、気候に身体が慣れてなくて……昔はしょっちゅうこういったことがあったから、僕のポケモンたちは、応急手当くらいはできるようになったんだ」

「シンジ、ヒロシ、ジュン! アランまで! みんなバトルトーナメントに参加していたのか」
「久しぶり、サトシ。僕は、ポケモンレンジャーの手伝いで会場の警備にね」
「おう、久しぶり! 俺とシンジは勿論参加だ! シンジは家の手伝いも兼ねているみたいだけど」
「……フン」
「俺も、プラターヌ博士の手伝いだったのだが……ダイゴさんに、ちょっといろいろと」
「そうなのか」
「……ちょっと、紹介もなしに話を続けないでくれるかい」
「ああ、悪い。ヒロシに、シンジにジュン、それからシューティーとアラン。皆、俺が旅している中で出会ったライバルだ!」
「……ほお」
「へえ……」
「はあ……」
「サトシ、その紹介の仕方はまずい気がするぞ、主に一部に対して」
「まあ、僕は気にしないけど……」
「何が?」
「相変わらずだね、サートシくんは」

「あれは……フードで顔は良く見えないけど……――ラクツ、くん……?」

「次のバトルは、ポケモンスクールで優秀なバトル成績を残したトレーナー・キョウヘイ。対する相手は、出身地から全てプロフィールが不明、ミステリアスなトレーナー・ラクツ」
「プロフィールや出身はバトルに関係ないからな」
「さすがオーキド博士の孫という立場に拘らず修行を続けて今日に至るグリーンさんです! ということで、コメンテーターはグリーンさんとその戦友レッドさん」
「どうもー」

「なんで、お前が……」
「成り行きだよ。本当はリーグチャンピオンの護衛任務だったのに、そのリーグチャンピオンが強引な人で……って君には関係ないか」
「俺は、お前に!」
「冷静さを欠いてすぐに熱くなる――それが君の落第点だ、コードネーム黒の一号」
「俺は黒の一号じゃない! トレーナーのキョウヘイだ!!」

「ハルカ、ヒカリ!」
「セレナ! こっちよ」
「ご愁傷様かも」
「うう……」
「良いじゃない、今日は女同士で楽しみましょう」
「そうそう。で、隙を見て突撃しちゃえば良いかも。同じ島にいるんだから」

▼事件発生(三日目くらい?)
それぞれの一日を終えて目覚めた図鑑所有者たちは、異変を感じる。
「ホテルに閉じ込められた?!」
「氷で出入り口が全て封鎖されているみたいなの!」
「ん〜むにゃむにゃ……あれ? ポケモン?」
「島の中央ステージに何かいるのか」
「取敢えず外へ出るぞ!」

【カントーエリア VS ボルトロス】
グリーン「この動き、俺たちを見定めている……誰かを捜しているのか?」
ゴールド「イッシュの伝説に、捜される心当たりはないっすよ」
シルバー「……俺は、行かなければならない。道を塞ぐなら、退けるのみ!」
コトネ「伝説だかなんだか知らないけど、このコトネさまをなめないで!」
ソウル「くそ、ヒビキ……! メガニウム、急いで合流するぞ!」
サトシ「あれは……キュレム?」
シューティー「全く、常識的じゃない!」
・グリーン&ゴールド&コトネ&ソウル:カントーエリアのホテルに宿泊中
・シルバー:イエローを探していた
・サトシ:カントーエリアホテルに宿泊中の兄の部屋に遊びに来ていた

【ジョウトエリア VS トルネロス】
ブルー「やっぱりこうなっちゃうのね〜」
クリス「伝説のポケモン? どうして、私たちに敵意を向けているの?」
ラルド「く……! 俺の土が効かない……!」
リーフ「いっちゃん、下がってて。お願い、タネネ!」
ユウキ「これは、俺も予想外だ」
シゲル「僕は一戦を退いた学者なんだぞ」
シンジ「ち、使えない奴だ」
・ブルー:ジョウトエリアのホテルに宿泊中のリーフの部屋に遊びに来ていた
・クリス&ラルド:ふれあいブースの準備運営
・リーフ:機材の調整、点検中
・ユウキ&シンジ:日課のトレーニング中
・シゲル:ジョウトエリアのホテルに宿泊中

【ホウエンエリア VS ビジリオン】
パール「何だってんだよ!」
プラチナ「寒さには慣れています。お気遣いなく」
ホワイト「トウヤくん、何だかブラックくんにすごく拘っているように見えるわ」
ヒビキ「一体何の目的で……」
トウヤ「トウコちゃんたちはどこに……!」
セレナ「その石に触っちゃだめ!」
アラン「マノンたちは俺が守る。何であろうと、倒す!」
・ヒビキ&プラチナ:スポンサーとしての挨拶回り
・パール:プラチナの迎え
・セレナ:ハルカ、ヒカリと相部屋(二人はホテルの防衛)
・アラン:ダイゴの好意でホウエンエリアのホテルにマノンと宿泊

【シンオウエリア VS コバルオン】
レッド「この寒さは、一体……!」
ダイヤ「な〜んか、また面白くない感じがする……」
ラクツ「あれはコバルオン……? どういうことだ、ケルデマル」
コウキ「これは……皆、悪夢に侵されている……?」
ジュン「まさか、あのポケモンの仕業か?!」
トウコ「行くわよ、メアリアン! 押し切れ!」
・レッド:早朝トレーニング中
・ダイヤ&コウキ&ジュン&トウコ:シンオウエリアのホテルに宿泊中
・ラクツ:レッドの護衛

【イッシュエリア VS ランドロス】
ブラック「くそ! こんなときに……! バランス崩してたまるか……!」
ファイツ「勘違いであなたを傷つけてしまったのなら謝ります。だから、独りでムキにならないで」
ルビー「僕もですよ……まさかあなたと、こうして戦うことになるなんて」
サファイア「私だって、見ているだけじゃなかと! きるる!」
キョウヘイ「俺は、アイツとは違う!」
メイ「一応私も、ポケモントレーナーだからね」
・ブラック&キョウヘイ&メイ:ふれあいブースの準備運営
・ファイツ:キョウヘイとメイが気になって手伝いをしていた

【カロスエリア VS テラキオン】
イエロー「この泣き声……あのポケモンからじゃない。もっと近くから聴こえる……」
ミツル「けほ……僕だって、やれることがある筈だ」
エックス「……こもったままじゃいられないね。行こう、ワイちゃん」
ワイ「エックス!? 自分から外に出るなんて珍しい!」
カルム「カロスチャンピオンとして、ここは割らせない!」
Jr.「起きているのは俺たちだけ、か?」
ヒロシ「この寒さの原因は、あれか?」
・イエロー:早朝、声に呼ばれた
・ミツル&ヒロシ:朝のジョギング中
・エックス&ワイ:カロスエリアに宿泊中。カルムの後を追う
・カルム:チャンピオンとして異変の鎮圧を図る
・Jr.:カロスエリアのホテルに宿泊中

「これは……――絶好のリベンジチャンスだ」
「コ、コウキさん?」
「ダークライの悪夢のトラウマを、ここで払しょくする! ――レッツプレイ、ノクターン!」
「……悪夢のトラウマを、それを打ち消す性質のポケモンで対抗するんじゃなくて、悪夢そのもの――ダークライ――を操ることで払しょくするなんて……お前も大概、力で押し任すタイプだよ、コウキ。そう思わないか、クレセリア?」

「イッシュ神話とカロス神話……ポケモンによる破壊と創造の二つの神話が、実際の歴史だとしたら……!」
「コバルオンたちもトルネロスたちも、戦争からポケモンたちを守っていた……神話にある最終兵器を使おうとしている人間が、図鑑所有者の中にいるってことか?!」

――ピピピピピ。
機械音がした。それは、紛れもなくファイツの鞄の中から聞こえてくる。震える指でそれを取り出す。あの日から捨てられず持ったままの、図鑑だった。
「……成程、図鑑の共鳴音。図鑑が登録者の手にある場合、近くに同じ世代の図鑑を認識すると発する音か」
ぴ、と音がして共鳴音が止む。座り込んだまま、ファイツは顔を上げた。
キョウヘイはファイツの背後で身体を固くしている。なら、今彼女の目の前に立って、先ほどポケモンの攻撃から守ってくれた少年は、間違いようもなく――
「……ラクツ、くん」
「君にまたその名前で呼ばれることになるとはね」
キュッとサンバイザーをかぶり、少年は――ラクツはファイツへ手を差し出した。その手をとり、ファイツは立ち上がる。
「再会を語る場合ではない。共に力を合わせよう、ファイツくん」
「……うん……――うん!」

【中央エリア VSキュレム+???】
「Jr.からのメールに気づいて来てみれば……これはどういう状況?」
「ファイア! お前は遅すぎんだよ!」
「取敢えず、あれが敵か」
「そのポケモンは……! デオキシス!」
「――いけ、こすも」

「おい、メイ――お前、あのゴチルゼルはどうした?」
「……」
「お前が小さいときから大切にして、プラズマ団に浚われた、けどやっと取り戻したって言っていたゴチルゼルだ! どうしたんだよ!」
「――チルダは、取り戻せる。『取り戻せる』って言ったのよ。やっと、その方法を見つけたから」

「早く気づけば良かったんだ。いつもならボールから出しているコーラル――ニンフィア――を、僕は兄さんが帰って来てから一度も見てない。腰にボールは六つ揃っているから、入れたままにしているんでしょ? どうして?」
「……エックスたちが巻き込まれた騒動の少し前だよ。兵器の材料として、コーラルが奪われたのは」

「この島自体が、神話にあった最終兵器の再現――!?」

「たくさんのポケモンたちが集まるこの場で、私は大切なポケモンを取り戻す――!」
「衰弱したコーラルを救うには、もうこれに賭けるしかないんだ!」

「アンタに、何が分かるんだよ!!」

「会うたびに口煩いお節介を、ポケモンタワーで見かけたことがある」
ポツリと溢されたファイアの言葉に、図鑑所有者たちは目を瞬かせる。ただJr.は、何かを思い出すように眉を顰めた。
「ただの観光だ、なんて軽口を叩いていたそいつはそれ以降、旅立ちの日から大切に育てていたラッタのことを口にしなくなった」
「ファイア……」
「戦いは苦手だなんて言いながらも、リーグ準決勝まで上り詰めた女の子を、俺は知っている」
今度は、リーフが柳眉を下げて目を伏せた。
「彼女は準決勝で、共に育ってきたブースターが後遺症の残る傷を負ったことを気に病んで、トレーナーを引退した」
「……ファイア」
「俺は、ポケモンを喪ったこともないし、自分のポケモンが怪我や病気で衰弱したこともない。君たちの気持ちは分からない」
「なら――!」
「けど、君たちの友だちや家族の気持ちは分かる」
ファイアへ噛みつこうとしたカルムとメイの爛々とした瞳が、見開かれる。
「落ち込む相手へ言葉が届かない歯がゆさも、立つ力を与えられない悔しさも……後から知った寂しさも、全部分かる。俺が、そうだったから」
ファイアは持ち上げた手をギュッと握った。
「大切なポケモンを喪った悲しみも、喪いそうになる絶望感も、分からない――けど、隣で立っていた人間が持つ寂寥感と口惜しさは良く分かるんだ」
「ファイアさん……」
「言ってくれれば良かった、手を伸ばしてくれれば良かった、引き留めてくれて良かった! 言ってくれなきゃ分からないんだ! 一人で隠れて泣き声を押し殺す力があるなら、それをぶつけてくれれば良かったんだ! そうじゃなきゃ、分からないことだってあるんだよ!」
珍しく上ずったファイアの声が、天を貫いた。

「それでも、私は――」
「僕は――」

「どうして僕らは、こんなに違ってしまったんだろうな。同じ場所で生まれ、同じ人に拾われ、同じように育てられたのに。君は恐怖得て戦いを避け、僕は恐怖を知らぬまま戦っている」
ハッとキョウヘイは鼻で笑った。ファイツたちにも『彼らしくない』と感じる、不自然な笑みだった。
「本当に何も知らないんだな、エリートさまの黒の二号。お前は俺の上位互換だ。違うのは当たり前だ」
「上位互換……?」
「俺は、黒の二号、お前の試作号(プロトタイプ)だ」
ラクツの襟首を掴むキョウヘイの手に、もう殆ど力は入っていないように見えた。しかしラクツはそれを振り払わず、皺もそのままにしている。
「俺が思うに、これはある種、あの人の実験だったんだよ。恐怖を得た人間と恐怖を知らぬ人間……どちらがより忠誠的で自己犠牲で戦えるか。そして俺は失敗した――恐怖を持った人間は必要ない、何も守れない」
涙を流しながら蹲るお団子の少女。
先ほど告げた真実が、キョウヘイの言葉を全て持っていってしまったように、口は動かない。身体も、彼女の肩を撫でてやることすらできない。
自分は救ってやれなかったのだ。少女が大切にしていたポケモン一匹すら。少女一人の心すら。
「だから、俺は、ポケモン警察を辞めたんだ」

「……キョウヘイ」
「ああ……分かっている。手を組もう、ラクツ。俺は今度こそ、彼女を救わなきゃいけないんだ」
「ああ――この悲しい戦いを、終わらせるぞ」



失敗した。やはり、人間にすべて任せるべきではなかったのだ。取り戻すべきものは、人間のものではなく、我ら――ポケモンたちのものであるのだから。
「世界をあなたへ返しましょう――世界を追われた我が王よ」

「もう一つの世界に封じられた王様って、もしかして〜?」
「な! なぜお前が!」
「ここがツッコミどころだよ〜、せえの!」
なんでやね〜ん! ――間延びしたダイヤの声と共に、大きな咆哮が大気を揺らす。ぐわりと空が割れ、ズルリとした巨体が現れた。ただただ見開かれる瞳に向かって、大きな尾が振り下ろされた。
「ギラティナは、それを望んでないってさ〜」


ポケモン

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