7.





「久しぶりー。楸。」
「マジ?楸来てんの?」


五月蝿くまくし立てる声にうんざりする。
久しぶりの同窓会なんだけどな…
何時もと、一緒か…


楸は少し後悔しながら、貸し切りの一室を歩いて行く。

人の目線が、同級生のそれでは無く、芸能人を見る目になっている。



気持ち悪い。

アンジェ……は?



来てないのだろうか…
…来てないんだろうな



「久しぶりだな。楸。と言っても一ヶ月も経って無いけどな。」
「確か、一週間程前に俺の家で見たけど。」


座敷に腰を降ろした途端に、聡に話しかけられ、少し睨む様に目を細める。


「なぁ、楸。そういや、お前。前テレビで話題になってたけど、サクラと付き合ってんのか?」
俺超好みだったのに…

と、同級生の投げやりな言葉が耳に入る。



「はぁ。真、何言ってんの?」
またかと言わんばかりに、楸は面倒臭そうに吐く。

「だって撮られてただろ?」

ふー。
と深呼吸したあと、苛立たしくなり、
「あの写真はな!こいつの家に用があったんだよ!!たまたま色んなタイミングが重なっただけで無関係だ!」
と、聡を指し言葉尻が荒くなりながら楸は言った。


「えっ!おまっ…!えぇっ!?」
「あははぁー…。そうなんだよねー…って、俺がびっくりしたっつうの!?」
聡と真の掛け合いを見ながら、楸は脱力しながら呟く。


「アンジェがいるのに、するか…」
聡には耳に入ったのか目をしかめた。
真は笑っていて気付いないのだろう。
いや、もしかしたら、自分に関係無い話しだと流したのかもしれない。


「ってか、聡良いとこに住んでんね?」
「まぁ、ね。俺、一応IT系のベンチャー企業の重役よ。」
「まあ、前の同窓会から2年は経ってるもんな。短いようで長いからさ、皆変わるわな…肩書も生き方も。」
だが、二人は何事も無いように話しを続けている。


純、結婚したの知ってる?
なんと、相手18歳でさ、しかもできちゃった婚だってよ。





うだうだと話しをしている友人らを見ながら、テーブルにある酎ハイに手をやる。
ガラス越しにひやりとした感触に、まだいれたてなのだろうと、口につけた。












「なぁ、楸。すきっ腹に酒は悪酔いするぞ。」
聡の心配そうな声に、顔を向ける。
何時の間にか、真は別のグループの方で混じっていた。

サクラの名前が出てくるのを遠くから感じて、きっと先程の事を話しているのだろう。


「分かってる。」
「お前の好きな、鳥つくね頼んでやるから。」
と、襖を開け近くの店員に注文する。


「分かってると思うが、今日杏来ないよ。」
「ん。」
ズキズキと胸が痛む。
分かっては、いた。
だが、人の口から聞くのは、、あまり嬉しく無いものだ。

裏腹は知りたいと言うのに。











矛盾だらけだな。



















前へ : 次へ

TOP



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -