2.





薄暗い、部屋にある大きなベットに身を委ねてテレビを見ながらウトウトとまどろむ。
自然と瞼が落ちるのに身を任せ、杏樹は眠りについていった。


















両手をベルトできつく縛られて、私は裸になっていた。


静かな恐怖に身を委ねながら、心の奥底ではこの日を待っていたのだと・・・そう囁いていた。


愛しいあの人。




『アンジェ。何故こんな事になったのか・・・解るだろう?』
征服欲を満たしたような笑みを浮かべた。
愛しいあの人。


『私・・』


『言い訳はいらない。俺から離れるな。と、何度も言った筈だよ。』


ベルトの端を掴みグイッと持ち上げる。
微かな痛みと共に、私は否応なしに身体はそれと一緒に動いた。


『いや・・・』



彼の舌が、私の首を嘗め上げた。
それだけで、私は快楽に身を震わせる。


なんと・・・なんと甘美な一時なのだろう。
愛しいあの人に、どんな形であれ抱かれるなんて。


『許さない。何時離れたって、見つけるよ。アンジェ。その度に思い知らせてあげる。』



あの人の愛撫が始まると、私の体も受け入れる為の準備を始める。
絡める事が出来ない、不自由な手。
それをも愛しみに変えてしまう。







叶うことが無いというのに、それでも私はあの人を思い続ける。



身体が苦しいくらいに、あの人は私を愛しんだ。
中にあの人の一部が入ると、私の身体は愛しさに溢れる。



『アンジェ!!』



早くなる動きに、私も自然と腰が揺らめいていた。
身体が溶けて混ざるかの様に、二人を繋ぐ場所が濡れている。
身体も適度に汗をかいて、しっとりとお互いに吸い付いている。



ああ、なんて・・・なんて愛おしい・・・




『アンジェ・・・・・』


『あっ・・あっあっ・・・しゅ・うっ!!!!』















杏樹は、目が覚める。


なんていやらしく・・・
何て懐かしい・・・夢。


深夜の再放送のドラマは、碓氷楸夜が主演していた。
ラブ・ロマンス。
楸夜が出ている番組は視聴率が上がるから、毎日の様にある。

この声が、私の中を揺さ振り、記憶を夢に表したのだろう。


ふぅ・・・



杏樹は、溜息を吐く。



テレビの電源を切ると、もう一度瞼を閉じ深い眠りについて行った。







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