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8月1日
今日は、サマーキャンプです。
私、麻倉 カノンは、キャンプ場から離れた所で、スケッチブックを開いた。
そこは、1つの祠みたいな建物が建っていて、そこに座ると、空が、綺麗に見えた。
カタカタカタカタカタカタ
(この音は……。)
描こうと思ったら、この場には、似合わないパソコンの音が聞こえた。
「あれ?こんな所でも、パソコン?」
「あ、カノンさん。」
私よりも背の低い男の子は、泉 光子郎君。同じクラスで、マンションの部屋が、隣なので、よく喋る。と、いっても、少しだけ。
光子郎君は、そう言うとまた、ノートパソコンとむきあった。
「何でここでしてるの?」
「ここじゃなきゃ、電波こないんです。」
「そっかぁ。私は、絵を描こうかなぁって、思って。」
「上手ですもんね。」
光子郎君のパソコンを少し覗いたけど、何してるのかわからなかった。
「私、すぐ近くで描いてるから、帰る時に声かけて。」
「……。」
多分、聞こえてない。パソコンに夢中だ。
(描こうと……。)
私は、光子郎君から離れて、さっきの所に戻って、絵をかきはじめた。
_________
しばらくして……下書きが終わり、絵に色を塗ろうと、鞄の中の色鉛筆を出したときだった。
「あれ?空が……。」
書いていたときは、綺麗な水色だった筈なのに、灰色になっている。
風もなんだか冷たくなって、季節外れの白い雪が、ふってきた。
私は、荷物を片付けて、光子郎君の元に行った。光子郎君もノートパソコンを名残惜しそうに、片付けてた。私は、声をかけた。
「光子郎君!」
「カノンさん。」
「雪が、強くなる前に帰ろう?。」
「はい。行きましょ。」
と、キャンプ場まで、帰るはずだった。
「あ〜やっと見つけた。カノンちゃん。」
『ミミちゃん(さん)?』
それは、私達より背が高く、ピンク色の帽子をかぶった、可愛い少女。クラスメートで、私の親友でもある太刀川ミミちゃんが、来たからだ。
「ミミちゃん。どうしたの?。」
ミミちゃんは、その場に座りこんで、私をみて、言う。
「先生が探してて、呼びに行くよう頼まれたのよ。あ〜疲れた。」
「ありがとう。すぐ、行くよ。(何のようだろう?)」
「前より寒くなってるし〜。」
「前より…。」
ミミちゃんの呟きで、光子郎君と私は、空を見た。白い雪が、どんどんと、ふって来て、風もビュービュー吹いてきている。
「さっきの所に戻った方が良さそうですね。吹雪になるかもしれません。」
と、光子郎君が2人に言って、ミミちゃんを何とか引っ張ってさっきの所に戻った。
光子郎君の予想道理、吹雪になり、あと、5人、その場所に避難した。
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