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「さぁ、いきましょうか?」
「そうだな。泣き言言っても何も始まらないからな?」
タケル君の傷の手当てが終わって、空さんが皆に言った。それに、ヤマトさんも、同意した。
「でもなぁ…何処にいけば良いのかなんて誰にも分からないぞ?。」
太一さんが、そう言った。確かに、誰も何処にいけばいいかなんてわからない。
「アタシは空が居てくれればそれで、安心!」
「そんな…100パー安心されちゃっても…責任取れないよ?。」
ピヨモンが空さんにすりよってきながら言うと、空さんは、少し困った顔しながらそう返す。けど、ピヨモンは、空さんの言葉に首をかしげてる。
「ヒャクパー?」
「い、いいの、気にしないで。」
「セキニントレ……?。」
「だ、だから、気にしないでって。」
ピヨモンは、空さんの言ってることが、気になるみたいで、教えてとねだってるみたい。そのやり取りは、先を歩く太一さんとヤマトさんの一言で終わり、空さんも遅れないようについていく。私は、空さんの前を歩いてます。
「ピヨモンは、人なっこいデジモンなんや。」
「甘えん坊さんだよ!」
と、先を歩きながら、テントモンとココロモンがそう、ピヨモンの事を教えてくれた。
「なるほど、デジモンによって性格がそれぞれ違うんですね。」
「カノン!ココロはね…。」
「ココロモンは、素直な性格のデジモンですわ。」
ココロモンが、自分の事を話そうとしたけど、テントモンに先に言われてしまった。
「そうだね。とっても、素直だよね。ココロモンは!」
「うん!」
私が、ココロモンに話すと、元気良くココロモンは返事を言った。
森を抜けると、電信柱のある砂漠にでた。涼しい森と違って、とても暑い。ゴマモンは、とても辛そうに歩いてる。
「大丈夫?カノン。」
「うん。ココロモンも、大丈夫?暑くない?」
「ココロは、平気だよ。でも、ちょっと…暑い。」
腕に抱いているココロモンは、そう言った。抱いているのは、砂漠にでた時にココロモンの足が埋まって歩けないから、私が、抱いてます。ココロモンは、暑いの平気なのかな?
「此処って、テレビで見たアフリカのサバンナって、所に似てる。」
光子郎君がそう言った。確かに似てるけど、電信柱とかなかったと思う。
「え?!じゃあ、ライオンとか、キリンとか居るのか?」
「そういう普通のだったらいいけどな。」
「ここには、そんな動物居ないよ。」
やっぱり、ここには、太一さんがいう動物は居ないみたい。ここには、デジモンしか居ないと。
あと、光子郎君の見たサバンナには、電柱は建ってない。
「きっと、近くに人間が居るんだよ?!」
丈さんが、電柱が建ってる理由をそう言った。この近くに人間が居るとは、思えない。その答えは、デジモン達に居ないと言われていた。
(こんな所に…人が住めるとは思えないなぁ。)
「ここは、一体何処でしょう?」
と、ミミちゃんが手を後に組んで、私達の前に、手を出した。そこには、サバイバルバックの中に入っていたコンパスが握られている。
そのコンパスを囲んで覗き込む……コンパスの針は、方向を示さずにすごい早さでぐるぐると回ってる。腕の中のココロモンは、楽しそうにそれを見ていた。
「えぇ〜?!なんでぇ?。」
「これ、よく見ると砂鉄ですよ。磁石にくっつきます。」
と、その疑問には、光子郎君によって解決された。
私は、光子郎君の手の砂鉄を見ながら、聞いた。
「砂漠って、砂鉄が入ってるのかな?」
「ここが、特殊だと思います。カノンさん。」
「そうだよね……。」
ここが普通じゃないんだもんね…。ここまで、私達の世界と似たようなものはあるけれど…違う。別の世界…。
「やっぱり、私達とんでもない所に来たのかも…。」
空さんがそう呟く。
「ここは、どこなのぉー?!」
という、ミミちゃんの叫びが砂漠に響いた。まだ、ぐるぐるとまわる針をココロモンは、楽しそうに見てた。
「面白いね〜。これ!」
「私は、面白くない……。」
そう言ってミミちゃんは、コンパスを鞄の中へ、突っ込んで、歩き出した。
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