ワタシノイシ | ナノ

  2


「さぁ、いきましょうか?」


「そうだな。泣き言言っても何も始まらないからな?」


タケル君の傷の手当てが終わって、空さんが皆に言った。それに、ヤマトさんも、同意した。


「でもなぁ…何処にいけば良いのかなんて誰にも分からないぞ?。」


太一さんが、そう言った。確かに、誰も何処にいけばいいかなんてわからない。


「アタシは空が居てくれればそれで、安心!」

「そんな…100パー安心されちゃっても…責任取れないよ?。」

ピヨモンが空さんにすりよってきながら言うと、空さんは、少し困った顔しながらそう返す。けど、ピヨモンは、空さんの言葉に首をかしげてる。

「ヒャクパー?」

「い、いいの、気にしないで。」

「セキニントレ……?。」
「だ、だから、気にしないでって。」

ピヨモンは、空さんの言ってることが、気になるみたいで、教えてとねだってるみたい。そのやり取りは、先を歩く太一さんとヤマトさんの一言で終わり、空さんも遅れないようについていく。私は、空さんの前を歩いてます。


「ピヨモンは、人なっこいデジモンなんや。」

「甘えん坊さんだよ!」


と、先を歩きながら、テントモンとココロモンがそう、ピヨモンの事を教えてくれた。

「なるほど、デジモンによって性格がそれぞれ違うんですね。」

「カノン!ココロはね…。」

「ココロモンは、素直な性格のデジモンですわ。」


ココロモンが、自分の事を話そうとしたけど、テントモンに先に言われてしまった。

「そうだね。とっても、素直だよね。ココロモンは!」

「うん!」

私が、ココロモンに話すと、元気良くココロモンは返事を言った。

















森を抜けると、電信柱のある砂漠にでた。涼しい森と違って、とても暑い。ゴマモンは、とても辛そうに歩いてる。


「大丈夫?カノン。」


「うん。ココロモンも、大丈夫?暑くない?」


「ココロは、平気だよ。でも、ちょっと…暑い。」


腕に抱いているココロモンは、そう言った。抱いているのは、砂漠にでた時にココロモンの足が埋まって歩けないから、私が、抱いてます。ココロモンは、暑いの平気なのかな?


「此処って、テレビで見たアフリカのサバンナって、所に似てる。」


光子郎君がそう言った。確かに似てるけど、電信柱とかなかったと思う。


「え?!じゃあ、ライオンとか、キリンとか居るのか?」

「そういう普通のだったらいいけどな。」

「ここには、そんな動物居ないよ。」

やっぱり、ここには、太一さんがいう動物は居ないみたい。ここには、デジモンしか居ないと。
あと、光子郎君の見たサバンナには、電柱は建ってない。


「きっと、近くに人間が居るんだよ?!」


丈さんが、電柱が建ってる理由をそう言った。この近くに人間が居るとは、思えない。その答えは、デジモン達に居ないと言われていた。


(こんな所に…人が住めるとは思えないなぁ。)



「ここは、一体何処でしょう?」


と、ミミちゃんが手を後に組んで、私達の前に、手を出した。そこには、サバイバルバックの中に入っていたコンパスが握られている。
そのコンパスを囲んで覗き込む……コンパスの針は、方向を示さずにすごい早さでぐるぐると回ってる。腕の中のココロモンは、楽しそうにそれを見ていた。


「えぇ〜?!なんでぇ?。」

「これ、よく見ると砂鉄ですよ。磁石にくっつきます。」

と、その疑問には、光子郎君によって解決された。
私は、光子郎君の手の砂鉄を見ながら、聞いた。


「砂漠って、砂鉄が入ってるのかな?」

「ここが、特殊だと思います。カノンさん。」

「そうだよね……。」


ここが普通じゃないんだもんね…。ここまで、私達の世界と似たようなものはあるけれど…違う。別の世界…。


「やっぱり、私達とんでもない所に来たのかも…。」

空さんがそう呟く。


「ここは、どこなのぉー?!」


という、ミミちゃんの叫びが砂漠に響いた。まだ、ぐるぐるとまわる針をココロモンは、楽しそうに見てた。


「面白いね〜。これ!」

「私は、面白くない……。」

そう言ってミミちゃんは、コンパスを鞄の中へ、突っ込んで、歩き出した。






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