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川沿いを、太一さんを先頭に歩いていた。
私とココロモンは、光子朗君の後ににいる。
「見たことのない木ね。」
と、空さん。
「亜熱帯かと思ったけど、どうやらそれも違うようです。」
と、光子朗君は、辺りを見ながら言う。
「日本じゃあ無いのか……どうも妙だ。」
丈さんは、そう言って、唸っていたみたい。
「だいたい、このデシタルモンスターってのからして妙だぜ?」
ヤマトさんが、そう言っているのが後ろから聞こえた。
「デシタルモンスター。電子的なモンスター。」
「普通はデジモンでよろしいでっせ。」
「あまり電子的な感じしないなぁ。」
光子朗君は、隣のテントモンを見ながら、考えていた。その呟きを聞いたテントモンは、電気を出して見せていた。
「パタモンって、さっきとんでたよね。」
「うん。飛べるよ。ほら。」
前で、タケル君がパタモンにそう聞いていた。パタモンは、飛んで見せた。すごい、けど、歩いた方が早い。
「あたしの方が早いわよ。」
と、ピヨモンも飛んで見せた。けど、あまり変わらない。
「どっちもかわらないわよ。」
そう言った空さんの言葉に、えーと、二匹は言っていた。
「パルモンって、なんだか、植物みたいよね?」
「そうよ、光合成も出来るのよ。」
ミミちゃんは、パルモンを見てそう言った。
パルモンの話を聞き、光合成をやってとミミちゃんは、聞いていた。
「ミミ。光合成って、何かわかってる?」
パルモンは、ミミちゃんに聞くと、ミミちゃんは、知らないと……。パルモンも、分かってないらしい。ミミちゃん。理科の授業で習ったよ?
「ねぇ?ココロモン。」
ミミちゃんの会話を聞いてから、私は、隣で一緒に歩くココロモンを見る。そう言えば、ココロモンで、聞きたいことがある。
「なぁに?カノン。」
「その額についているの綺麗だね。」
私は、ココロモンの額にある逆三角の紅い宝石を見ながら言う。そう言えば、コアモンの時からある。
「うん。綺麗でしょ?。」
ココロモンは、嬉しそうに答えた。
「それってルビーかな?」
「カノン?ルビーって、なぁに?」
その宝石の種類を聞くと、逆に、ココロモンに聞かれた。ルビーじゃあないみたい。
「それと同じ紅い綺麗な石だよ。」
と、ココロモンに教えた。見てみたいなぁと、呟いていた。
「あのクワガーモンもデジモンなのか?」
一番前の太一さんが、アグモンに聞いていた。アグモンは、そうだよ。と答える。
「あんなでっかいのが居るなんて……他にも居るのかな?。」
「せやから、ここには、デジモンしかいてませんて。」
光子朗君の呟きに、テントモンは、そう言っていた。
確かに、デジモン達は、私たち以外の人間を知らないし見たいだし……。
「あ!?」
「どうしたの?」
横にいたココロモンは、鼻をクンクンとさせて、何かの臭いを確かめていた。
ガフモンも、そうみたい。
「海だよ!カノン。」
「海だーい!」
ココロモンがそういったあと、ゴマモンの嬉しそうな声が聞こえた。
海に近づいて歩いていく。けれど、海にはないはずの音がする。
それは…聞き覚えのある電話の音。
浜辺に駆け寄ると、5台の電話ボックスがあった。太一さんが近くの一台の電話ボックスの扉を開けた。その途端、音は止んだ。
まるで、呼んでいたみたいだ私たちを…。そう思った。
でも、これは、良く見る普通の電話ボックスだ。
「光子朗、十円貸してくれよ。」
と、電話ボックスに入ったまま、太一さんは言った。
「え。なにするんです?」
「決まってんだろ。電話するんだよ。」
家にと、太一さんは、そう言った。光子朗君から、テレかを借りて電話をする。他のみんなも、それぞれ、電話するために電話ボックスに入っていく…。
皆、家に誰か居るんだ……うらやましいな。
_________
「ねぇ?カノン。」
「何?ココロモン?」
皆が、電話ボックスに入っていって、離れた砂浜に腰を下ろして眺めていると、ココロモンが、私を見ていった。
「カノンは、しなくていいの?」
私が、電話しないのが不思議みたい。
「うん、いいの。だって……。」
かけても、でないから……兄さんは、仕事にでてるし…家には誰もいない。
「…カノン……。」
ココロモンは、下を向き寂しい顔をしてるカノンを見ていると、ココロモンも、寂しくなった。ココロモンからは、見えないが…額の宝石の赤い色が、だんだんと、青くなっていく。
「あれ?カノンちゃんは、電話はしないのか?」
「太一さん?!」
そこへ、電話を諦めた太一が来た。ココロモンの額も青から赤に変わってゆく。
「電話、どうでした?」
私は、かけよって、太一さんに聞いた。
「全然、ワケわからない事ばかりで、さっぱり…。」
と、太一さんは、そう言った。他のみんなもそうみたい。諦めて、こっちに、歩いている。丈さんは、まだ、電話をしているけど……。
「ねぇ?カノンちゃんも、電話してみたら?」
と、空さん。
「そうだよ。カノン。」
と、ココロモンも、そう言っているけど……でも…。
「いいの!!」
「!?」
と、カノンは、声を荒げていった。電話に夢中の丈以外、その声に驚いた。
「カノン……?」
ココロモンは、おびえながらもカノンの名を呼んだ。
「……?!あ、すいません。今日、家に誰も居ないから…。」
ココロモンの声で我にかえったカノンは、苦笑いしながら、そう言った。
「なんだ。そうなら、そうって言ってくれれば、よかったのに……。」
「あたし、びっくりしちゃった。」
「ごめんね。カノンちゃん。」
上から、太一、ミミ、空が、口々にそう言った。
「あ、いえ、いいんです。」
カノンは、そう言うと、ココロモンを抱き上げて、頭を撫でた。ココロモンも気持ち良さそうに、目を閉じた。
「本当に…よかったんですか…?。」
携帯にかけられるはずじゃあ…と、光子朗は、言った。
「うん。いいの。」
それでも、カノンの答えは変わらない。
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