ワタシノイシ | ナノ

  2


川沿いを、太一さんを先頭に歩いていた。
私とココロモンは、光子朗君の後ににいる。


「見たことのない木ね。」

と、空さん。

「亜熱帯かと思ったけど、どうやらそれも違うようです。」

と、光子朗君は、辺りを見ながら言う。


「日本じゃあ無いのか……どうも妙だ。」


丈さんは、そう言って、唸っていたみたい。


「だいたい、このデシタルモンスターってのからして妙だぜ?」


ヤマトさんが、そう言っているのが後ろから聞こえた。


「デシタルモンスター。電子的なモンスター。」


「普通はデジモンでよろしいでっせ。」


「あまり電子的な感じしないなぁ。」


光子朗君は、隣のテントモンを見ながら、考えていた。その呟きを聞いたテントモンは、電気を出して見せていた。



「パタモンって、さっきとんでたよね。」


「うん。飛べるよ。ほら。」


前で、タケル君がパタモンにそう聞いていた。パタモンは、飛んで見せた。すごい、けど、歩いた方が早い。


「あたしの方が早いわよ。」


と、ピヨモンも飛んで見せた。けど、あまり変わらない。


「どっちもかわらないわよ。」


そう言った空さんの言葉に、えーと、二匹は言っていた。




「パルモンって、なんだか、植物みたいよね?」


「そうよ、光合成も出来るのよ。」

ミミちゃんは、パルモンを見てそう言った。
パルモンの話を聞き、光合成をやってとミミちゃんは、聞いていた。


「ミミ。光合成って、何かわかってる?」


パルモンは、ミミちゃんに聞くと、ミミちゃんは、知らないと……。パルモンも、分かってないらしい。ミミちゃん。理科の授業で習ったよ?


「ねぇ?ココロモン。」


ミミちゃんの会話を聞いてから、私は、隣で一緒に歩くココロモンを見る。そう言えば、ココロモンで、聞きたいことがある。


「なぁに?カノン。」


「その額についているの綺麗だね。」


私は、ココロモンの額にある逆三角の紅い宝石を見ながら言う。そう言えば、コアモンの時からある。


「うん。綺麗でしょ?。」

ココロモンは、嬉しそうに答えた。


「それってルビーかな?」

「カノン?ルビーって、なぁに?」


その宝石の種類を聞くと、逆に、ココロモンに聞かれた。ルビーじゃあないみたい。


「それと同じ紅い綺麗な石だよ。」


と、ココロモンに教えた。見てみたいなぁと、呟いていた。



「あのクワガーモンもデジモンなのか?」


一番前の太一さんが、アグモンに聞いていた。アグモンは、そうだよ。と答える。


「あんなでっかいのが居るなんて……他にも居るのかな?。」


「せやから、ここには、デジモンしかいてませんて。」


光子朗君の呟きに、テントモンは、そう言っていた。
確かに、デジモン達は、私たち以外の人間を知らないし見たいだし……。



「あ!?」


「どうしたの?」


横にいたココロモンは、鼻をクンクンとさせて、何かの臭いを確かめていた。
ガフモンも、そうみたい。

「海だよ!カノン。」


「海だーい!」


ココロモンがそういったあと、ゴマモンの嬉しそうな声が聞こえた。








海に近づいて歩いていく。けれど、海にはないはずの音がする。




それは…聞き覚えのある電話の音。




浜辺に駆け寄ると、5台の電話ボックスがあった。太一さんが近くの一台の電話ボックスの扉を開けた。その途端、音は止んだ。

まるで、呼んでいたみたいだ私たちを…。そう思った。

でも、これは、良く見る普通の電話ボックスだ。



「光子朗、十円貸してくれよ。」


と、電話ボックスに入ったまま、太一さんは言った。

「え。なにするんです?」

「決まってんだろ。電話するんだよ。」


家にと、太一さんは、そう言った。光子朗君から、テレかを借りて電話をする。他のみんなも、それぞれ、電話するために電話ボックスに入っていく…。



皆、家に誰か居るんだ……うらやましいな。







_________


「ねぇ?カノン。」



「何?ココロモン?」


皆が、電話ボックスに入っていって、離れた砂浜に腰を下ろして眺めていると、ココロモンが、私を見ていった。



「カノンは、しなくていいの?」


私が、電話しないのが不思議みたい。


「うん、いいの。だって……。」


かけても、でないから……兄さんは、仕事にでてるし…家には誰もいない。


「…カノン……。」


ココロモンは、下を向き寂しい顔をしてるカノンを見ていると、ココロモンも、寂しくなった。ココロモンからは、見えないが…額の宝石の赤い色が、だんだんと、青くなっていく。



「あれ?カノンちゃんは、電話はしないのか?」


「太一さん?!」


そこへ、電話を諦めた太一が来た。ココロモンの額も青から赤に変わってゆく。


「電話、どうでした?」


私は、かけよって、太一さんに聞いた。


「全然、ワケわからない事ばかりで、さっぱり…。」

と、太一さんは、そう言った。他のみんなもそうみたい。諦めて、こっちに、歩いている。丈さんは、まだ、電話をしているけど……。


「ねぇ?カノンちゃんも、電話してみたら?」


と、空さん。


「そうだよ。カノン。」

と、ココロモンも、そう言っているけど……でも…。


「いいの!!」


「!?」



と、カノンは、声を荒げていった。電話に夢中の丈以外、その声に驚いた。



「カノン……?」


ココロモンは、おびえながらもカノンの名を呼んだ。


「……?!あ、すいません。今日、家に誰も居ないから…。」


ココロモンの声で我にかえったカノンは、苦笑いしながら、そう言った。


「なんだ。そうなら、そうって言ってくれれば、よかったのに……。」


「あたし、びっくりしちゃった。」


「ごめんね。カノンちゃん。」


上から、太一、ミミ、空が、口々にそう言った。


「あ、いえ、いいんです。」


カノンは、そう言うと、ココロモンを抱き上げて、頭を撫でた。ココロモンも気持ち良さそうに、目を閉じた。



「本当に…よかったんですか…?。」


携帯にかけられるはずじゃあ…と、光子朗は、言った。

「うん。いいの。」


それでも、カノンの答えは変わらない。



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