天の章 | ナノ

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「あれ…?ここは…まさか、天国?」




気が付くと、私は不思議な場所にいた。周りが白い霧掛かっていて何も見えない。
ぐるっとまわりを見回して見るけど、どこも真っ白だ。誰も居ないし…何もない…。一緒にいた筈の輝一君も居ない…。


「…こーいちくーん…。」


呼んでも何も返事がない…。ただ、自分の声が辺りに響いただけだ。
本当に…どうして、ここに居るのだろう…と、思っていると、下の方からゆっくりと何かが流れてきた。映像みたいだった。


「お、お兄ちゃん…?」


そこには、来月…お父さんの再婚で一緒に暮らす幼なじみの司がいた。家族になると聞いてから、「お兄ちゃん」と、呼んでる。それが司には、変な感じらしく、「お兄ちゃんじゃない」と返ってくる。その司が知らない子達と何処か変な森のなかにいる。


「お兄ちゃーん。なんでそこ居るの?今日は、お父さん達と食事に行く予定……って、聞こえてない。」


司に声をかけて見たけど、こっちの声は聞こえてないみたい。何回も私がお兄ちゃんと呼んでるのに何も返ってこない。


「…あ…2号くん。」


また、別の景色の映像が流れた。そこには、さっきまで輝一君と追い掛けていた。輝一君そっくりな2号君がいた。名前…なんだっけ?その他にも、何人かの同い年くらいの男の子と女がいる景色が見えた。あと、所々にへんな動物みたいなのがいた。可愛いのから怖いのまで…


「お兄ちゃん達…どこにいるんだろ?あ…。」


また、別の景色の映像が流れてくる。お兄ちゃん達がいる景色とは、なんだか感じが違う。なんだか黒いぬいぐるみを大きくしたような何かが誰かを覆っている。あれは……。


「輝一君!」


輝一君がいる映像の景色を掴もうと呼び掛けながら、追い掛ける。



「輝一君!輝一君…。」



その間にも、黒いぬいぐるみような何かは、輝一君と黒い光を合わせようとしている。嫌な予感がする。あの黒い光りに呑まれては駄目……



「輝一君……!」



流れてくる映像の景色にたどり着いた…けど…その中に入ることはできなかった。そして、輝一君と黒い光が完全に合わさってしまった。姿が変わっていく…。


「だめぇぇえぇ!」


私の叫びは輝一君には届かずむなしく辺りに響いた。



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