地の章 | ナノ

3


司は、持っていたチョコレートを出して、遠くに投げた。何匹かのバクモンは飛び付いたが、残りは、司達に襲いかかってきた。


「いたっ?!」

「いでででっ?!」

純平君から、大量のチョコレートが出てくる。それに、夢中になっている隙に、司達は走った。


「何とかしてくれ〜!」

“…とにかく…逃げよう…司”

「……。」

司が友樹君の手を引きながら、僕の方に叫ぶ。何とかしてくれと言われても、僕は、見守ることしか出来ない…。

「純平!持ってるの全部出せ!。」

「嫌だ〜!」

「あ、おい?!」

司は、追いついた純平君に持っているチョコレートを全て出せと言ったが、走るので精一杯で聞こえていないようだ。








_________



「げっ!…行き止まり。」


狭い通路を抜けたと思ったら…広いホールの行き止まり…ハッと後を見ると、バクモンを見る目は、獲物を食べる飢えた化け物だ。
僕も……友樹や純平も、ここまで走って疲れている。


「くそぉ!」


疲れ知らずのバクモンは、襲いかかってくる。純平と一緒に友樹を背に庇って、僕は、襲ってくるバクモンを追い払う。何体かは、追い払えず…噛みついて来る。


「コノヤロー!」

「う゛…痛っ…。」


バクモンは、本気で噛んきた。噛まれた足や腕の痛みに耐えながら、何とか友樹に襲いかかって来るバクモンを倒す。だけど…一人で追い払うのはもう限界だった。


“危ない…司!”

「え……。」

アースの声で気づくと、集団で一斉に僕達を襲いかかって来た。その時……


「止めろぉぉぉぉ!」


叫び声が、ホールに響いた。その声を聞き、バクモン達がそっちに注意がいって、一斉に声のする方を見ていた。僕も、その方を見ると……


(…輝一…いや…違う?)

僕の知り合いに良く似たバンダナを巻いた少年がそこに居た。



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