「暑い、じめじめする…」



梅雨、それは俺が一番苦手とする時期である。
夏の始まりと共に訪れる雨季は暑さと湿度を伴って俺を攻撃してるんじゃないかって思う。
髪は彼方此方ハネるし、暑くて汗ばんだ背中にシャツが張り付いてきて気持ち悪いし、気分までジメジメしてくる。


「なぁ〜しんいちーあちーよー。」
「なら離れればいいだろ。」
「えーやだー!」


折角こんな雨の中久しぶりに休日を二人で過ごそうと思い来たのだが新一ときたら俺を放って本に夢中なのでせめともの主張として新一を後ろから抱き込む形で座ることには成功していた。
しかしそうなると新一の顔は見えず、なんとなく寂しい気持ちになった俺は構って欲しくて新一の肩に顎を乗せてみたりする。ぴったりくっ付いた事により新一の匂いを嗅いでしまった俺は最近ご無沙汰だったのもあって物凄くムラムラしてきた。
真横を向けば俺を誘っているようにしか見えない艶めかしい首筋があり、こりゃあもう頂くしかねーな。とか思いながら舐めようとした時、なんとまぁ其処には俺が付けた記憶のない赤い痕があるではないか!!!!(俺は自分が付けた場所は全部覚えてる!)


「しんいち。」
「あ?」
「その首に付いてる痕は一体何?」
「あぁ、蚊に刺されちまってよー。痒くて痒くて本当やんなっちまう。」


まぁアッサリ言ってくれちゃって。
蚊、そいつは夏に多く姿を現す虫で俺の中じゃ夏の虫と言えば“蚊”というちょっとしたイメージが出来上がってしまっている。たかが蚊、されど蚊、新一の綺麗な肌に痕を残すだなんて何であろうと許さねぇ!新一に痕を付けて良いのは俺だけだって決まっているのに!!
新一も新一だ。蚊になんかに刺されやがって、あまつさえその刺された痕を隠しもせず学校に行ったりして自分が周りからどんな目で見られてるのかなんてちっとも意識してないんだろうよ。


「何で蚊なんかに刺されたの?」
「何でって言われてもそりゃあ夏だから多いんだろ蚊が。」
「でもだめ、絶対だめ!」
「何がだ。」
「蚊になんか新一の血吸わせちゃダメー!!痕付けさせるのもダメー!新一は俺のなの、俺しかだめなの!!」
「お前アホか。」
「アホじゃない天才だ!第一その痕付けたまま学校行くな!!せめて絆創膏かなんかで隠せ、新一が厭らしい目で見られたら困る!」
「意味わかんねーし、それにかいーのにそんなもん貼ったらかけねーだろ?」


かくな余計酷くなるぞ。ってかああ言えばこう言う奴だな本当。
しかしそんなに痒いのか、蚊に刺された所が痒いのは蚊が人間の血を吸引する際一度体の中に唾液を送り込んでから吸引するからだ。通常その唾液は血の吸引とともに吸い出される訳だが吸ってる途中で潰されたりすると唾液がそのまま体内に残りその唾液が原因で痒みが起こる。
新一の事だからそのこと自体は知っていても思いっきり叩き潰してそうだもんな。って事はだぞ?新一の中には蚊の唾液が、体液が入ったままだっつーことだ。そうと分かれば急がなければ!!!!


「新一今すぐ俺が吸い出してやるからな!」
「は?」
「蚊の体液が新一のナカに入りっぱなしなんて許せねぇ!俺が吸い出してやる。そうしたら痒みも治まるし一石二鳥だろ。」
「いやいや、おさまんねーだろ。あっ、おいふざけんな…ひゃっ!?」


新一の抗議など無視し素早く手の中から本を取り上げ押し倒しその首筋に噛みつくように吸いつく。すると抗議する声がみるみる甘い声に変わっていく。
別に俺そんなつもりは全然全くこれっぽっちもなかったが…いや訂正最初からやる気は満々でしたが途中で蚊に対する怒りでどっかすっ飛んでたが新一のこの声を聞いてしまえば俺の息子さんが反応しだすのも仕方ないことだ。
今日はいつも以上に焦らしてやろうと思いながら快楽に抵抗できない新一に思い切り貪りついた………………












「おい、逆に痕が増えてるんだが。このクソあちー中俺にハイネックでも着てけと!?しかも明日の授業プールあんだぞ!!!!」
「そんなの聞いてねーし。新一もノリノリだったじゃん。」
「あ゛?」
「すみません。」
「お前これ本当どうすんだよ。」
「せーりきたのでプールお休みしまーす!!って言えば?」
「死にたいのか?」
「イきたい!出来れば新一のナカでもう一度。つー事で明日は休んじまえば良いんだよ。」


そう言って俺は再び新一の首に吸い付いた。
ジメジメベタベタ辛い梅雨も新一と一緒なら幸せになれるのだ。



夏の虫





夏の虫は俺の方かも知んねーな(蚊より質悪いわ)