黒の組織との闘いが終わり俺は無事、元の姿を取り戻していた。
まぁ元の姿に戻っても皆の言う事件吸引体質は変わってはいないのだが、それでも以前のように高校で授業を受けれる事に喜びを感じられるのはあの出来事があったからというのも大きいだろう。
だからと言ってコナンになった事を今は後悔などしていない。確かに子供だからという理由で出来なくなってしまったことは多かったし、大切にしている人に思いを伝えられずもどかしい思いも沢山したがアイツら…少年探偵団の皆と出会い一緒に遊んだり事件を解決したりして大切な人が増えたりした事だってあったのだ。けれど俺はやはり元の姿に戻りたいという望みを捨てられずアイツらには悲しい思いをさせてしまったが工藤新一に戻ったのだ。
そして手に入れた日常で俺は今盛大に悩んでいた。


「はぁ…。」
「新一どうしたの?何か悩み事?」
「あぁ、蘭か…。」


蘭には俺が元の姿に戻った後、俺の正直な気持ちを伝えた。
蘭は俺にとって、とても大切な人でなくてはならない存在である事に変わりはなかったが、コナンとして蘭と一緒に居る内に少しずつ自分が蘭を思う気持ちが変わってきている事に気が付いた。
一人の女性を愛するという思いではなく家族を愛するような気持ちへと変化していた。
それを素直に伝えると蘭は必死に泣くのを堪え笑って俺に「新一に大切な人が出来たら教えて?もし、その人の事で新一が悩んでたら私がアドバイスしてあげるから!!」と笑顔で言ってくれた。
沢山待たせて泣かせて終いにはこんな事を言った俺を心配までしてくれて本当こんな良い女を振り回した俺は最低だ。そんな最低な男に蘭は今も昔と変わらず接してくれている。それどころか俺が恋を恋だと認識していなかった思いまで見抜き自ら相談相手にまでなってくれたのだった。


「どうせまた黒羽くんの事でしょ?」
「っ……////」
「で?今度はどんな悩み?」


快斗とは俺がまだコナンだった時に互いに偽の姿で出会った。最初は何て気障なヤツだと思ったり、盗った宝石を返したりしていることからただの愉快犯かと思ったりもしたが誰かが危ない目に遭ってると知ると居ても立ってもいられず助けてしまうお人好しだったりした。
俺が元の姿に戻った時はまるで自分の事かのように喜んでくれた。
そんな彼と何度か会って話をしているうちに何故か別れるときに胸に痛みを伴うようになりそれが何なのかよく分からず悩んでいた時、蘭に「何か悩み事?」と聞かれ話した所それは恋だと言われ相手は男だからそれはない!!と否定したが逆に何故か興奮した蘭に絶対そうだと言われ「自分の胸に手を当ててよく考えてみなさい!!」などと言われてしまった。
それから俺はキッドに会う度蘭の言葉を意識してしまってキッドの仕事現場に行くことを何度も躊躇った。いつからか毎回自宅のポストに入るようになった予告状も無視してしまいたかったがそんな事をしては逆に不審に思われるので何とか平常心を保ち現場に通っていたある日キッドに告白され付き合う事になったのだ。告白の返事をするまでに色々あったのだがそこでまたもや蘭に世話になってしまった。
付き合うようになってから快斗は俺にアッサリ正体をバラし学校にまで迎えにくるようになったり、俺んちに入り浸ったりして最早その…同棲状態に近い感じになっているので蘭も快斗の事は知っていた。しかし幾ら蘭にでも今回の悩みは凄く言い辛い。


「いや、その…」
「なによ?そんなに言い辛い事なの?」
「あぁ…////」


今回の悩みは今までと違って付き合う付き合わない云々とかの悩みではなく寧ろ付き合ったからこそ発生する問題であり、そしてその事自体を人に話すのさえ躊躇われる事であるのにそれを以前好意を寄せていた人間に暴露せねばならないといけないというのはかなり羞恥を伴う。が、こんな相談出来るのは蘭しかいないし蘭なら真面目に聞いてくれるのではないかと思い俺は思いきって話してみることにした。


「聞いても引くなよ?」
「うん。」
「あの…な、だしてこないんだ///」
「……えっと、何を?」
「快斗が手、だしてこないんだ////」


付き合い出してもう半年経つというのにキス止まりでそこからなかなか進んでいない。役割が違うのか?とも思ったが快斗の言動をみると間違ってはいないと思う。俺が多分下だ。
男としてその立場を甘んじるのはどうかと思うが快斗がそうしたいならそれで良いし正直どちらでもいい。ただ快斗と触れ合えるだけでいいのだ。
しかしその快斗が何もしてこない事には此方としては動きようがないのだ。一応色々と快斗が手を出してこないかと試してはみているものの全然効果がなく俺に魅力がないのかと思うようになってきた。


「………そっか。(嘘、黒羽くん手早そうなのに意外と奥手というか新一の事大切なのね)」
「なぁ蘭。………俺そんなに魅力ねぇのかな?」
「そんな事ないわよ!!幼なじみの私が言うんだから安心しなさい?新一の事一歩引いて見るようになってから色々みえてくる事沢山あったんだから!!!!」
「…お、おぅ。」


蘭に凄い勢いで否定されちょっと吃驚したが蘭の言うことを信じてみることにした。しかしだとすれば一体俺に足りないのは何なのか?何故快斗は手を出してこないか?益々謎だ。まさか快斗のアレに問題でもあるのかとも考えたが1人でしてるの見たことあるし(別に覗いた訳ではない)それもないだろう。他に好きな奴が出来た…とか?それは嫌…だな。考えれば考えるほど、どうしたらいいのか分からなくなる一方だ。


「新一、私に良い考えがあるの。だからそんな顔しないで?」
「本当か…?」
「えぇ、コレならきっと黒羽くんも狼になること間違いナシよ!!」
「おおか…みってお前なぁ」
「いいから耳貸しなさい」
「いででで…」


かなり乱暴に耳を引っ張られ囁かれた言葉は俺を驚愕させ、混乱させた。正直蘭の言ってることが分からないというか分かりたくない。遠くで「コレでバッチリよ!!」とか男のマロンがどうたらこうたら言っていたが俺はそれどころてはなかった。
第一にこの俺が蘭の言うような事を出来るはずないのだ。自分が人一倍自分の気持ちに素直になれず凄い覚悟を決めなければ行動できないというのにそんなあからさまに“誘っています”みたいな事は出来ない、もしかしたら失敗して醜態を晒して終わるだけかもしれない。
けれど、こんな悩みを聞いてくれてアドバイスをしてくれた蘭の気持ちを無下にするのは心苦しいし、どうせ一人で考えても何も思い浮かばないのだから試してみようと決心した。


「蘭、俺頑張ってみるよ。」
「うん。きっと上手くいくわ。新一は女の子だって羨むような魅力沢山持ってるんだから。」
「そ、そうかぁ//?」
「そーよ!!それに黒羽くん新一の事すっごく好きな筈だから。好きな人にそこまでされたら応えてあげないとって思うから。この私が折角アドバイスしてあげたんだから必ず成功させなさいよ!!??」
「おぅ!!蘭、マジさんきゅーな!!!!」
「ううん。じゃあ頑張ってね。」


そして家に帰った俺は昼間蘭に言われた通りの格好をしてマジックショーから帰ってくる快斗を待つことにした。キッドとしての目的を果たしここ最近は自分の夢に向かって本格的に動き出した快斗は(大学の方はアイツの頭脳を持ってすれば簡単に入ることが出来るだろう)新人であるが持ち前の技術と風貌と巧みな会話術とですぐさま脚光を浴び連日色々なパーティーやら何やらに引っ張り凧だ。まぁキッドであった人間なのだから注目を浴びないはずないのだがその所為で最近二人一緒の時間がなかなか取れていなかった。半分は俺の所為でもあるが…


「しかしこの格好ただの変態じゃねぇか。」


鏡に映る己の姿は裸に靴下と快斗の学ランの上着を羽織っただけの誰かに見られたら東都タワーから命綱無しでバンジージャンプ出来そうなくらい恥ずかしい格好をしている。そう、蘭が俺にしてくれたアドバイスというのはこの格好をして帰宅した快斗に普通に話し掛けるという事だった。恥ずかしさのあまり俺は段々快斗に対して怒りを覚えた。俺がこんな格好にならないといけないのはアイツが積極的にこないからだ!!何より一番腹が立つのは見た目じゃよく分からなかったがどうやら快斗はここ最近成長したらしく上着が緩いのだ。おかげで男の大切な部分をさらけ出すのは免れたが同じ男として癪に障る。この間まで身長も体重も殆ど一緒位だったのに急に男らしくなりやがって俺がどんだけドキドキしてるかなんて知らないんだろうな!!!!
いやいや、そんな事より問題は


「こんなんで本当に上手くいくのかよ?」


そう、それだ。蘭に言われた時は頑張ってみようとか、もしかしたら上手くいくかもしれない何て思っていたが、実際この格好をしたらそんな希望何処かに行ってしまった。こんなんで快斗が手を出してくるはずない。いや、寧ろ見た瞬間ドン引きするのではないだろうか。
それだけならまだしも、もしかしたら警察に通報されて翌日の新聞に【高校生探偵工藤新一は変態だった!!??】とか載ってしまうのではないか。
そんな事になってしまえば今まで作り上げてきた世間の工藤新一のイメージが一気に壊れてしまう、それだけは何とか避けたかった。


「ハハ……アホらし。」


こんな格好やめて着替えてしまおう、そして今まで通りそれとなく風呂に誘ったり、たまに抱きついてみたり、一緒に寝たりしてアイツがその気になるのを待とう。
そう思い制服を脱ごうとした時微かに快斗の匂いがした……


「かい…と?」


その瞬間、快斗のしっかりと筋肉は付いているが俺が壊れないように優しく抱きしめてくれる腕とか、しっかりした胸板とか、汗を拭う姿とか、俺の髪を弄ったり人々に夢を魅せる魔法の様な指とか、隣で眠る横顔とか、キスした後のはにかむような笑顔とかで俺の頭ん中は快斗でいっぱいになった。


「っ…………」



あの腕で指で声で俺を抱いて欲しい……


そう思うと俺はもう限界だった。
気づいたら快斗の事を考えただけでゆるく反応をしてしまっている己に手をかけていた。


「ぁ…ンッ。か…いと……かいとっ!!」



アイツはどんな風に俺を抱いてくれるんだろう?


そんな事を考えながら無我夢中で擦り上げる。
部屋には鏡の前で喘ぐ俺の姿しかない筈なのに快斗の制服を着ているせいで快斗に抱かれて喜んでいる自分の姿が見えた気がした


「ぁふ……快斗…中も…ナカも弄ってくれっっ…」


俺は恐る恐る普段は排出にしか使用されない場所に指を持っていき中に入れてみる。


「うぁ………っん。ふっ…ぅぅ」


けれど、堅く閉じた場所には指の先位しか入らなくて入り口をかき混ぜるようにくるくるなぞるしか出来ない。
そのもどかしさが更に俺の欲求を増大させていく…


「ゃ……もっと奥ッ…奥にっ!!……んで…はいんな…」


体の奥底はもっと深くまで刺激を欲しがっているのに自分では上手く出来ず苦しい。しかし後ろの疼きとは別に既に散々擦り上げている俺のモノははち切れんばかりに膨張し限界を訴えている。


「ぁアッ…も……ぃく…イキたい…」


後ろは自分ではどうにもなりそうにないのでせめて前だけでも早く楽になりたかった俺は快斗の事を考えながら必死で擦る。


「快斗っ…かいとっ!!もっと…ツヨくっ……!!」



鏡に写る自分の後ろから快斗が俺のモノを扱いてくれている姿を想像し真っ白になっていく頭…。近所に聞こえてしまうのではないかと思うほど大きな声も気にせずに解放へと昇り詰めていく………



「も…イくっ!!か…ぃとっ…イっちまう!!イクッっ…あぁぁぁぁっ…!!」



溜まっていたモノが一気に解放され俺は待ち望んでいた快感に背を反らす。
激しい波が腰から脊髄を通り頭の先まで抜けていく。


「はぁはぁ…はっ…ぁ……ふっぅ…ぅん…はぁ……。」



オレは荒くなった息を整えながら絶頂の余韻でぼーとして良く働かない頭を何とか動かし自分が今した事を考えてみる。



「ぁ…オレなんつー事してんだよ////」


快斗の制服着てアイツのこと思いながら自慰しただなんて。
しかも抱かれる事を考えていたなんて快斗にバレたら引かれてしまうだろう。
折角手に入れたアイツをこんな事で失っては困る。


「とりあえず、床拭かねーと。」


この行為をしたことがバレないように床に飛び散ってしまった体液を拭こうとしたが生憎ティッシュを切らしていた為オレは履いていた靴下を片方脱ぎ、それで拭った。


「ゃ…べ。制服汚れちまってる。」


しかし制服に付いてしまった汚れはなかなか取れず、隠しようのない証拠を纏った姿の自分に恥ずかしさと罪悪感を覚えたが同時に物凄い睡魔に襲われた。



「まぁ…後ででいっか。」



この証拠をどうやって消すかでいっぱいの筈のこの頭は睡魔に勝てず布団に潜るという指令を体に指示したようで。
とりあえずオレはダルい体を休めるため少し眠りに就くことにした。




後に俺はこの行動を激しく後悔する事になるがその話はちょっと思い出したくもない。








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つ づ か な い ! ←
快斗は誘惑に必死で耐えてるんだよ!!気づけ工藤^^^^
蘭ちゃんは他の女の子に新一取られるくらいなら快斗で良かったと思っている。そしてちょっと腐的な考えをお持ちになってしまわれたようだ←
私の趣味満載ですみませんww