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「新一、今日俺の誕生日なんだ!!!!!!」


今日は特に目暮警部からの呼び出しもなく、最近出たミステリー小説の新刊を買って家に帰ってゆっくりと読み耽ようと思っていたのに家の前にコイツが居た。
俺はコイツに会った事がないはずだ。なのにいきなり名前を呼び捨てにされ自分の誕生日を主張されても知るはずがない。
何故俺が会ったばかりのコイツの誕生日を祝ってやらねばならないのか?
何か危なそうな人間なのでスルーだスルーと思ってそいつの隣を素通りし家に入って鍵を閉めた。と思ったのに何故かそいつは家の中にいた。
え?なんだコイツ。
とりあえず気持ちが悪かったので思いっきりケツを蹴ってその日は家から出ていって貰った。顔面から地面にぶつかって鋳たようだがそんなのは俺の知ったことではない。
警察に通報しようかと迷ったが何か俺がこんな事で警察に電話するのもどうかと思ったので止めておいた。
しかしそれが間違いだった。

その日からそいつは学校の前で待ち伏せをし、俺が蹴飛ばそうとも殴ろうとも何処までも俺についてきた。

「メリークリスマス新一」

「帰れ」

クリスマスもサンタクロースの格好をして事件帰りの俺を家で待ち伏せしていた。
しかも今度は家の中でだ。
誕生日は一緒に祝えなかったからクリスマスは良いでしょ?とかどこの乙女だ。事件帰りで疲れているというのに何故コイツと一緒にクリスマスなど祝わなければいけないのか。
俺の中にはコイツと記念日を祝うという考えなど微塵もないというのに。
とりあえず今日は疲れていたので追い払う気にもなれず好きにさせておき俺は隣で一人はしゃぐコイツを放置して眠ることにした。
翌朝あいつは居なくなっていた。

しかし何でコイツはこんなにも俺に付きまとうのか?
初対面から馴れ馴れしく名前を呼んできたりいつの間にか隣に居たり、そもそもコイツは一体誰なのか俺はコイツの名前すら知らない。
だけど何故かコイツの顔に見覚えがあるきがする…そう真っ白な鳥の面影を。
それを確かめたくて、コイツの本当の名前を知ろうと訊ねる度に目を細められ不穏な動きをしてくるのでそれを阻止するので手一杯になってしまってそれ以上深く追求することが出来ずにいる。

だがコイツは間違いなくアイツで。
俺に付きまとっている理由は恐らく俺に自分の本当の名前を呼ばせることだ。
俺が名前を聞くたび一瞬寂しそうな顔をするのがその証拠だ。
たく、勝手に現れてその上俺に自分の事を探し出して欲しいだなんて本当に自分勝手なやつだ。
振り回されっぱなしじゃつまらないので暫くの間は探してやらない。
そしてまた俺は同じ質問をし、コイツの寂しそうな顔を見てほくそ笑むのだ。