スキだと言ってみました



「…………それで?」
「何ですか、その淡白な反応は?!」


純真な乙女からの、一世一代の愛の告白ですよ!
それを受けて、「それで?」って、どうしてそんな薄情な物言いが出来るのですか?!
鬼ですか、鬼畜ですか、ドSですか?!
あ、それとも、ツンデレなんですか?!


「鬼畜でも、ドSでも、ツンデレでもねぇよ。で、アレックス。その『純真な乙女』ってのは、何処に居るンだ? あ?」
「居るじゃないですか、デスマスク様の目の前に。」
「俺の目の前に居ンのは、勝手に人の部屋の合い鍵を作った挙句、正々堂々と夜這いに来るような変態な女官なンだが?」


夜這いする女官が純真ではないだなんて、それは思い込みでしかないでしょう。
夜這いをしても、心は純真、恋する乙女なのです!
恋する乙女だからこそ、その恋心を抑え切れずに、夜這いという行為に及んでしまったのです!


「とンでもねぇ屁理屈だな、オイ。」
「だーかーらー。とっても、物凄く、滅茶苦茶、大いに、大・大・大好きなんですよ。デスマスク様の事が。この溢れ出て止まらない洪水のような想いを、どうして受け止めようとしてくれないんですか? 黄金聖闘士なら、ドーンと受け止めるべきです!」
「黄金聖闘士とか関係ねぇだろ。つか、俺に選択の余地はねぇのかよ……。」
「夜這いを拒否しなかった時点で、選択肢はなくなりました。」


デスマスク様は、「なンじゃ、そりゃ?!」と大きな声を上げて、ガリガリと銀色の前髪を掻き毟った。
その仕草は、困った時に見せる彼の癖。
掻き毟る指の隙間から見える困り顔がセクシーで、口元から零れる溜息も、またセクシーで。
ホント、罪な男性ですね、デスマスク様は。
そんな仕草で誘われたら、今すぐ襲い掛かって、押し倒したい気分になるじゃないですか。


「オイ、アレックス。オマエ、今、すっげー不埒な事、考えてねぇか?」
「はい? ナンノコトデスカ?」
「何、片言になってンだよ。誤魔化しが下手過ぎだろ。」
「オシタオシタイナンテ、オモッテマセーン。」
「女官如きが、よりにもよって黄金聖闘士を押し倒そうと思ってンのか。夜這い以上に凄ぇ考えだな……。」


好きなのだから仕方ない。
夜這いも、押し倒したくなるのも、みんな、みーんな、好きなんだから仕方ない。
何度だって言いますとも。
好きです、だから、夜這いさせてください!


「好きの一言だけで、夜這いの理由になるかよ。つか、俺の意思は考慮されてねぇのな、相変わらず。」
「何を仰いますやら。デスマスク様だって、いつもノリノリで夜這いされてるじゃないですか。」
「あぁ?! 俺がいつ、ノリノリだったってンだよ?! 言え! 言ってみろ、アレックス!」


だから、いつもですよ、いつも。
口ではどんなに拒否しても、決して乱暴に押し退けたりはしない。
口調とは正反対に、ちゃんと優しく受け入れてくれるのだ。
そんな貴方だからこそ、好きなんですよ。


さて、今夜も張り切って夜這いに訪れましょうか!



‐end‐





夢主さんが異常なる夜這い好きでスミマセン(汗)
きっと、そうする事で蟹さまを独占したい乙女心(笑)なんでしょうね。
EROな方向に振り切った愛情表現なのだと思いますw

2021.08.21



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