謎が解けたらアイオロスは女の子に人気がある。
とてもモテる。
それを本人が気付いているのかは、分からないけれど。
私が見る限り、彼はいつも女官達に取り巻かれ、甘い猫撫で声で話し掛けられているの。
その際、彼女達に『好きです光線』をたっぷり含んだ媚びた視線を向けられているのに、アイオロス自身はまるで気付かない様子で爽やかに笑っている。
気付いてないのか、それとも知ってて受け流しているのか……。
「ねぇ。アイオロスって恋人いないの?」
こんなにもモテる彼の事だもの。
恋人くらいいたっておかしくはないけど。
でも、そういう存在や気配を全く匂わせないのがアイオロスらしいけど、やっぱり何とも不思議で。
私は気になって、アイオロスに直接、聞いてみた。
「いると思う? いないと思う?」
「それは私の方が聞いているのよ。いるの? いないの?」
ニコニコと普段と全く変わらない笑顔を、私に向けるアイオロス。
はぐらかすつもりなのかしら?
その青緑色した瞳は、悪戯をした少年のようにキラキラ輝いている。
「そんなに気になる、アナベル?」
「だって、凄く未知なんだもの。アイオロスの私生活って。」
恋人がいるのか、いないのか?
そもそも、彼の好みのタイプですら、全く分からない。
見ている限りでは、どんな女の子にも平等で、同じスタンスで接しているし。
これといって態度に表さない彼って、実は凄く未知な部分が多いと思う。
「じゃ、今夜にでも、俺の宮に来る?」
「え……?」
「気になるんだろ、俺の私生活。アナベルが来るんだったら、夕飯もご馳走するけど?」
どうする? と、屈託ない笑顔で誘う彼は、極自然な様子だった。
人馬宮でアイオロスとディナー。
彼の私生活ぶりを確認する、一大チャンスだ。
私の心はジワジワと、その誘いへと傾き出す。
「俺の部屋に来てみれば、分かると思うよ。アナベルが知りたがってる事。恋人がいるかいないかも、全部ね。」
確かに。
アイオロスの部屋の中を見たならば、それはきっと一目瞭然。
心の中で膨らんでいく好奇心に、私は勝てなかった。
「分かった。行くわ、今夜。」
「そう……。じゃ、待っているよ。」
この時……。
アイオロスの瞳がキラリと意味ありげに光った事に、私は少しも気付かなかった。
気付いていたなら、もう少し、警戒していただろうに。
この心、この身体、彼に奪われるまで、あと数時間
いつも眩しい笑顔と同じく、爽やかで明るくて真っ直ぐで、そんな人だと思っていた。
この夜、二人きりの人馬宮の奥で、彼の情熱的な視線に晒されるまでは……。
‐end‐
策士なロスお兄さん登場ですw
上手い事、彼女をおびき寄せて、取って食ってしまったとかいう……。
あの笑顔に騙されてはイケマセン。
彼は爽やかという仮面を被った、ホンマモンの(エ)ロスです^^;
2008.05.21
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