ぼやけたままの頭と心には、シュラの情熱溢れる視線は、あまりに刺激的過ぎる。
ココアなんか目じゃないくらいの甘さに浸って、クラクラと霞んでいく視界。
そこは彼の存在だけで、いっぱいになって。
そして、またもや私の気付かぬ内に、肩にあった筈のシュラの手が腰まで滑り落ちると、グッと力強く引き寄せられていた。


その引き寄せる力の強さが伝える、言葉では語られないシュラの想い。
お前は俺のものだと、そう如実に伝える彼の腕の力。
目眩は更に増し、私はシュラの腕の中で、呆けて、蕩けて、溶けて、崩れて。
もう自分が人の形を留めていないんじゃないかとすら思える。


「シュラってば、自覚ある?」
「何がだ?」
「自分がどれだけセクシーか、って事。シュラのその強烈な視線を受けたら、多分、象でも失神して倒れるわよ。」


私の言葉に一瞬だけ、その切れ長の瞳を見開き、驚いたようにジッと見つめてくるシュラ。
だが、直ぐに唇の端からフッと漏らす軽い笑み。
その魅力的な表情に、私の身体の中身が、更に溶け出した。
もう、液体になってドロドロと流れ出してしまうのではないかと思える程に。


「安心しろ、それはない。」
「どうして?」
「俺は彩香以外の女に……、いや女だけじゃない。男だろうと、動物だろうと、こんな視線を向けたりはしない。」


それは、私が貴方にとっての『特別』だって意味?
シュラの想いも情熱も、私が独占してるのだと、自惚れちゃうわよ。
それでも良いの?


「勿論だ。その代わり、俺も彩香の愛を独占するが?」


勿論よ。
ずっと前から、この心も、この身体も、シュラだけのものと決まっている。
他の誰のものにもならないの。
例え天地がひっくり返っても。


でも、ちょっと心配。
いつか貴方が私に飽きて、そのセクシー過ぎる視線を、他の誰かに向けたとしたら……。
既に全身が蕩けてグチャグチャになっている私は、貴方の後ろ姿を見ながら、どれだけの苦しみを耐えなければいけないのだろう。


「そんな仮定、まず絶対、有り得んな。俺が彩香に飽きるなど。」
「本当に? なら、証拠を見せて。」
「証拠? どうやってだ?」


私の身体は、もう既に全部がシュラの腕の中にあった。
逞しい胸に頭を預け、その奥から聞こえてくる心音に耳を傾ける。
聞こえてくるのは、自信に満ちた力強く、それでいて穏やかな心音。
それは私に安心感をもたらしてくれる、最上級の音色だ。





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