自分が男を家に入れたせいで。
死んだ。
「おと………さ、おかあ………」
あの時と、変わらない。
1つだけ違うのは、血まみれの自分がいることだった。
血まみれの自分だった物が、いるだけだった。
「丹那………」
丹那のせいではない。
男はハッキリと言った。最初に殺しておけば、と。
丹那が家に入れても入れなくても、この家族はこうなる運命だったのかもしれない。
男は丹那の母親と面識があるようだった。完全に計画殺人。
丹那のせいではない。
ただ、それを丹那に言ったところで、何になるというのか。
丹那の負担は軽くなるのか。
何て言葉をかけたらいいか分からず、茉樹はずっと丹那のことを見ていた。
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