吐き気を必死に抑える。



燐の手のひらからは、抑えきれない涙が溢れていた。



「先に………子供を、殺しておくべきだった」



そう、男は呟いた。



それはどういう意味か。



先に丹那を殺しておけば、両親の死を見せなくて済んだ、という男の慈悲か。



どっちにしたって、丹那は傷ついたのだ。



茉樹は殴りたくなるのをこらえる。



「好きだったよ」



男は、母親の方を見てそう答えた。



「何言って………コイツ………」



4人とも、しっかりと聞いた。



男の言葉を。



また、ドタバタと足音が聞こえた。



「動くなっ!」



リビングの入口には、警官が立っていた。




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