「あの家に。あの場所に。丹那の謝りたい人がいるんだったら。謝ってきな」
「茉樹。いきなり、そんなこと言っても………」
いつまでも目の前でメソメソしている丹那に、腹が立ったのかもしれない。
最初は、そんな理由。
でもそれは丹那の為になるんじゃないかと、思えてきた。
「丹那が、行動すれば。きっと、何か、変わるから」
根拠もないことを言う。
丹那に伝わればよかった。
丹那があの現場に行って、傷つけばいい――――
そんな思いがなかったと言えば、嘘になるが。
それでも。それ以上に。
純粋に丹那を助けたかったのかもしれない。
「行こう、丹那」
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